【エピソード】密会
ある晴れた日の正午の事、その日DIFOREにはエルツに呼び出しを受けたアリエスの姿があった。雑談を交わしながら微笑み合う二人。
綺麗に手入れの届いた店内には入れたてのコーヒーの香りが漂い、二人はコーヒーカップを片手に談話をしていた。そんな店内に現れた二人の人影。
そこに現れたのは美しい白銀の髪をツインテールに纏めた一人の女の子と隣には茶髪のショートヘアの少年の姿。その二人の姿に気づいたエルツが笑顔で口を開いた。
「やぁ、こっちこっち」
エルツの呼び掛けに二人も笑顔を見せ、既に店で寛いでいた二人の元へと座る。
「急に呼び出して悪かったね」
エルツの言葉に少年は奥の席へと腰を沈めながら不敵な笑みを見せる。
「いえいえ、お兄様のためならいつでも駆けつけますよ、僕は。愛してますからお兄様を」
ポンキチの言葉に少し引いた目で彼を見つめるペルシア。
「あれ、今日は他の方々は?」
「呼んでないよ。あとミサには声掛けたんだけど。ちょっと今は都合つかなかったみたい」
エルツの言葉に顔を見合わせるポンキチとペルシア。
「それじゃ、エルツさん。皆も集まった事だし今日の本題をそろそろ話してくれませんか?」とアリエス。
「そうだね、それじゃ話させて貰おうかな」
そうしてエルツは三人に向けて少し真面目なその表情を向けた。
――実はさ――
何故、当人達は呼び出されたのか。その理由に困惑していた三人はエルツのその話に驚きを隠さなかった。
「随分と思い切った事考えましたね」
口元に手を当てながらそうエルツに微笑みを向けるアリエス。
「後々ミサにも話は回すつもりだけど。皆に確認とってもらいたくてさ。うちはもう何人かに合意取ってあるから」
アイスカフェを口にしながらポンキチもまた笑顔を見せる。
「流石……お兄様。うちは間違い無くOKですぜ。皆派手好きな連中ばっかなんで」
ポンキチの言葉に笑顔を返すエルツ。
「あとは皆に確認次第って感じかな。どれくらいの規模になるか、現状だと想像付かないけど」
エルツの言葉にその内容を噛みしめながら頷く三人。
「わかりました、確認取っておきます」とアリエス。
「私もちょっと交渉緊張しますけど皆に話してみます」とペルシアが続く。
皆の言葉に丁寧に「お願いするよ」と頭を下げるエルツ。
「そんな、頭下げないで下さいよお兄様。こっちだって願ったり叶ったりなんですから」
「確かに実行出来れば親睦のいい機会にもなりますしね」
アリエスの言葉に首を振るエルツ。
「まだ実行できるかはわかんないよ。人数が集まらなければ没だし」
「集まりますよ絶対。やりましょうお兄様。全面的に協力しますから」
柄にも無く興奮した様子のポンキチにアリエスとペルシアも同意する。
「人数確認次第、皆には詳細を送るから。それじゃ皆、宜しく」
エルツの言葉にしっかりと頷く三人。
それはある晴れた日の正午に行われた小さな密会だった。