入隊
「お早いお帰りで。敷島様もご無事でなにより」
駐屯地へと出向いた三人を、黒田がうやうやしく出迎える。
「うむ。ご苦労」
「クロちゃんお疲れ~」
「はい…。して、そちらの方は?」
訝しげに黒田が須藤を睨む。
「そんなに敵意を剥き出しにするな。入隊希望者だ」
「…これは失礼しました。私、黒田 征流と申します。以後お見知り置きを」
深々と礼をする黒田に、須藤がニカッと笑う。
「おぅ。ヨロシクな!征流!」
黒田は顔を上げると、薄く笑う。
「ではこちらへ。ささやかながらお茶をご用意致します」
「黒田。入隊希望書類も頼む」
「心得ております」
黒田は懐から封筒を取り出すと、南条に手渡す。
「よ、用意が良いな」
目が点になっている須藤に、南条が微笑する。
「私の部下だからな」
「…なるほど」
須藤が関心していると、痺れを切らしたかのように敷島が言う。
「はよ行こうや~」
既にてくてくと歩き出していたのだが。
「うむ…」
それを合図に、残された三人が駐屯地の奥へと向かっていった。
「内容を良く読んで、そこにサインをしてくれ」
テキパキと南条が指示をする。
「えーとなになに…『入隊にあたっては』…」
「須藤」
「ん?」
目線を南条へと移す。
「お前は特別だ。後で暇な時にでも読んでおいてくれ。まずサインを貰おう」
「ほいほい~。特別待遇ってヤツね」
「…まぁ良いだろう」
若干複雑な顔をした南条をさておき、須藤が書類にサインをする。
「サラサラ…っと。これで良いか?」
書類を受け取り、内容を確認する。
「うむ。結構。ではそこに立ってくれ」
適当な位置を指差す。
「ん?ここか?」
「ああ」
カッッッ!
靴音が高らかに響く。
ビシッッ!
そして、須藤に向かって敬礼をする。
「須藤 叢雲!此処に貴殿の入隊を承認する!」
…こうして、須藤の往く道の一つが決まったのだった。




