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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第六章 『残されしモノ』
195/242

 S17 ガードブレイク検証

 先日のクラインとの狩りでエルツは見事Lv10を達成したが、レベル以外にもその成果は上げられていた。それはCR<クラスランク>である。

 クラスランクについてもCRシステムの仕組み上、クラスランクが敵レベルより低いうちはレベル上げによって同時にCPも入手する事が出来る。基本レベル上げの対象とするモンスターは自分よりもレベルの高いモンスターである事を考えるとそれは当然とも言える。CR8のエルツがLv12のキャタピラーから得られるCPは5。大量のキャタピラー狩りを行ったあの日、クラスランクもいつしかCR9を通り越しCR10までも達成していた。

 CR10の達成と同時に得たスキルはニ種。一つはWA『ライジングノヴァ』である。

 ライジングノヴァは剣を逆手に持ち下方から上方へ振り上げる事で型が認識されるWAだ。その威力はバイカースラッシュと同値を誇り、さらに追加効果として敵を浮かせる浮上Iの効果が掛かる。

 そして、もう一つの習得スキルがクラス固有スキル『ガードブレイク』である。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ■Guard Break<ガードブレイク>


 次の攻撃に物理防御力ダウンの追加効果を発生させる。攻撃成功時、攻撃対象の物理防御力を下げる事ができ、その状態は十秒間持続する。なお、攻撃の成功判定に関わらず、その後効果は消滅する。<<再使用時間:5分>


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 このスキルはパワーチャージと同様にプレーヤーの宣言によって発動する。武器を構えた状態時のみこの宣言は有効で、発動時プレイヤーの持つ武器が赤光に包まれる。この状態で攻撃を成功させるとガードブレイクが成功し、敵の防御力が一定時間下がるという仕組みだ。

 例によってエルツはクラインと共に大芋虫の森へと足を運び、キャタピラーを相手にガードブレイクの性能を検証していた。前回までの大量討伐によりアナライズゴーグルで詳細ステータスが予め認識出来たため、検証結果は予想よりも楽に取る事が出来た。


「これもステータス値に直掛けか」


 検証結果、このガードブレイクで発生する物理防御力の減少という効果は、どうやら対象の物理防御力に0.75倍の補正を掛ける事が判明した。

 故に物理防御力「26」を誇るLv12のキャタピラーにガードブレイクを成功させた場合、その防御力は「19」まで減少する事になる。この効果時間内にさらに攻撃を仕掛ける事で、通常攻撃であればそのダウン差の値である「7」だけダメージが上昇する事になる。


「効果時間は十秒、大体普通に攻撃したら一回分か」


 十秒間という時間は長いようで非常に短い。何故なら敵と対峙した時の立ち回りの中では攻撃するだけではなく、回避する事も重要な要素であるからだ。その点を踏まえると、敵の攻撃を防ぎながら攻撃を行うタイミングは一回、多くても二回が限度であった。

 そのチャンスである数少ない攻撃のタイミングを有効利用するため、エルツとクラインと連携し二人で立ち回りを試行錯誤していた。


「Air Cutter」


 マジックチャージを使用したクラインの真空刃がキャタピラーの体勢を崩す<D値:58>と、エルツは即座にガードブレイクを宣言する。


「Guard Break!」


 エルツの宣言と共に、新調した特殊酸化鉄の剣アシッドソード)が赤光に包まれる。その状態のまま勢い良く走りこみ斬撃を浴びせる<D値:19>。ここでガードブレイクの効果が発動。

 そのまま身体を瞬間的に引き、さらにエルツは次の攻撃体勢へと移る。エルツが狙うは、もはや定番のあの技だ。


「三散花」


 乱れ移ろうエルツの剣幕の初撃<D値:25>。そして薙ぎ払いの二手目<D値:29>が続く。

 ここで二手目のヒットを確認すると同時に高らかに宣言するエルツ。


「パワーチャージ」

 

 美しく咲いた花が散る瞬間。締めの三手目<D値:60 コンボD値:114>。

 瞬間的に激減した獲物のライフゲージを見つめながら二人は微笑する。


「爽快だな、この流れは。三散花なら確かに型の条件上、十秒に収まる」


 この三散花という一連の流れを利用すれば、ガードブレイクの効果をフルに利用する事が出来る。ポップアップした与ダメージの数値からして、三散花の三連撃全てに物理防御力ダウン分の数値が乗っていた。


「アシッドの恩恵もかなりのものだね」


 クラインの言う通り、このアシッド装備の恩恵も凄まじい。

 飛躍的な与ダメージの上昇は勿論の事、物理防御力に関しても敵から受ける被ダメージを限りなく零に抑えていた。

 効率を突き詰め、ハイペースでのキャタピラー狩りが可能となった今、二人の勢いはもはや止まる所を知らず、その日の内に二人はLv11へとさらなる昇進を遂げる事になる。

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