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TLS外伝 ~a crying soldier~  作者: 黒田純能介
19/50

反撃


「セイッッ!」


流れる様な動きで剣を操る。


ヒュウンッ!


しなる剣が相手の腕を斬りつけた。


ドシュッッ!


切っ先は動脈を両断し、血飛沫が上がる。

斬られた相手は呻き声を上げながら後退する。


「ハァァ、ハァァ…」


肩口から胸にかけての刀傷から、絶えず血液が流れ出す。


多勢に無勢、黒田の周りには十人程の忍者が取り囲んでいた。


「もう諦めるが良かろう」


一団の後方から重々しい声が響く。


「貴方は…」


その方向に振り向いた黒田が声をあげる。


「奇十郎…!」


奇十郎が腕を組む。


「黒田の小僧…。この様な軍に荷担なぞせず、隠遁しておれば早死にする事も無かったろうに」


「貴方に言われたく無いッ!」


シュンッ!


唐刀を構える。


「愚か者は何処まで往っても愚か者か」


ス…。


組んでいた腕を解き、右手を上げる。


「ゆけ」


バッッ!


右手が振り下ろされると同時に、忍者達が一斉に襲いかかる!



…迫る十余の白刃。手負いの黒田には、最早回避する余力は無かった。




―――南条様…ッ!




そして、刃が黒田を―――




ドガアッッ!!


激しい激突音と共に、忍者達が吹き飛ぶ。


「…!」



「ヒーローは遅れて登場、ってね」


須藤だった。相変わらずの笑顔を浮かべている。


「大丈夫か、黒田」


「…南条様ッ!須藤様に、敷島様も!」


「遅れて済まない。後は私達でやる」


南条が起き上がりつつある忍者達を睨み付けながら言う。


「も、申し訳ありません…。私が居ながらこの様な…」


「言い訳は良い」


ピシャリと跳ね付ける。


「良く保ってくれた。今は下がれ」


「…はっ。ではせめてこれを」


ヒュンヒュンッ。


黒田が唐刀の刃を返し、南条に差し出す。


「レイピア程ではありませんが…使い易い筈です」


「それでは身を守る物が無くなるぞ」


「大丈夫や!」


何か言おうとした黒田を押しのけ、敷島が進み出る。


「クロ兄は、ウチが守るッ!」


「敷島様!無茶です!」


敷島が振り返り言う。


「大丈夫やって!ウチにはコレがある」


両腕を交差させる。そこには、鉄甲があった。


「し、しかし…」


「黒田。やらせてやれ。…侑子」


「ん?」


「頼むぞ」


敷島はその言葉に満面の笑みを浮かべ、大きく頷く。



「さて…待たせたな」


南条が奇十郎へと視線を移す。忍者達は既に体勢を整えていた。



「なに、三途の川の渡し賃と思えば安いものよ」


奇十郎がスラリと刀を抜く。


「おいオッサン!今度は手加減しないぞっ!」


パンッ、と須藤が拳を合わせる。


「また会ったな須藤…。今度は儂も甘くは無いぞ…?」


チャキッ。


奇十郎が刀を正眼に構える。


ザッ。


須藤が身構え、


「良い加減にけりを付けさせて貰う」


スッ…。


南条が片手に唐刀を構える。


「フッ。良かろう。…かかれぃ!」


奇十郎の号令に、忍者達が一斉に飛びかかる!


「せいやぁっっ!!」


斬撃をかわしながらの強烈なボディブロウ。狙いは能わず忍者の腹部を直撃。


「よっしゃあ!」


相手がうずくまるや否や、次の敵に備える。



「ハアッ!」


ヒュウンッ!カキィン!


首を狙った剣が防御される。しかし…。


ビュンッ!


防御された部位を支点にして、刀身がしなる!


ザシュッ!


しなる刀身は、忍者の顔面を直撃。鼻を削ぎ落とす。


ぎゃぁぁ、と悲鳴を上げながら忍者が後退する。


「余り時間をかけたくない。全員で来い」


ヒュンッ。


南条が再び唐刀を構えた。




―――やはり、数では適わぬか。




いつぞやの追撃を思い返しながら奇十郎は思う。


…既に戦況は不利な状況に追い込まれていた。半数がたった二人に戦闘不能にされ、残りの者の戦意も下がりつつあった。


「もう良い!ぬし等では相手にならぬわ!」


その声に部下達が一斉に後退する。


「…?怖じ気づいたのかよ?」


須藤が一歩進み出る。


「フン、貴様等に敬意を表しただけよ」


奇十郎はそう言い、部下達に納刀するよう命じる。


「須藤よ…。儂と決闘しろ」


「…はぁ?」


突然の申し出に、須藤が目を丸くする。


「拒否権は無い。…是が何か分かるか?」


懐から長方形の物体を取り出す。


「…リモコン?」


「そうだ。この施設の彼方此方に仕掛けられた爆弾の起爆スイッチだ」


「…!」


「バカなッ!自爆でもするつもりか!?」


南条が叫ぶ。


「それも大義の為…。さあ須藤、儂と勝負せい。ぬしが勝てば、これをくれてやろう」


奇十郎がリモコンを弄ぶ。


「止せ須藤!どうせブラフだ!」


「ほう…?ならば試してみるか?」


ス、とリモコンのスイッチに指を掛ける。


「待ちなよ。受けるさ」


「須藤ッ!」


南条を腕で制する。


(オトコ)ってのはな、やるときゃやらなきゃならないのさ」


南条を振り向き、ニカッ、と笑う。


「それに…」


「…何だ」


「みんな、死に急ぎ過ぎなんだよ」


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