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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第七章 『夢・絆』
241/242

【エピソード】 VS Greed

 深い山を越え、峡谷を越え、氷河を越えた秘境の地下深くには美しく実った青林地帯が広がっている。

 洞窟の輝晶石の成分を含んだ水質が、ここ一帯の植生に大きな影響を与えていた

 空を見上げると、そこには巨大な水塊が覆っている。そう、ここは地底湖のさらに深部なのだ。

 いかなる張力が働いているのか、その真実は解明されていないが、ここを訪れた冒険者は皆、事実として、この神秘的な光景を目の当たりにすることになる。

 背の丈を遥かに越えた、巨大樹の上で、地底湖を見上げながら一人の青年が口を開いた。

 

「そろそろ降るな。周辺のアウグスゲイルの生命反応も消えた」


 虹色の雫が降り始める。

 青年はふとPB[パーソナル・ブック]を開く。

 PB上では仲間達の音声通信を行っている会話がメッセージとして一斉に流れていた。

 協定を結んでいるコミュニティ[ソード・キャッスル] の シグマが開発したフリーツール、Mind Watcherは言葉にしたことを自動でログ化し、仲間達と共有することができる


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【System Message】

 ▼シンのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました

 

 そろそろ降るな。周辺のアウグスゲイルの生命反応も消えた

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【System Message】

 ▼コッペルのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました


 奴はどの辺に現れるかね

 まぁ、大きさには注意したいもんだが、今までの前例から考えて、サイズは二桁がいいとこではないかね。出現を見落とすほど、我々は間抜けではなかろう。

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【System Message】

 ▼ナインツのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました


 的は決して、脳味噌の無い肉塊とは違う。罠に掛けて食らいつくぐらいの知能は持ち合わせている。

 奴の姿が見えないからと、油断はできねぇぜ。幸いな事に俺らの中にはそんな間抜けな奴は居ない

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【System Message】

 ▼コッペルのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました


 どう思うかね、この状況。図っているのか図られているのか。わたしはね、期待してるんですよ、今回は。

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【System Message】

 ▼レイラのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました


 警戒も油断も誉められたものではないわね。二人共、少し舞い上がり過ぎじゃなくて? それにね、あのジョアンやフラテスも初めはただの禽獣だった。彼女らが神格化したのは、決して知性があったからではないわ。だから、馬鹿げてるのよ。最後にこれは注意よ、ただの雑談ならば情報共有する必要はないわ。エコーになさい。

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【System Message】

 ▼カペルのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました


 相変わらず、レイラは厳しいのぅ。怖い怖い。

 それにしても、くるくるくるくるさっきから回ったままだねぇ。そろそろ、地底湖から竜巻の渦が降りてきそうな気配はあるんだが

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【System Message】

 ▼ナインツのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました


 いや、空気が変わったな。見ろ、兆候だ

 なんか様子がおかしいぜ。潮流の規模がでか過ぎる

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【System Message】

 ▼ロゼのパーソナル・ログがMind Watcherに共有化されました


 前例が無いのぅ。目測、百メートルは超えておるな

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【System Message】

 ▼シンのパーソナル・ログが Mind Watcherに共有化されました


 ロゼ、座標点頼む 

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【System Message】

 ▼ロゼのパーソナル・ログが Mind Watcherに共有化されました


 X 1567 Y -25600 Z 11329 

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【System Message】

 ▼シンのパーソナル・ログが Mind Watcherに共有化されました


 全員、ロゼの地点まで移動開始しろ

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 巨大樹から飛び降りた青年は、大気中を滑空し、重力に導かれて、青々とした森林地帯へと落ちてゆく。

 すさまじい速度で見るみるうちに地面が迫る直前、シンは煌々とした紅色のロッドを翳し、巨大な火球で爆風を生む。爆風の衝撃と風威を利用し、ふわっと舞い上がった彼は柔らかな土の上に着地し、的へと向かって一気に駆け出した。


 鰐の顎を持つ、巨人族[Greed]の周りでは既に閃光が華々しく散っていた。

 奴を狙っているのは、シン達だけではない、この世界のあらゆるトッププレイヤー達が、奴の命を狙っているのだ。

 それは、この世界の頂点に登り詰めたもの達だけが味わえる、極限の世界なのである。


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