第1話 自称神そして死
見切り発車小説です。
「ありゃ、突如の事で吹っ切れちゃったかな?まぁ、仕方ないかな」
「突然変な所来たと思ったら空間が歪んでそこから神と名乗る危ない少年が出てきてそれで異世界に転移したとか何とか言い出して、………って異世界?え?ここ異世界なの?」
「あらすじ説明ご苦労様です。…って冗談言ってる場合じゃないね、うん、ここは異世界だよ?」
うん、落ち着け俺、先ずは俺の覚えてる事を思い出そう。仕事帰りの所で風が吹いて気がついたらここに居た、うん、わけがわからないよ…
心の中で自問自答をする、とりあえず答えの出ない自問自答を辞め慌ててもいい事はないしこの状態が分かるであろう自称神の話を聞くことにする。
「…えっと、とりあえず自己紹介します?」
やはり、まだ慌ててるのだろう初めての合コンみたいな発言をしてしまう。
「……ぷっ…あはは!慌ててたと思ったら自己紹介って…面白い事言うね、あはは」
「…はは、そっすね…」
「あはは…ふぅ、自己紹介は大丈夫だよ、君は…うん、ハスミユウタ君だね!」
「…え?」
「なんで知ってるの?って顔だね、僕は神だよ?君を”覗る”位わけないよー!」
「そっすか…」
何となく恐ろしく感じながらも先程から気になってる事を聞くことにする。
「…名前の件はいいとして、ここは本当に異世界なのか?なぜ俺が?ってか元の世界に帰れるのか?帰れるなら帰してくれ!」
ダムが決壊したかの様に怒涛の質問攻めをする。質問を受けた神少年は少し困った顔をしながら答えた。
「…悪いけど君は帰れない」
血の気が引く感じがした、実際引いてるのだろう。傍から見たら真っ青な顔をした祐太が居た。
「…君にはここで死んでもらうんだ」
俯く神少年の顔は前髪が影になって見えない。
祐太はその場から動けない、逃げようにも足が言う事を聞かないのだ。そんな様子の祐太を尻目に神少年は言葉を続ける。
「君はこちら側に来る時ある物を身体に抱え込んで来てしまってるんだ、そのある物はこの世界を崩壊させうるエネルギーを持ってる。その力をそのままに出来ないんだよ、だから君には此処で死んでもらう」
祐太は何を言われたのか分からなかった。気がつけばその場から逃げていた、殺されると思ったから、この逃走も意味は無いだろうと頭の片隅で考えながら走った。しかし…
「まぁ、逃げるよね、こんな話を聞いたら」
目の前には神少年がいた、やはり逃げれないと悟りその場に座り込んだ。
「…その、エネルギーとやら何ともならないのか?」
力なく言葉を告げる。
「…君の死によって僕はそのエネルギーを対処できる
もし、君がそのまま崩壊エネルギーを持っていたら何かしらあった時、今は均衡を保ってる線が弾けそのエネルギーが周りを呑み込みこの世界そのものを崩壊させてしまうんだ。」
何とも救いのない言葉である。生きるにしても周りを巻き込むとか有り得ない、それならば…と
「…どうにもならないんだな…」
「…悪いけど」
「…あまり実感が湧かないな、エネルギーを持ってるって言われても何も感じない」
「エネルギーが大きく過ぎて君じゃ感じることも出来ないんだ」
何ともな言われ方である。しかし気とか何とか感じる事も見ることも出来ない一般人な祐太はそんなものなのか、と思った。
「…正直、突然の事すぎて何が何だかだが自分が切っ掛けでここの世界の奴らが死ぬとかそれこそ気持ちが悪い」
「…何故、関わりもない人の為に死のうと?」
「まぁ、関わりもなければ自称神の少年の言う事はあまりにもスケールがデカ過ぎて信じきれない。だけどもし、本当だとして此処が崩壊したら俺が後悔するからな」
と、祐太は言葉にする、そして小さな声で何とも偽善的な台詞だなと独りごちる。
「もし、お前が本当に神だと言うなら俺を殺した後生き返らせてくれないか?この世界の為に死ぬんだ、それ位して貰っても罰は当らないと思うんだが?」
神に対して不敵な発言をする。そんな言葉を聞き神少年は目をぱちくりさせる。
「…ふふ、あはは!やっぱり君面白いよ!…わかった、僕の力で君を生き返らせる」
「あぁ、頼む」
そして、蓮水祐太は死んだ。
誤字脱字などございましたら教えて頂けたら幸いです。
感想など待ってます。