表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第三章 『変わり行く世界』
73/242

 S5 オークションハウス

 Foopy狩りを終えたエルツとスウィフトは繁華街で昼食を取り、その足で再び港を目指した。昼食時のせいか一日経ったせいなのか、港はそれでも人賑やかではあったが昨日程の混雑ぶりは見られない。

 三棟並ぶ赤煉瓦の倉庫に足を進める二人。今日は長蛇の列も無く、並ぶ事なく倉庫内に足を踏み入れる事が出来た。二人は入ってすぐ正面の壁際でふと立ち止まった。入り口に入ってすぐ両脇へ開けたその壁にはオークションハウスの説明書きが真白な大きなパネルとして掛けられていた。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 ■当オークションにつきまして


 この度、オークションハウスへご来場頂き誠にありがとうございます。ここは第二展示場になります。展示場内ではまずはパーソナルブックを開きデスクトップに表示されますオークションアイコンをクリックして下さい。そちらのメニューの方から各種案内が出ておりますので、出品される場合は出品フォームへ、入札される場合は入札フォームの出品リストからご希望される商品をご確認下さい。パーソナルブックに表示されます展示位置にて、出品商品をご確認頂く事が出来ます。出品品目が多い場合、出品物の展示については時間によって抽選表示させて頂いております。


 ○「出品」と「入札」について


 本オークションにおける「出品」と「入札」に関しましては、まず出品に関してプレイヤーの皆様は手持ちのアイテムに対して「最低希望落札額」と「出品期間」を決定して頂きます。入札者の方はそれに対し、期間内に最低希望落札額以上、又は前の方が書き込んだ入札金額以上の金額を提示をする事で、出品期間終了時に入札金額の最も高かった方が落札者となります。出品については最大五個まで出品して頂く事が可能です。


 ■ご来場頂きましたプレイヤーの皆様へ


 館内では他のプレイヤーの皆様のご迷惑になりませんよう、良識ある行動を宜しくお願い致します。また館内での飲食、及び喫煙はご遠慮頂きますようお願い申し上げます。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 会場案内を流し読むと、エルツとスウィフトの二人は壁を横切り展示室へと進む。


「うわ、すごいな」


 倉庫内はひんやりと涼しく、様々出品アイテムが透明なケースの中に入れられ台座の上に展示されていた。さながら博物館のようなそんな雰囲気を二人は楽しみながら、出品物を眺めていた。


「あれ、ブロンズランスかな。え、最低希望落札額50ELK。安くない!?」


 ケースの中のブロンズランスを見つめそう呟くスウィフト。エルツとスウィフトがエルムの村で購入した時は111ELKだった品だった。


「でも、これから入札者が出て高くなっていくでしょ?」

「そっか、でも出品期間2日で、今2日目なのに誰も入札してないよ」


 スウィフトの言う通り、確かに入札者は現れていないようだった。


「低レベル帯の武器だし、こっちじゃ需要ないのかな」

「なんか随分損した気分だな」


 そんなスウィフトの呟きを傍らにエルツは品物をじっと見つめていた。

 成る程、このオークションというシステムならば、今まで店売りされていた定価でしか買えなかったアイテムが安価で手に入る可能性があるわけだ。逆に今までは購入したアイテムを店売りした場合、定価の十分の一の値段が売価となっていたが、それ以上で売れる可能性もあると。

 二人は暫く出品物を歩き回って見ていたが、何分中が広くさらにはここと同じ大きさの棟があと二つあるという事実に気づき、出品リストから見たい展示物をいくつか絞り、それを見回る方針に切り替えた。


「これは一日じゃ見回るのキツイね。昨日から始まったっていうのにこんなにもう皆出品してるのか」


 そう言ってスウィフトはパーソナルブックを閉じた。


「第一展示場に月兎石が出品されてるみたい。行ってみよう」


 月兎石、それはあの攻略掲示板に書かれていたFoopyが落とすというドロップ品である。最低希望落札額を見ると18000ELKという数字が目に入った。そんな法外な値段では誰も入札者は現れないだろうと思いきや、入札金額は既に最低希望落札額の二倍の36000ELKを超えていた。少なからずの後悔の念を抱きながら、第一展示場へと向うエルツとスウィフトの二人。

 第一展示場にてその現物を確認する二人はただその場に立ち尽くしていた。銀色に輝く六角錐型のその輝石はレアアイテムと呼ぶに相応しい。そんなアイテムを前に二人が抱く感情と言えば、取り逃がした獲物に対する強い想い、それは後悔の上乗せ以外の何物でも無かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ