第5話 洞窟内探索
「くっそ!次は蝙蝠的なやつか!」
洞窟内を歩いていたら大型犬サイズの蝙蝠みたいな魔物が祐太に襲ってきた。単体ではなく見える限り何十体と多く祐太に向かい攻撃をする。祐太は風を巻き上げながら取り囲まれないように後ろに下がりながら風の刃で攻撃する。
風の刃に裂かれながら落ちていく蝙蝠型の魔物達。しかし、気づけば更に奥から蝙蝠型魔物が数十体近づいてきていた。
「っ、まだ来るのか!執拗な!」
腕を振るいながらも対応するが、やはり数には敵わないのか次第に取り囲まれてしまう。数の多さに悪態をつきながら下がろうとした時後ろから翼で打たれ牙で噛みつかた。
「ぐあっっ」
倒れないように足を踏ん張りながら耐える。そして攻撃してきた敵を風で対処しようとするが、晒してしまったスキに大蝙蝠達のの超音波攻撃を受けてしまいあまりの頭痛に倒れ込んでしまう。
祐太が倒れたところに大蝙蝠達が殺到し噛み付こうとしてくる。祐太は頭の痛みに耐えながら振るえる範囲に腕を薙ぎ風を起こして逃げ道を作りそこに転がる様に殺到する大蝙蝠を躱した。
「ぐっ、く…そ…超音波とか…」
未だに続く頭痛にふらつきながらも壁に寄りかかりながら立ち上がる。近づいてくる大蝙蝠を切り裂くも数が多くジリ貧になっていく。
祐太はどうすれば、と戦いながらも打開するために思案する。今の攻撃方法では直線的な攻撃しかなく範囲的には狭い、だから広範囲に風の刃を出せればと思いつく。
「…いきなりだが、やらなきゃ殺られる」
広範囲に風の刃を飛ばすイメージをしながら両腕を薙ぐ。身体から力が抜けていく感覚を少し感じるが気にする暇もないと風の刃を多数発動させ飛ばす。
そして―――飛んでいった幾数の風の刃が大蝙蝠達を引き裂きボタボタと血肉を撒き散らしながら落ちていった。
ハァ…ハァ…と肩で息をし落ちていく様を見ているとぞわりと身体中に力が巡る感覚を覚える。すると先程までの疲れと身体の痛みが少しだけ引いていく感じがした。
「…少し楽になったな…やっぱりこの感じレベルアップなのか…にしても確認する術が無い」
少し休み身体の様子を見る、そして問題もないようで大蝙蝠達の魔石を回収できるものだけ持ち更に奥へと歩みを進める。
出てきた針蜥蜴や大蝙蝠、トロールのような人型魔物を風の刃で倒して進んでると、少しだけ広い場所に出た。祐太は油断なく周りを見渡し魔物がいないか確認する。――今のとこ魔物は居ない様だと広場に出た。
「…ここなら見通しも悪くないし休めるかな?…流石に疲れた…」
壁を背にもたれようと腰を下ろす時、ふと水が流れる音が聞こえた。祐太は立ち上がり水音が聞こえる所まで走った。
広場から少し進んだ場所に壁から滲み漏れるように水が流れ地面の窪みに溜まっていた。
「…水だ!っ、よかった…」
祐太は水場に駆け寄りかぶりつく様に水を飲んだ。汚いとか病気とか考える前に喉の乾きを潤した。幸いな事に水は垂れ流しのようでなんとか飲める程度には澄んだ水だった。
「ふぅ…とりあえず助かった、洞窟から出れないから飲み物どうするか悩むところだったからな、最悪アレを実行するつもりだったとこだ…」
アレには触れないでおこう。今は飲める水がある事が重要だ!と頭を切り替える。溜まってる水で腕や身体、顔など血や泥で汚れてる所を洗い流す。服などは流石に汚れは落ちなかったが少しさっぱりすることが出来たのは僥倖だった。
「…まぁ、生き物がいるって時点で摂取すべき水がある事は当たり前か…って事は此処はこの辺の魔物の水場って事か?」
落ち着いたところで周りを警戒しながら考えを進める。此処が魔物達の水場だと仮定すると此処に留まることは危険だと判断しこの場から離れて広場に戻る事にする。
広場なら見渡せるし逃げ道も作りやすいからそこで暫く休むことにした。転生してから此処まで動きっぱなしだったから疲れも溜まっていた。
「…流石に寝ることは出来ないが、少しだけ休もう」
祐太は洞窟の奥に進む道が見える場所を位置取り壁を背に座り疲れを取るように力を抜く。――お腹は空いてるが飲み水がある事で心を持ち直しながら自分の魔法と身体について考える。
「しかし、この身体凄いな…前の身体だったら此処まで動くことも出来なかっただろうな…やはり転生して肉体が強くなってるのか?」
腕をあげ手を握ったり開いたりする。――前の身体では出来ないような動きや耐久、体力は転生により強靭になっていた。ちなみにあんなにポンポンと魔法を連発していたが通常なら途中で魔力が途切れてるところだったが、転生した祐太は通常では有り得ないほどの魔力を有していた。
「…それに、『大気万成』か?今のとこ風を操る程度に留まってるけどアイツが言うには自然現象を操るとかいってし、伸び代もやり方もあるんだろうな…っよし!頑張るか――そうだな、風といえば某忍者のあの技を使えないだろうか?」
祐太は己の攻撃方法を思案しながら身体を休めるのであった。
* * *
休むこと約1時間、この間に魔物は来なかった。身体を休めた事で動けるようになり歩を進めようかと身体を起こす。その時――奥に続く道から複数の気配と複数の双眸が見えた。
祐太は直ぐに臨戦態勢になり相手の出方を伺う。奥から出てきた魔物は今まで出てきた魔物とは違い骸骨の群れだった――。
「…まじかっ、今までと毛色違いすぎだろっ!」
所謂スケルトンと呼ばれるアンデッドの魔物。スケルトン達はこちらを見ると走り出し祐太に攻撃を仕掛けてきた。スケルトン達は手に持つロングソードを祐太に向けて振るう。
祐太は突風を起こし近づかれないように牽制しながら風の刃を剣を振るうスケルトンに向けて放つ。風の刃を受けたスケルトンは崩れ落ちるが、まだまだ奥からスケルトン達が出てくる。
「くっ、また物量戦かよ!さっきの大蝙蝠で懲り懲りだってのに…!」
――祐太は風の刃を起こしながらスケルトン達に向かっていく。
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