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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第六章 『残されしモノ』
197/242

 S19 祈乙女の涙

 バージョンアップが行われてからは本当に毎日が新鮮だった。

 こんなに楽しい毎日が続くなんて、この世界へ来てから色々あったが天刻に入ってからのこのARCADIAという世界の充実感は一層増したように感じられた。

 天刻17、この日狩りを終えたエルツとクラインは夕方になると二人で屋台市で食事を共にしていた。相変わらず会話は少ないが、たった一度の狩りからここまで時間を共有した冒険者も珍しい。

 不思議な青年ではあるが、エルツにとってクラインは何故か気が合った。クラインはエルツの事をどう思っているかは知らないが少なくともエルツはそう思っていた。


「そろそろ、皆がログインして来る頃だな。クラインさ、本当にうちのコミュニティ来なくていいの?」


 クラインがコミュニティに所属していないという話を聞き、エルツは度々クラインの事をWhite Gardenへと誘っていたのだった。

 屋台の中でカウンターに置かれた料理が湯気を立ち昇らせる中、クラインは静かに首を振った。


「苦手だから。そういう和気藹々(わきあいあい)するのって」

「そっか……残念だな」


 人それぞれ。嫌だという人間を無理に誘うのは余計なお世話というものだろう。

 もし、クラインの気が変わったらその時はまた声を掛けよう。そんな気持ちでエルツはビールを口にした。

 

 屋台で食事を取った二人は、クエスト内容について話すため確認のためにギルドへと足を向けた。中央のPvP広場を横目に二人がギルド前の女神像へと差し掛かったその時、ふとエルツは女神像に向かってひざまずき祈る見慣れた人影に声を掛ける。


「あれ、リンス?」


 エルツの声掛けに咄嗟に振り向くリンス。


「エルツ……君?」


 驚いた表情を返すリンスにエルツは笑顔を向ける。

 そういえば、以前もこんなシチュエーションでリンスとここで出会った気がする。

 噴水に佇む女神像は変わらぬ優しい微笑みを冒険者達へと注いでいた。


「また女神様に一日の報告?」

「……うん」


 リンスがふと視線でエルツの隣に居るクラインの事を問い掛けると、珍しくクラインが自分から名乗りを上げた。


「……クラインです」

「どうも、初めましてリンスです」


 リンスの言葉に続け、エルツはクラインにリンスの事を紹介する。


「彼女とはこのゲームをやり始めた時からの知り合いなんだ。エルムの村のギルドで偶然出会って、それからの付き合いなんだよ」


 エルツの説明にクラインはリンスの事をただ黙ってじっと見つめていた。

 その視線にリンスが当惑しているのを見てエルツはふと口を開いた。


「リンス、後でコミュニティ来る?」

「え、あ……うん。後でそれじゃちょっと顔出そうかな」


 その言葉にエルツはリンスと微笑みを交し合う。


「それじゃまた後で」


 そうして、リンスはエルツ達に笑顔で手を振り去って行った。


「どうしたんだ、まさか惚れたんじゃ……?」


 そうクラインに語り掛け、エルツは彼の表情を見て言葉を失った。


「クライン、どうした……? 何て顔してんだよ」


 そのあまりに真剣な表情にエルツは言葉を失ったのだった。


「何か……聞こえたのか?」

「彼女を見て気付きませんでしたか」


 クラインの言葉にエルツは押し黙る。

 そう言えば、リンスの目元に光る輝きを見たような。


――もしかしてあれは……涙?――


 リンスに何か? まさかスウィフトと何かあったのか。

 そんなエルツの心の声にクラインは無言で首を振る。


――今から言う事を……落ち着いて聞いて――


 そしてクラインは静かに語り始めた。

 そこで、エルツはリンスのその涙の訳を初めて知る事になる。


 ■読者様からの御質問


 ここまで読者様から頂いた御質問をこちらにまとめさせて頂きます。もし、下記以外にもご質問がありましたら可能な限りではありますが承りますのでお気軽にメッセージ、又は評価フォームでも構いませんので頂ければと思います。またもし本作品への希望、こんな展開が欲しい、こんなキャラを出して欲しいという御要望がありましたら、こちらも可能な限り、こちらは若干対応出来る幅が狭いですが善処させて頂きますので、お気軽にお言葉を頂ければと思います。参考にさせて頂きます。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 Q:コカトリスの羽毛のドロップ率は以前20%程と記述がありましたが、第六章S1でのドロップ率は三匹中100%と高すぎませんか?


 A:鋭い御指摘感謝致します。申し訳ありません。これについては正直高すぎたと反省しております。バージョンアップによってドロップ率については修正が入っております(※小説中でその詳細な修正記述はありません)が、それでも30%程を想定していました。

 なので、この場合三匹が三匹ともコカトリスの羽毛を落とすパーセンテージは3/10*3/10*3/10で27/1000という事は確率にすると2.7%。有得ませんね。

 これについては、年明けサービスという事で(爆)

 単純にドロップ数を一枚に減らせばいいだけの事なのですが、残しておくのも面白そうなので今回は残させて頂きます。年明け早々、エルツには変なところで運を使って貰って後々たっぷりと働いてもらう事にします(笑)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 Q:第六章S1のコカトリス狩りに使用した両手剣フォルクスブレードについてですが、ソルジャーは装備できないのでしょうか? バージョンアップの情報ではソルジャーの装備武器欄で両手剣についての記述がありませんが、役職上ソルジャーは装備できないという事でしょうか?


 A:お察しを頂きました通り、現状ソルジャーは両手剣を装備する事が出来ない仕様となっております。こちらの装備は現段階ではフリークラスのみ装備する事が可能で、他にも両手斧・重装備(重鎧・重兜.etc)なども現段階ではフリークラスのみの装備品となっております。これらの装備については今後追加されるクラスの装備品として検討中です。ですが、もしソルジャーが両手剣を使えたらアタッカーとしてのその性能はさらに向上しますよね。ただし初期状態から両手剣の使用を解放すると、実に強力過ぎる武器でもあります。実はこれは今後のネタバレとなってしまいますが、ソルジャーというクラスにおいてもある条件を満たせば両手剣を使う事が可能となります。詳細については今後の展開で、出来れば第六章後編以降に折込みたいとは思いますが、一言この場で申させて頂くならばその使用条件とは「拡張クエスト」が鍵となります。


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