手当て
「ツンツンッ!」
「須藤ッ!」
敷島と南条が駆け寄る。
「大丈夫か」
「あぁ…。見ての通り…痛てぇ」
南条に、大袈裟な程しかめっ面をする。
「馬鹿者。見せろ」
無理矢理肩を押さえる手を引き剥がす。
「痛てててて!」
「暴れるな」
傷口を見る。
―――……!
「だ、大丈夫だって!」
バッ、と南条の手を振り払う。
「…分かった。だがせめて包帯位はせんとな。…侑子、持ってないか?」
その声に待ってましたとばかりにニヤリとする。
「へっへーん。白衣の天使、侑子ちゃんのお出ましや!」
自慢気にサイドバッグから包帯の束を取り出す。
「よし、じゃあ任せ…」
敷島に手当を任せようとしたその時、視界の端に包帯でぐるぐる巻きにされてもがく黒田が見えた。
…ミイラ男と言うより、蛹と言った方が正しい位の姿で。
ヒョイッ。
意気揚々と須藤に近付く敷島の手から包帯を取り上げる。
「やはり私がやろう。侑子は生き残った皆を集めてくれ」
「えー!折角ウチが腕を振るおう思うたんに~」
「この中で一番走り回る元気があるのはお前だけだ。頼む」
ぶーぶー言う敷島を宥める様に説得する。…やがて諦めたのか、その場から駆け足で走り去っていった。
「ふぅ。助かったぜ。征流の悲惨な姿は見えてたからな」
「だったら早く言え。あと、上着を脱げ。そのままでは包帯が巻けない」
「い、いいって!」
逃げようとする須藤をむんずと捕まえる。
「恰好だけでも気にしろ。お前…普通なら重傷者として病院送りになっているぞ」
「…もしかして」
「…そのもしかして、だ」
「見た?」
「見た」
「………」
「………」
奇妙な沈黙が、二人を包む。
フゥッ。
最初に沈黙を破ったのは、南条だった。溜息を一つ吐くと、口を開く。
「別に詮索はしない。須藤は須藤だ。さ、巻くぞ。脱げ」
「…やっぱり?ハズいんですけど~?」
「黒田の二の舞になるか?」
須藤の表情が凍り付く。
「いえ、遠慮しときます…」
いそいそと、左肩を庇いながら上着を脱ぎ始める。
少しの間の後、南条が包帯を巻き始めた。
―――もう出血が止まっている…。一体どうなっているのだ…。
「流石に鍛えているな」
疑問を押さえ込み、包帯を巻きながら南条が言う。
「あ?あぁ…。まぁね」
ぽりぽりと顔を掻く。
「よし。出来たぞ」
ぺちぺちと背中を叩く。
「さ、サンキューな」
未だに恥ずかしげにする須藤に、苦笑を浮かべる。
「気にするな。…服も用意せねばな。黒田に頼んで…あ」
漸く黒田も解放され、三人はクローゼットへと向かっていったのだった。




