第6話 乱戦そして…
今も尚、迫り来るスケルトン達は既に広場全体に溢れていた。数える事は出来ないが軽く見ても50体以上はいるだろう。襲いくるソードやメイスを避けながら祐太はスケルトン達に風刃を飛ばし切る。
「…っ、キリがないな!」
既に数十体以上は倒しているはずなのだが減る気配が一向にしない。よく周り見ると、倒したはずのスケルトンが音をたてながら再生した。
「くっそ!再生するとか!…砕くしか無いのか?」
突風でスケルトン達を吹き飛ばし数本の風刃で追い打ちをかける。しかし数十秒も経つとスケルトン達は再生する。その間に先程考えていたある事を祐太は実行する。
「…休憩中に練習したらなんとか出来た螺○丸。イメージ通りなら効果があるはず!…そりゃっ!」
両腕に作り出した螺○丸。――今後は風玉と呼ぼう。――をスケルトン達の群れに飛ばす。…すると、飛んでいった風玉はスケルトン達に着弾し強烈な乱風を引き起こす!
「ぬおっ!」
強烈な風に祐太は吹き飛ばされそうになるもなんとか踏みとどまる。二つの風玉が着弾した所のスケルトン数十体は粉々に砕かれていた。祐太は再度二つの風玉を作りスケルトン達がかたまってる所に飛ばす。
やはり、効果があるようで着弾し乱風が吹き荒れスケルトン達は粉々になっていく。再生する様子も無いようだ。
「…効果ありっ!残りもこのまま掃討だっ!」
スケルトンの数が残り数体となった所である事が起きた。
一体のスケルトンが突如光だし周りのスケルトン達を吸い込んだのだ。
「…まじかよ…っ、何か起こる前に吹き飛べっ!」
周りのスケルトンを取り込んでいる所に祐太は風玉を飛ばす。ぶつかり乱風が吹き砂塵が巻き上がる。…数秒か、ガチャりと硬いものがぶつかり合う音が聞こえた――。
「…効果なしか…くそっ!」
砂塵が収まりそこから見えてきたのは、先程のスケルトンよりも二回りはデカくそして身体の骨も鋼の様に強固になってる大きなスケルトンがいた。
スケルトンは腕に持つ優に2mはありそうな巨大なメイスを振り上げ唖然としてる祐太に向かって先程とは有り得ないほどのスピードで突進してきた。
「くそ!速さも上がってるのか!」
祐太は唖然としながらも直ぐに気を取り直し強風で牽制し風玉で攻撃をした。――しかし、攻撃を受ける大スケルトンはふらつくも効果が無いのか砕ける事は無かった。
そんな絶望的な中でも打開するために時には避け時には攻撃を受け流しながら浅くはない傷を受けながらも激しい戦闘の中で頭の中で考えを回転させる。
――何故ここまで動けるのか。祐太は今の所気づいていないが全身に魔力を巡らせて身体強化を無意識的に行っていたのだ。それにより危険な戦いの中でも相手を見て攻撃を避ける受け流す時には牽制し攻撃を仕掛けるなどの事が出来ていたのである。――
祐太は大スケルトンのメイスが届かない距離を保ち攻撃の間合いから風刃や風玉をある場所に向けて撃っていた。大スケルトンは祐太の攻撃の速さに避けるのが間に合わず受けてしまうが気にしないとでもいう様に祐太に向けてメイス振り払う。
「…やっぱり、”そこ”だけを狙ったら避ける動作はするみたいだな」
先程からメイスの攻撃範囲に入らないように動きながら風刃や風玉を乱打していた祐太はある所にだけ攻撃を受けそうになると避けようとする大スケルトンの行動に目をはってた。
ある所というのは大スケルトンの鎧の様に太く厚い肋骨内にあるハンドボールサイズの魔石だった。祐太の攻撃を受けひびが入ることがあったがその魔石が光るとみるみるうちに再生していた。
祐太は先程からそこを狙うが他の骨よりも強固な為中々砕けないでいた。
「…突破するには近距離からぶち込むのが最善、か…」
祐太は勝ち筋を考える。イメージするのは一点突破の集中破壊。大きな風玉を作るそしてそれをピンポン玉サイズに圧縮する。
練習も鍛錬もなくぶっつけ本番の魔法使用だったがイメージ通りに圧縮された風玉が出来た。それを手の内に留めス大ケルトンの間合いの内に飛び込む!
「くっ!そりゃ!」
大スケルトンがメイスを振り上げた瞬間に爆発的な加速を行い近づく、――そして、圧縮した風玉を掌底を叩き込む感じで放つ!
強い衝撃を腕に受けるが構うもんかと祐太はそのまま力を込める。
――ガコッバキィッ!!
数秒の抵抗のあと強固な骨が砕ける!しかし、強固過ぎて骨を砕くに留め魔石の破壊をすることが出来なかった。
「っ、いっけぇぇぇえ!」
このままでは駄目だ!と、祐太は咄嗟に風玉と風刃を連続して魔石に打ちこんだ。
――ピシッパキィィン。
咄嗟の攻撃に耐えきれず魔石が割れた。すると、大スケルトンは動きを止め崩れていく。
「…ぐっ……なん、とか…倒せた…」
身体中の痛みに耐えながらも大スケルトンの崩れていく様を見る。そして、大スケルトンやスケルトンの群れを倒した経験値からか身体に力が巡る感覚がした。
「…身体は何とか動くな、よし」
傷や痛みは残ってるものの致命傷や骨折等はなく動ける。
祐太は広場から離れ水場に行き貪るように水を飲み落ち着いたところで疲れがピークに達したのか意識を闇の中に落とすのであった。
誤字脱字などございましたら教えて頂けたら幸いです。
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