表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第三章 『変わり行く世界』
79/242

 S11 ふとした愚問

■双華の月 土刻 4■

>> Real Time 4/23 3:18

 翌早朝、B&Bにて。エルツは窓辺の木椅子に腰掛けて、パーソナルブックを開いていた。スウィフトとリンスはまた東エイビスの森でマンドラゴラ狩りに明け暮れているようだった。手伝おうかとも思ったのだが、よくよく考えてみればリンクの危険性も無いマンドラゴラ狩りにおいて手伝える事といったら見ている事くらいしかない。マンドラゴラしか存在しないあの森において、彼らの獲物を狩る訳にもいかないし、かえって彼らに気を使わせてしまう結果になるかもしれない。それだったら、先に狩場を偵察してレポートを彼らに手渡した方が、自分のためにも彼らにとっても有意義だとエルツは考えたのだった。

 アリエスやポンキチなどフレンドリストの仲間を誘ってコカトリス狩りに出掛ける事も考えたのだが、上記の理由から昨晩決めた予定に従って、今日もまたエルツは一人ソロ狩りを決行する事にした。そういう経過からエルツは、朝からCITY BBSで情報を集めていたのだった。

 目的地はシトラス海岸。ラクトン採掘場と並んで、ソロ狩りとしては非常に癖がある狩場とされている。掲示板に映る情報を見つめながら、エルツはルームサービスのモーニングコーヒーを一口啜った。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 City BBS

▼攻略掲示板


ALL シトラス海岸狩り報告/Urius(01/四天/水/4 10:23)


 □投稿者 Urius シトラス海岸狩り報告


 当方Lv5の斧使い。シトラス海岸でCutterとやってきたのでその報告をば。とにかく硬いと聞いてたので、物理攻撃力最大強化(+7)、バロックアクス(物攻+13)に初心者講習卒業の証(物攻+1)の物攻31で挑んでみた。Lv5のCutterであれば、物理防御24なので、力押しでも勝てるかもしれんが、Lv6のCutterは物理防御28と跳ね上がるのでまず力押しでは勝てない。この狩場ではLv6も狩りの視野に入れないとおいしくないので、Lv6に対する対策(斧技:Back Drive)が必須。Back Driveはスタン1の効果があるので、上手く決まれば蟹がすっ転んでひっくり返る。転がって見せる裏の部分は防御力半分だから、これでLv6の硬い装甲にもダメが通るようになります。大体スタン1で転んでる時間って五秒程度だから、一発攻撃入れられるかぐらいだけど。攻撃パターンは少ないし見切れば余裕。注意点としては浅瀬にアクティブの魚もうろついてるので気をつけるべし。時間効率としては一時間に9EXPでした。以上、報告終わり。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 朝食のハムサンドに手を伸ばしながら、エルツは掲示板の内容を読み返す。


「一時間、9EXPか……すごいな。でも、この人Lv5だからな。Lv6の狩場として考えると、多分効率は半分以下だよな、きっと」


 どうも、このLv6というのは忍耐のLv帯らしい。どこの狩場でもターゲットがLv5〜6という設定である以上、湧かせながら狩りをする上で獲物のLvを選べない事を考えると、どうも得られる経験値効率が悪い。


「アクティブの魚が居るのか。魚は嗅覚探知みたいだし、炎(Salamander)の香水でも一応買って行くか。あとそうだ、バロックアクスも買わないと。オークション覗いてみようかな」


 物理攻撃力についてはそれで大丈夫だろうか。Lv6のエルツが現時点で最大まで物理攻撃力を特化した場合、物理攻撃力最大強化(+9)、バロックアクス(物攻+13)に初心者講習卒業の証(物攻+1)の物攻33となる。これだけあれば通常攻撃でもそこそこダメージは通りそうだが、一応斧のWAを幾つか練習してから実戦に臨むべきか。


「そう考えると、今日は色々準備もあるし遠征は明日にしようかな」


 パーソナルブックを閉じるエルツ。


――でも結局自分て――


 ふと過ぎった言葉を飲み込むようにエルツは自らをたしなめた。


――ソロ活動好きなんだよなぁ――


「本来MMORPG向きじゃないのかな自分。違うな、ただのオフラインRPGじゃこんなワクワクしないもんな。MMORPGで行うソロ活動に魅力を感じてるのか。なんで?もしかして、自分って変な奴……?」


 独り言のように自分に問い掛けながらエルツは微笑した。

 そんな事は愚問だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ