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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第七章 『夢・絆』
226/242

 S13 Aブロック大将戦

 陣営に戻ってきたフランクを称え小突き回すWhite Gardenメンバー一同。

 フランクは皆に揉みくしゃにされながらも笑みを浮かべてそれに応えていた。


「お前いつからそんな役者になったんだよコイツ」


 ケヴィンに腕掛けされ照れながら顔を伏せるフランク。

 そんなフランクを仲間達は満面の笑みで見つめていた。


「これで勝負は二勝二敗だ。大将戦、リーベルト任せたぞ! ってあいつ居ねぇ。リーベルトどこ行った?」とキョロキョロと首を振るケヴィン。

「リーベルトならもう広場向かいましたよ。さっさと終わらしてくるって」とフランクがもみくしゃにされた髪を整えながらそう答えた。


 その言葉に皆が広場中央のリーベルトの後ろ背中へと視線を向ける。

 そこにはいつものように冷静なリーベルトの姿が見られた。


「あいつなら絶対勝ちますよ」とフランクの穏やかで、だが力強いその言葉。


 そのフランクの言葉に一同はただ頷いた。

 そんな中、再びキョロキョロと視線を振り回すケヴィン。


「そう言えばドナテロさんどこ行ったんだ?」

「ドナテロさんならAlchemists戦が決まった時点で居ませんでしたよ」とフランク。


 その言葉に苦笑いするケヴィン。


「マジか、大丈夫か。あの人に限って緊張するとか無いだろうけど」


 ドナテロ不在のまま今White Garden × Alchemistsの両者は最終決戦を迎えようとしていた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ■Aブロック大将戦


 ▼Alchemists

  Silvino<シルビノ>Lv19 マジシャン

  <<<VS>>>


 ▼White Garden

  Reebelt<リーベルト> Lv17 ハンター


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「それでは両者前へどうぞ!」


 リーシャンテの言葉に広場中央に出た二人は、リーシャンテが告げる前に自然と握手を交わす。


「こちらのLvに合わせて下さりお気遣いに感謝致しますよ」


 シルビノの言葉にリーベルトが苦笑を漏らす。


「俺が相手では不足かもしれないですが。うちの大将は今行方不明なもので」


 リーベルトの返し言葉に頭を下げるシルビノ。


「気を悪くされたのなら申し訳ありません。ですが決してそういうつもりでは」

「どういうつもりでも構いませんよ。どちらにせよ、結果は変わりませんから」


 そう微笑を返すリーベルトにシルビノは顔を上げると穏やかな微笑みを返してきた。


「それでは。両者、構えて」とリーシャンテが腕を振り上げる。


 高まる緊張感。いつの間にか足を止める冒険者の数も増え広場には二百人を裕に越える人々の姿があった。

 緊張のその間を思い思いに見つめる一同。全てはこの大将戦に掛っている。

 今ゆっくりと武器を構える両者の姿。


「始め!」


 振り下ろされるリーシャンテの腕。

 掛け声と同時に弓を構えたリーベルトはシルビノがエアロッドを振り返り翳すのを見て射撃の手を止める。

 今撃てばシルビノのエアカッターに矢が撃ち落されるは明白だった。シルビノがロッドを振り下ろすと同時にリーベルトは軌道から身を華麗にかわすと走りながら射撃を行う。


――エアカッターを放った直後の今なら防ぐ手立ては無い。当たる――


 リーベルトがヒットを確信したその時だった。シルビノの身体周りに到達した矢が突然その軌道を変え明後日の方向へと飛んで行く。

 その様子を見て舌打ちするリーベルト。


「ウィンドシールドか」


 風魔法『Wind Shield<ウィンドシールド>』。その効果は身体周りに風の障壁を作り、飛び道具や魔法から身を守る事が出来る。

 リーベルトが放った矢はシルビノによって作り出された急激な気流の変化でその軌道を変化させられたのだった。

 その様子に観客が湧き始める。


「流石だな。一筋縄じゃ行きそうにないな」と場外のエルツ達が呟く。


 互いに手を読み合いながら巧みに自らに有利な状況を作り出そうと手を尽くす両者。

 リーベルトが有効射程距離である五メートルラインに近づくと、エアロッドを上下に振りフェイントで牽制するシルビノ。フェイントに交ぜて当然実際に魔法を発動する瞬間もあるためリーベルトは容易に近づく事は出来ない。特に射撃速度の速いエアカッターの場合、中間距離に位置する事は安全策とは言えない。エアカッターが発動するや否や、目に見えぬ真空の刃が身を襲う事になる。並の相手ならば、そのロッドの軌跡から攻撃軌道を読む事は容易い。だがリーベルトが今対する相手はその枠には収まらない。シルビノ、彼こそがAlchemistsを取りまとめる師団長なのだ。

 勝負の行方は暫し互いの牽制による均衡状態が続くかと思われた。だが、意外にも早くその均衡は形を崩し始める。

 始めは互いに有効射程の範囲外から牽制の攻撃を繰り出していた二人だったが、次第に両者の間に変化が表れ始めた。

 その変化に気づいた一同は言葉を失いただ眼前の光景を見守る。


――明らかにリーベルトの手数が減ってきた――


 その事実に気づいたのはエルツだけではなかった。

 矢を引き絞り、シルビノを攪乱するように走り込みながら正確な射撃を繰り返していたリーベルトだったが、その手数が明らかに落ちているのだ。

 だが、これはある決定的な一つの事実を指し示していた。

 リーベルトの手数が減った理由。それは正確には撃たないのでは無く撃てないという言葉が正しい。観客から見ればシルビノはただ無造作にロッドを振り回しているに過ぎない。ゆっくりと、時には素早く振り下ろす。その緩急を付けた一見ランダムに見えるその動きは対峙しているリーベルトにとってこの上無いプレッシャーとなっていた。

 シルビノが振り下ろした軌道から身を反らし矢を撃とうとしたその瞬間、再び彼の腕が振り下ろされる。こんなタイミングで連続で魔法を発動する事は出来ない。故にどちらかは確実に偽動フェイク

 それを読み、リーベルトが矢を放つ瞬間。走りながら矢を放つと言っても流石のリーベルトでもトップスピードを維持しながら矢を放つ事は出来ない。矢を放つ瞬間は僅かにその動きを止める時間がある。それを俗にこの世界ではストップモーションと呼ぶ。

 始めはそのリーベルトのストップモーションに合わせて偽動フェイクを重ねていたシルビノだったが、いつしかそれが発動された魔法とすり替わり始めたのだ。

 エアカッターの直撃は避けるものの、少しずつダメージを帯び始めるリーベルト[HP156/200]。

 そんな戦況をリーベルトは正確に分析していた。


――行動が読まれてる。この短時間で?――


 俄かには考え難い事だが、この状況ではそう信じざるを得ない。

 シルビノはこの短時間の戦闘の中で、リーベルトの諸動におけるストップモーションの癖を見抜いている。

 そして眼前で振り回されるシルビノの腕を前にリーベルトが身をかわしたその瞬間、真空刃が遂にリーベルトの身体を捉える<D値:35>。


「リーベルト!」


 White Gardenから上がる掛け声。

 衝撃に弾き飛ばされながらもリーベルトは足を使って体勢を崩さなかった。だが、この一撃が意味するところは正直ダメージよりも重い。

 ふと攻撃の手を止めたシルビノがリーベルトに対して声を掛ける。


「とても洗練された、良い動きです」

 

 シルビノのその言葉に視線を上げるリーベルト。


「挑発のつもりです? 自分には通用しないと。そういう事ですか」


 喧嘩腰に言葉を投げるリーベルト。それは普段の冷静な彼には珍しい語気を帯びていた。

 それだけに今リーベルトは追い詰められている。


「いえ、私の言葉は本心ですよ。本当に無駄のない素晴らしい動きです。だがそれだけに残念です。君の動きは実に読み易い」


 その言葉にリーベルトが思わず顔を上げた。

 その彼の表情を外から見ていたフランクが呟く。


「まずい、リーベルトの奴。キレかかってる」


 そのフランクの言葉にユミルが心配そうに呟く。


「あんなリーベルトさん見るの……初めて」


 エルツはそんなリーベルトを見つめながらフランクに聞き返す。


「フランク、まずいってどういう意味? キレて冷静さを失うって事?」とエルツの言葉にフランクは首をすぐには振らなかった。

「いや、あいつの場合キレると……」


 再び動き出す試合。だが既に動きを読まれたリーベルトは再び攻撃の直撃を受ける。

 シルビノは一切手を抜く様子は見せない。その穏やかな表情からは想像もつかないほど卓越された読み。

 為す術も無く攻撃を受けるリーベルトの姿に一同が固唾を呑んで見守っていたその時だった。


「……調子に乗るなよ」


 そんな呟きが聞こえたその瞬間、伏せていたリーベルトがゆっくりと立ち上がる。

 その様子をシルビノは相変わらず穏やかな表情で見守っていた。

 リーベルトから受ける僅かな気質の変化を敏感に察知したシルビノは今一度偽動としてロッドを振る。そのモーションに対して不動の構えを見せるリーベルト。怒りでダメージを覚悟したのか、それならば戦況はさらにシルビノにとって有利なものとなる。

 シルビノが今度は実際に魔法を発動しリーベルトに向かって解き放つ。

 緑色の軌跡をロッドが描く中、シルビノは今までの培ってきた経験則から、この攻撃をリーベルトは避けないと踏んでいた。


――攻撃を受けながら相打ち覚悟で矢を放ちますか、しかしそれでも私にはウィンドシールドを発動する時間は充分にある。冷静さを失えば失うほど君の勝機は薄れて行く。リーベルト君。この状況で君はどう出ますか――


 放たれたエアカッターの直撃をシルビノが確信したその時だった。

 緩やかな動きを見せるリーベルト、それはまるで柳が風を流すように。放たれた真空刃は対象を見失ったまま消えて行く。

 この瞬間からシルビノの中で僅かな胸騒ぎが生じ始めた。

 何かがおかしい。何か得体の知れない歯車が組み合わさり突然動き出したような不可解なその感覚。

 相手はたかが若干十八歳の若者。だが今シルビノが受けているプレッシャーは明らかにただの高校生が放つものとは異なっていた。

 シルビノはふとリーベルトのその表情を窺がって思わず硬直した。

 背筋を駆け抜けた悪寒。彼が見せるその瞳には異常なまでの冷たさが浮びつつ在った。そしてその奥に宿るものに気付いた時、シルビノは咄嗟に全力でロッドを振り下ろしていた。


「Air Cutter」


 シルビノの表情からは既に余裕は完全に消えていた。

 放たれたエアカッターの軌道は目に見えぬにも関わらず、再びいとも簡単にかわすリーベルト。

 その様子に観客からは驚愕の声が上がりつつあった。


「どうしたんだ、急にリーベルトの動きが」驚きを隠さないエルツの隣では依然フランクが心配そうな表情を見せていた。

「見ろよ相手の顔。さっきまで雰囲気が一変したぜ。キレて冷静になる奴なんざ初めて見た。いいぞ、リーベルトそのままやっちまえ!」


 ケヴィンの掛け声。だがフランクは親友のその様子にある一抹の不安を抱えていた。


「……リーベルト」フランクの想いを前に試合の流れは完全に変わりつつあった。


 ことごとくシルビノの攻撃が空を切る。

 シルビノは相対する対戦者のその奥底に宿る何かに気付いていた。もはや読み合いというレベルでは無い。完全にそんな領域から向かい合う青年は逸脱していた。


――それは狂気――


 その危険性に気付いてからシルビノの必死の攻撃が続く。


――彼が完全に侵食される前に打ち倒す必要がある――


 だが、もはや目の前の青年はシルビノの手には及ばぬ領域へと足を踏み込んでいた。


「焦るなよ……これから面白くなるのに」


 リーベルトの一言一言がシルビノの背筋に冷気を走らせる。


――彼は危険だ――


 シルビノが再びエアカッターを放とうとした時、突然リーベルトが上空目掛けて高く矢弾を撃ち放った。その光景に対戦者のシルビノも含め全ての観客が当惑の色を隠せなかった。

 とうとうリーベルトは気が触れたのだろうか。リーベルトを狂気に駆り立てたものは何だったのか。これだけの観客の前で恥を掻かされた事が彼のプライドを傷つけたのか、それとも大将という責任の重さが彼を苦しめていたのか、何れにせよ彼のその胸の内は誰にもわかるところでは無い。

 シルビノが上空に打ち上げられた矢弾を追って視線を上げたその時だった。

 ここで再びシルビノの動きが硬直する。咄嗟に体感したその現象を前に即座に理解する事が出来なかった。

 観客の目の前で、打ち上げられた矢弾の落下の前に微動だにせずに直撃を受けるシルビノ<D値:24>。その姿に観客の誰もが声を上げた。


「何だ。何であんなの食らって……」


 再び打ち上げられた矢弾を前に明らかに動揺した様子でうろたえるシルビノ。

 観客が何事かと凝視する中、リーベルトはそんな動揺したシルビノに矢を引き絞る。

 そんなリーベルトの姿にシルビノが気を取られたその時、再び上空高く打ち上げられた矢弾が彼の身体を貫く<D値:23>。


「シルビノさん……!?」


 レオ達が声を上げる中、シルビノの身体に追い討ちを掛けるように直線状に放たれた矢が突き刺さる<D値:27>。

 一体何が起きているのか、理解に苦しむ一同。

 一見無造作に上空に放たれたように見えるあの矢がシルビノの視界ではどのように映っているのか。それはシルビノ本人と、それを仕掛けているリーベルト以外知る由も無い。

 完全にリーベルトの狂気に取り込まれたシルビノは眼前の青年に恐怖の目を向けていた。


――逆光――


 それがリーベルトが仕掛けてきている攻撃の正体だった。太陽から降り注ぐその攻撃は視界に捉えていながらも視認する事が出来ない。

 咄嗟に起きたその現象。太陽が南中している今こそ、確かに理論上は可能な攻撃だ。だが意図的に敵をそんな現象に嵌めるなど、容易な内容では無い。

 だが、流石はシルビノ。種が分かってしまえばかわすのは容易である。正確にこちらの位置に撃ち降ろしてくると言うならば、半歩下がればそれだけで攻撃を回避出来る。

 一瞬取り乱した彼だったが、状況を分析しその対応策を冷静に立て始める。

 再び上空に放たれた矢弾を前に、上空へ視界を投げる事なく半歩下がり、リーベルトの直線的な射撃に対して備えるシルビノ。

 だが、ここでAlchemists陣営から叫ぶ声が上がる。


「シルビノさん、その位置はダメだ!」


 その言葉にシルビノが再び心を揺るがされると同時に突き刺さる矢弾<D値:23>。

 思わず膝を着くシルビノ。居ても立ってもいられなくなったAlchemists陣営は皆身を乗り出していた。


――そんな馬鹿な……私の動きを完全に読み切っていなければこんな事は――


 自らに起こっている現象に苦しみ、そんな体勢を崩したシルビノの対して無情にも凶矢が突き刺さる<D値:26>。

 完全に地に伏せ転がったシルビノに対して容赦無く浴びせ掛けられる矢弾。

 いつの間にかシルビノの身体は赤点滅を始めていた。観客からは大歓声が上がる状況の中、この様子を見て居られなくなったアリエスが声を張って叫んだ。


「シルビノさん、もう止めて下さい。彼は異常です。この試合はもう終わりだ。私達の負けです!」


 そんなアリエスの言葉に深く残酷な輝きを帯びた瞳でシルビノを見つめるリーベルト。


「終わりだって……冗談。まだ止め刺してないだろ」


 そうして倒れ伏せたシルビノに向かって弓を構えるリーベルト。

 その様子を一部始終見ていたWhite Garden陣営からも声が飛ぶ。


「リーベルト、もう勝負はついてる! シルビノさんはもう戦えない。武器を収めろ!」とエルツに続いてユミルが叫ぶ。

「リーベルトさん、止めてお願い!」


 エルツ達の掛け声に視線も振らず冷たい微笑を浮かべるリーベルト。

 戦闘の継続が困難だと判断したリーシャンテが飛び出したその時だった。リーベルトの手から止めの一撃が放たれる。

 観客の誰もが息を呑んだその時。Alchemists陣営から叫び声が上がった。


「シルビノさん!!」


 倒れ伏せたシルビノ。依然赤点滅を続け横たわる彼の前に、そこに立ち伏せる一人の姿が在った。その姿にここで初めて冷徹なリーベルトの瞳に感情の色が現れた。


「……お前」


 シルビノをその一矢から守った人影。フランクはリーベルトから放たれたその矢を身体を張って受け止めていた。

 その姿を言葉を失って見つめる一同。


「冷静なお前らしくも無い。闘えない倒れた者に凶刃を向けるなんて。そんな勝ち方、お前が一番嫌いな事だろ」


 フランクの言葉が静かに響く。

 

「こんな勝ち方何の意味も無い。そうまでして勝つ意味なんか無い。目覚ませよ。そんなのお前らしくないよ」

「……フランク」


 そう呟くリーベルトの瞳は元のいつも皆の知る彼の色を取り戻していた。

 辺りを包む静寂。そんな二人の様子に観客から一つ二つ、静かに今拍手が鳴り始める。

 始めはまばらだったその小さな拍手は次第にその厚みを増し、いつしか大きな拍手となり会場を包み込む。

 勝負に水を差したフランクは罰が悪そうに顔を背け、リーシャンテへと視線を向ける。

 その視線を受けてリーシャンテは静かにPvPエリアの中央へと足を運び、試合の結果を伝え始める。


「只今の勝負ですが、まず結果からお伝えさせて頂きます。只今の勝負の勝者はシルビノとさせて頂きます」


 リーシャンテのその言葉にどよめきが上がる。


「説明させて頂きます。皆さんご覧の通り、既にシルビノさんは戦闘可能な状態ではありません。ですが、フランクさんが介入した時点では勝負はまだ着いておらず試合は継続中でした。本大会では試合中に第三者が介入した場合は無効試合、又はその第三者がどちらかの陣営に所属する場合、失格とさせて頂きます。よって本大会ルールに則り、フランクさんの介入は失格行為と判断させて頂きます。これにより予選Aブロックの対戦戦績はAlchemist三勝により、決勝ブロックへの進出を決定させて頂きます」


 リーシャンテの言葉に俯くフランク。

 そんな彼にリーベルトはゆっくりと歩み寄り視線を投げた。


「ごめん、俺のせいで」と項垂れるフランクにリーベルトは微笑む。

「何謝ってんだよ」


 そう言ってふと真剣な眼差しでフランクを見つめるリーベルト。


「謝るのは……俺の方さ」


 その言葉に顔を上げるフランク。


「皆の元へ帰ろう」


 そう語るリーベルトの表情はその責任は全て自分が取るとそう物語っていた。

 White Gardenの陣営へと戻る二人には、観客から絶え間なく拍手が送られていた。


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