【エピソード】コーヒーブレイク
エルツが企画した大会三日前、エルツはユミルとクラインの三人でDIFOREでランチをとっていた。ユミルに呼び出され二人でランチをとっていたところ偶然クラインと出くわしたのだった。
大会が近づきWhite Gardenでは大会に出場するメンバーを大まかに選定していた。
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●先鋒 ウィル・シュラク・チョッパー
●次鋒 ケヴィン・ユミル
●中堅 エルツ
●副将 フランク・リーベルト
●大将 ドナテロ
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選定というよりはただ篩い分けしただけに過ぎない。
全てのコミュニティメンバーに平等なチャンスを与えるため、提示したLvの条件にさえ合っていれば戦闘の直前まで自由にメンバーを選定出来るシステムにしたのだった。
「いよいよ大会も間近ですね。もし私に出来る事があれば何でも言って下さいね。私何でもしますから」
「ありがとう。だけどもう準備も済んでるし。やれるだけの事はやったから。後はWhite Gardenの名に恥じないように闘うだけだよ」
エルツの言葉に微笑むユミル。
そんな彼女はふとクラインに視線を投げ言葉を掛ける。
「そういえばエルツさんから聞いたんですけど、クラインさんて凄腕の占い師さんなんですか? 良かったら私占って下さい」
ユミルのその言葉にクラインがじろりとエルツを見つめると、エルツは素知らぬ顔でコーヒーを啜り始める。居辛くなったエルツは「すぐ戻る」と残して席を立って行った。
場に残された二人は暫し沈黙していたが、やがてクラインが口を開いた。
「何が知りたい?」
クラインの言葉にユミルは少し考え込んだ仕草を見せる。
「それじゃ……私の恋愛運について」
ユミルの言葉にクラインは複雑な表情で頷くと、物々と一人呟き始める。
その様子をユミルが真剣な眼差しで見つめていたその時、クラインはふっと微笑した。
「え、何で笑ってるんですか。教えて下さい?」
「当人に聞いた方が手っ取り早いんじゃないか?」
クラインのその言葉に顔を真っ赤にするユミル。
「ちょ……ちょっとクラインさん何言ってるんですか」
そうしてクラインはユミルにふと真剣な眼差しを向けた。
その表情が何を訴え掛けているのか、ユミルはじっと真剣な眼差しを返す。
「そうだな……残念だけど成就は難しいかもな。だけど、同時に新しく芽生える恋の暗示も出てる」
クラインの言葉に身体を乗り出すユミル。
「え、でも今の恋にも可能性はあるんですか?」
「今言った通り、成就は難しい。ただ気持ちに整理をつけたいなら早くしないと取り返しのつかない事になるかもな」
クラインの言葉に怪訝な表情を見せるユミル。
「どういう事です?」
その先の言葉はクラインはユミルが問い詰めても一切語らなかった。
それから暫くするとエルツが席に戻り、三人は穏やかな空気に包まれる。
「三日後の大会、もし良かったらクラインも見に来てよ。大会が終わったらコミュニティとか関係無く盛大にフリーバトルやる予定だからさ」
「気が向いたら……ね」
クラインの返答に笑みを零すエルツとユミル。
それは大会前のちょっとした息抜きだった。