S12 オートマタ戦 情報収集
翌日の朝AM8:55。エルツはマイルームの窓際の椅子に腰掛け、PBに見入っていた。
昨夜は双華祭を充分に満喫する事が出来た。全てが最高の思い出となったが、ただその中でももっとも印象深かったものがあのオートマタ戦だった。バトルフィールドに現れたあのMagician of Redという名の機械人形。昨夜、皆で食事を取った後、全員で再挑戦してみようという話の流れになり、全員で赴いたが結果は全員見事なまでに惨敗だった。
それからまた挑戦しようとしたのだが、オートマタ戦のイベント開催時間はどうやら夕方6:00から深夜0時までの間らしく、再挑戦する事が出来なかった。
それで、一同は再戦を誓って解散したのだった。
「絶対倒してやるからなあいつ」
昨夜の悔しさを思い出しながら掲示板で必死に情報を集めるエルツ。
だが、掲示板でも似たような状況であった。討伐報告はほとんど無く、たまに見掛ける内容も具体性に欠けたただの自己誇示としか取れない不確かな情報ばかりだった。
そんな中、エルツはふと一つの情報に目を留める。
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City BBS
▼攻略掲示板
ALL ●【攻略】オートマタ戦/Judah(01/双華/光/1 22:15)
→Re:【攻略】オートマタ戦/Ury(01/双華/光/1 23:23)
→Re:【攻略】オートマタ戦/Ghoul(01/双華/光/2 0:07)
□投稿者 Judah 【攻略】オートマタ戦
オートマタ戦に関する攻略スレ。
情報提供頼む。
ちなみに当方は制限Lv10、魔法攻撃力フルブーストの状態にて
先ほどMagician of Redをクリア。
立ち回りは下記の通り。
■立ち回り
開幕ファイアボール。敵がファイアボールを生成する前に、とりあえず一発目を撃ち込む。その後敵の射程限界まで逃げ、八メートルラインでファイアボールを誘導する。この間に、こちらもファイアボールを生成。敵が一発目を撃った後、射程外へ逃れてしまうと敵はファイアボールの生成行動を優先するので、あくまで射程内ギリギリで敵の攻撃を誘導する。二発目を敵が撃ったら即座に接近し、フロートしていたファイアボールを叩き込む。魔法を叩き込んだら再び距離を取り、射程限界で敵の攻撃を誘導し二発目確認後、接近して魔法発動。以下繰り返し。こちらの発弾数を数えていたところ、かすりHitも含め五発目で撃退に成功。
■報酬品
ピエロキャップ(効果:????????)
■クリア後
現在、Magician of Red撃退後、再びチャレンジしたらMagician of Blueが出現。防具・アクセサリは変わらず今度は互いにウォーターロッドを装備しての制限バトル。初戦は言うまでもないが敗退。撃退成功者、プレイ報告求む。
□投稿者 Ury Re:【攻略】オートマタ戦
詳細報告に感謝。しかし、報告通りにプレイして撃沈した自分がいる。二発目見てから飛び込むタイミングがどうしても出遅れる。なんか人形のくせに妙なプレッシャーを感じるの気のせいですか。しかも赤ピエロで既にヒーヒー言ってるのに後続が居るのか。なんか他の色も居そうで滅茶恐怖感じるのは自分だけ?
□投稿者 Ghoul Re:【攻略】オートマタ戦
いや他の色の可能性は否めない。Magician of Redはなんとか撃沈に成功したけど、俺もその後のBlueで今手詰まり。あの防御性能は反則的だろ。カウンターが痛すぎる。
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信憑性のある内容に読み入るエルツ。
「このJudahっていう人のプレイ報告すごい参考になるな」
そう呟きながらエルツは窓を通して入ってくる潮風に今日は少し肌寒さを覚え、窓を閉じた。
それにしても、あの赤鼻のオートマタの後にさらに後続が控えているとは。祭のお遊びのほんの一環だと捉えていたが、これは考え直さねばなるまい。本腰を入れないとイベントの完全クリアは難しそうだ。
「さてと、そろそろ今日のノルマでもこなすか」
調べ物を終えたエルツは日課となっている生産へと手を付ける。
だが、その意識は完全に蚊帳の外へと向いていた。逸る気持ちを抑えながらノルマを淡々とこなすエルツ。
祭が始まる夕方まで、時の流れが遅く感じる程、エルツにとって長い一日が始まるのだった。