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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第六章 『残されしモノ』
196/242

 S18 GR<ギルドランク>上げ

 あれから数日間、エルツとクラインはほぼ毎日のように大芋虫の森へ繰り出してはLv上げとCR上げに精を上げていた。

 パーティ中は二人の間には、五分置きに二人が告げるクラス固有スキルの宣言以外に会話らしい会話はほとんど無い。だが、それでもエルツにとってそれは苦痛な作業では無く、むしろ心地良い空間だった。

 そんなエルツの心理がクラインにも伝わっていたのだろうか。彼は文句を言う事も無く、ただずっとエルツを後方からサポートし続けていた。

 Lv11になった今、ここに生息するキャタピラーはもはやLv12でも「1」しか経験値を入手する事は出来ない。だが、ここからのLv上げの道は、獲物の生息数の減少、戦闘難易度の上昇という至難の道を考えるとここで手堅くLv12まで上げるべきかと二人は考えていた。

 とはいえ、毎日ここでキャタピラーを狩り続けるというのも飽きる話だ。ここでふとエルツはクラインに言葉を掛けた。


「クライン、GR<ギルドランク>って上げてる?」

「……今GR2かな」


 GR2か。という事はエルツと同様このハイペースでLv上げとCR上げに時間を取られながらも、彼はきちんとクエストをこなしていたという事だろうか。だが、よくよく考えてみればバージョンアップからまだ十日あまりしか経っていない。この数日はずっとエルツと時間を共有していたし、一体どこにそんな時間があったのか。


「やるのは主に納品クエスト。素材を集めるのは面倒だから。オークションで全て買い取ってGPに精算してる」

「オークション……なるほど。その手があったか」


 流石クラインだ。バランス良く全ての要素を網羅するにあたって彼は素材集めという無駄を省き、オークションで全て必要素材を落としていたのか。

 本音を言うならば、こういうクエストは素材集めも楽しかったりするのだが、金銭的に余裕がある今の状況なら下位のクエストはすっ飛ばしてより上位のクエストに挑戦した方が楽しめる。今更、ウーピィやコカトリス狩りで素材を数十枚、何百枚と集めるのは非常に骨が折れる作業だからだ。

 それからその日の狩りを終えたエルツは夕方ギルドへと出向き、納品クエストで必要になる素材一覧を確認していた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ▼納品アイテムクエスト


 ○石ころ×10---◆GP1

 ○ウーピィの肉×3---◆GP1

 ○ウーピィの綿毛×3---◆GP2

 ○ムーキャットの爪×2---◆GP2

 ○兎石×3---◆GP3

 ○コカトリスの羽毛×3---◆GP3

 ○マンドラゴラの根×3---◆GP4

 ○フーピーの綿毛×1---◆GP5

 ○月兎石×1---◆GP10


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 現在のエルツのGPは14/100。つまり次のGR2になるためにはあと86GPが必要となる。

 石ころであれば10個の納品で1GPである事を考えると、次のGR2まで860個必要になる。


「草原で石860個拾うとかあり得ないよな。考えただけで腰痛になりそうだ」


 ならばウーピィの肉ではどうか。ウーピィの肉ならば3個の納品で1GPである。こちらならば258個で次のランクへと上がる事が出来る。

 まあ、石ころよりマシな選択肢である事は確かだが、一回の納品で得られるGPが1である事を考えると、ギルドで納品を86回繰り返す事になる。その作業は正直辛い。大体元々安価で収益の出ないウーピィの肉が258個もオークションに在庫として残っているかどうかはいささか疑問である。


「この選択も無いな」


 そうして考えると、やはり狙うはオークションに在庫が多数在り、かつ少ない納品回数でポイントを多く稼げる素材。兎石は大量購入するには単価が高すぎる。Foopyのドロップ品に到ってはまずその供給量が少ないため在庫が無い。

 この場合狙うは、それなりに供給量の多いマンドラゴラの根がベストか。マンドラゴラの根と言えば低レベル者にとってはお金稼ぎに最適の素材である。

 コカトリスの羽毛も魅力的だが、現在コカトリスの羽毛は製縫生産のレシピに含まれる重要素材となっているため、需要に供給が追いつかない状態となっている。以前であればギルドでの大量購入が可能だったのだが、現在ギルドではコカトリスの羽毛が白文字表示される事は無く常に灰色表示の品切れとなっている。大量購入を考えるとやはりコカトリスの羽毛よりも値は多少張ってしまうが、マンドラゴラの根の方が良い。在庫状況によってあとは他の素材にも手を伸ばすといったくらいの考えで良いだろう。


「となると、つまりマンドラゴラの根が何枚必要になるんだ」


 86GPを得るにはマンドラゴラの根なら22回の納品で満たす事が出来る。つまり66枚のマンドラゴラの根があれば良いという事か。不足分は他の素材で対応すると。

 そうして、夕方オークションに向ったエルツは出品期間の日付が今日中のマンドラゴラの根に片っ端から入札を掛け、翌早朝そこには約78枚のカードを集めたエルツの姿があった。

 予定枚数より多かったのは、もし入札額を上乗せされた時の事を考え保険のためにいくつか余分に入札しておいたからだ。

 そうして、必要素材を手に入れたエルツはその日、見事GR2へと昇格を遂げるのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ▼納品アイテムクエスト New!!


 ○カッターの甲羅×3---◆GP1

 ○トンネラーの爪×3---◆GP1

 ○ランプワームの胆石×8---◆GP1

 ○ウェアラットの毛皮×4---◆GP2

 ○スカウザーの鱗×3---◆GP2

 ○プターの毛皮×4---◆GP2

 ○ワイルドファングの毛皮×3---◆GP3

 ○ワイルドファングの犬歯×2---◆GP4

 ○ワンダーウォーカーの根×1---◆GP5

 ○ワンダーウォーカーの叫び根---◆GP12



 ▼戦闘バトルクエスト New!!


 ○カッター討伐×10---◆GP3

 ○トンネラー討伐×10---◆GP3

 ○ウェアラット討伐×10---◆GP4

 ○プター討伐×10---◆GP4

 ○ワイルドファング討伐×10---◆GP5


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 納品のリストを見つめながらその品目の隅々まで目を通していくエルツ。


「新しいクエストが随分増えたな……ん、これってもしかして」


 そこでエルツはクエストシステムのある事実に気付く。


「これって納品・戦闘クエストに関してはGR上がるとクエスト全部新しくなるのか」


 そう、それはつまり。以前のクエストではGPが稼げなくなるという事実を示していた。探索や催事、そして拡張クエストに関してはクエストを請負い任務を遂行するまで、その表示はずっと残るようだが、納品・戦闘クエストに関してはGRのランクアップによってその内容が随時更新されて行くらしい。

 

「なんだ……じゃもう余ったマンドラゴラの根は使えないって事か」


 だが、ギルドランクというシステムを考えればこのシステムは妥当か。

 一頻りクエスト内容を確認したエルツは表示を終了し、今度はギルドショップの品目が更新されていないかを確認する。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ■ギルドショップメニュー


 ○パーソナルブックカバー:白 300ELK

 ○パーソナルブックカバー:黒 300ELK

 ○パーソナルブックカバー:赤 300ELK New!!

 ○パーソナルブックカバー:青 300ELK New!!

 ○パーソナルブックカバー:緑 300ELK New!!

 ○アナライズゴーグル 1500ELK 【購入済み】

 ○マップスキャン範囲拡大 2000ELK New!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ギルドショップの品目についても、その内容が増えていた。


「PBカバーの種類が増えてる。それからマップスキャン範囲拡大ってのも増えた」


 機能はおそらく名前が示す通りだろう。一見、この機能による具体的な使い道は思い浮ばないが、より広範囲に渡って獲物の探索が可能になるという事だろうか。


「一応、念のため買っておくか」


 そうして、PBを閉じようとしたエルツはふともう一度ギルドショップのメニューを開く。


「折角だからPBのブックカバーの色も変えておくか。白と黒どっちにしようかな」


 別に悩むところでも無いか。後でいくらでも変えれるしな。

 とりあえず、今は白にしておこう。そういえばクラインのPBカバーの色が黒だった。

 そうして、作業を終えたエルツはギルドを後にする。用事が終わればここに居る理由は無い。


――少し早いけど、昼食にするか――

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