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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第四章 『アンディファインド』
125/242

 S17 盲目なる生産人

 それからさらに七日が経過した雷刻 17。

 天候が崩れやすい雷刻において、雨の日も風の日も、素材狩りに専念したエルツは止まること知らぬまま三千匹近くのウーピィを狩り続け、その作業を終えた。何よりここまでエルツのこの驚異的なペースを支えてきたものは、人並みならぬ集中力とそして生産に対する熱い情熱というべきか、この領域に到るとそれは狂気とも言えるかもしれない。

 素材狩りを終えて街に戻ったエルツは、上位レシピの生産工程へと移る。入手した七百二十七枚のウーピィの綿毛のカードから、この日エルツは二十七枚のウーピィの綿服の生産に成功し、製縫のS.Lvを4.04までと上げていた。

 CITY BBSで製縫生産の情報を確認してみても、S.Lv2が依然生産を先行く者達の状況である事からも考えて、現在エルツの生産Lvの進行速度は明らかに常軌を逸していると言える。だが、エルツ自身、決して現在の自分自身の状況に満足しているわけでは無かった。何よりエルツに現在自分が製縫生産を牽引するポジションに立っているという自覚は無い。エルツが考えるに、CITY BBSには姿を見せる事の無い隠れたトッププレーヤー達が、自分を遥かに上回る発想や方法で生産にいそしんでいるに違いないと、そう考えていたからである。


 その日、掲示板ではウーピィのHQ品に関する情報がいくつか載っていた。どうやら、今ウーピィの綿防具+1製品がオークションを賑わせているらしく、大体ウーピィの綿帽子+1が2000ELKで落札されているという話だった。これから資金繰りも兼ねて、ここで一枚噛むのも悪くない。そう考えたエルツはオークションハウスへと足を運んだ。

 ここまでにエルツが生産したHQ品はウーピィの綿糸が百七十三枚に及ぶ。エルツはそこから十枚のウーピィの綿服のHQ生産に成功し、オークションに出品した。最低希望落札額はウーピィの綿帽子の倍の素材を使用する事から4000ELKに、なるべく早い周期での収入が欲しかったので出品期間は三日とした。そうして、落札額に希望を膨らませながらエルツはオークションハウスを後にする。


 オークションハウスを後にしたエルツが向う先は製縫ギルドへ。S.Lv4となったエルツはいつものように、生産レシピを確認しに来たのだった。


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●生産情報 オススメ★

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【PLAYER INFORMATION】

 PLAYER Elz

 製縫 S.Lv4


 ▼お手軽生産レシピ

 【製糸】ウーピィの綿糸 <<< ウーピィの綿毛 ★S.Lv0

 【裁縫】ウーピィの綿織物 <<< ウーピィの綿糸×3 ★S.Lv1

 【裁縫】ウーピィの綿帽子 <<< ウーピィの綿織物×2+ウーピィの綿糸 ★S.Lv2

 【裁縫】ウーピィの綿靴 <<< ウーピィの綿織物×2+ウーピィの綿糸+青銅の止め具 ★S.Lv3


 ▼オススメ生産レシピ

 【裁縫】ウーピィの綿ズボン <<< ウーピィの綿織物×3+ウーピィの綿糸×2 ★S.Lv4

 【裁縫】ウーピィの綿服 <<< ウーピィの綿織物×4+ウーピィの綿糸×2 ★S.Lv5


 ▼上位生産レシピ

 【裁縫】コカトリスの羽織物 <<< コカトリスの羽毛×3 ★S.Lv6


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 生産のレシピを見て思わずエルツはもう一度内容を確認した。

 上位レシピに現れたその内容に、初めてウーピィ以外の名前が現れていたのだ。


「コカトリスの羽毛……それならギルドで買えるんじゃ?」


 そうして、エルツは素材売買の項目を開き在庫を確認する。


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 製縫ギルド-MENU-


 ▼製縫生産とは?

 ▼生産情報 オススメ★

 ▼素材売買


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●素材売買

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 ▼素材リスト(計2品)


 ウーピィの綿毛 購:27ELK 売:9ELK

 コカトリスの羽毛 購:50ELK 売:18ELK



 ●購入する

 ●売却する


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 暗い灰色で表示されているウーピィの綿毛に対して、コカトリスの羽毛という表記が明るい白文字で表示されている事から在庫はまだ切れていないという事が分かる。ここまで、ハイペースで生産してきた甲斐もあり、このレシピまで到達している冒険者はまだ少ないのだろうか、とエルツはそう解釈していた。

 所持金を見つめながら、購入枚数を検討するエルツ。所持金はマイルームを購入したにも関わらずこの生産生活で20875ELKまで巻き返していた。


「とりあえず買えるだけ買ってみようかな。在庫はかなり余裕あるみたいだから、思い切って四百枚買ってみるか」


 エルツから出た四百枚という言葉、それを金額に換算するとちょうど20000ELKになる。

 ここに来て暴走癖が再発したのか、後先考えぬまま即決で購入ボタンをクリックするエルツ。この先、入用が出来て資金が幾らか必要になったらどうするのか、そんな事は今のエルツの頭には毛頭無い。

 それから、四百枚のコカトリスの羽毛を入手したエルツは一人マイルームに戻り、自然と零れ落ちる笑みを抑えながらまた生産に励むのだった。

 入手した四百枚のカードから行える百三十三回の生産を経て、この日エルツのS.Lvは6.34まで上がる事になる。

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