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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫  作者: Wiz Craft
〆 第四章 『アンディファインド』
119/242

 S11 上位生産

 スニーピィと個人取引の話をまとめたその日の夜、B&Bではせっせと生産にいそしむエルツの姿があった。


「ふぅ、やっと終わった……」


 昨日と今日の狩りによってエルツが得たウーピィの綿毛は七十七枚にも及んだ。それだけの量ともなると、入手した綿毛のカードを綿糸へと変換するだけで二時間近い時間が取られたが、無事変換も終わり七十七枚の成果を上げる事が出来た。同時にそれは製縫のS.Lvが0.77まで上がったという事実を指し示す。


「随分、綿糸貯まったな」


 アイテムリストを見つめていたエルツは、ふと製縫ギルドで得た生産レシピのログを開いた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【PLAYER INFORMATION】

 PLAYER Elz

 製縫 S.Lv0


 ▼オススメ生産レシピ

 【製糸】ウーピィの綿糸 <<< ウーピィの綿毛 ★S.Lv0

 【裁縫】ウーピィの綿織物 <<< ウーピィの綿糸×3 ★S.Lv1


 ▼上位生産レシピ

 【裁縫】ウーピィの綿帽子 <<< ウーピィの綿織物×2+ウーピィの綿糸 ★S.Lv2


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 レシピを確認したエルツは一人でぶつぶつと呟き始める。


「ウーピィの綿糸の生産ばかりやってたけど、ちょっと上の生産にも手出してみるか。綿織物は綿糸から作れるみたいだし」


 綿織物が作れるのであれば、さらにその上位生産であるウーピィの綿帽子も作る事が出来る。これは一度試しておくべきか。そうしてエルツはPBに生産条件を入力し始めた。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 ▼生産メニュー


  ○鍛冶 S.Lv0.00

  ○製縫 S.Lv0.77

   ・裁縫

   ・製革

   →製糸 >>>>> 【生産素材選択】

  ○魔工 S.Lv0.00


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 生産区分:裁縫

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ▼生産素材1 ウーピィの綿糸×3

 

 【生産素材の追加】


 ●生産する(生産確率:75% 生産時間:3分)

 ●キャンセル


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 表示された生産確率を見てエルツは思わず声を漏らす。


「生産確率75%か。S.Lv1の差があるだけで、25%も確率下がるんだ」


 だが、75%ならば確率は悪くない。なぜなら四回に三回は生産が成功する計算になるからだ。

 そうしてエルツは生産ボタンをクリックした。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 現在生産中です

 生産状況 1%

 □□□□□□□□□□


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ベッドに身を投げ出しながら、窓の外を見つめる。街明りによって映し出された美しい夜街。広場からは人の姿も消えギルドに灯っていた明りもいつの間にか消えていた。


「また明日朝一でギルドに行こうかな」


 スウィフト達を誘ったところ、なるべく朝から人込みは避けたいという事で、遠慮するとの事だった。確かに、またあの列の中に並ぶ事を考えると気が滅入ってくる。


「だったら朝からあの狩場行った方が効率いいか」


 二時間並んで十枚の綿毛を入手する事を考えるならば、あの狩場へ行って二時間狩った方が効率は良いのかもしれない。二時間あれば六十匹近くのウーピィを狩れるだろうし、綿毛のドロップ率が三割である事を考えると、期待値としては多くておそらく十八枚という事になる。ただ朝からあの狩場へ赴いたとして問題は、どこまで持続して狩れるかという事だが。ポップ待ちの時間はコンスタントに休めるし、気力次第で狩ろうと思えばいくらでも狩れるだろう。

 そんな事を考えながらエルツは身体を起こし再びPBに目を走らせた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 現在生産中です

 生産状況 87%

 ■■■■■■■■□□


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「87%か。三分って結構長いな」


 はやる気持ちを抑えながらエルツは、暫しまた横になるエルツ。

 そうして、その二十秒後、画面には生産終了を示す文字が表示された。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 【生産に成功しました】


 ★生産アイテム:ウーピィの綿織物


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 この瞬間は、やはり何とも言えない気持ちになる。エルツは生産されたアイテムを確認すると、自らのS.Lvを確認する。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 ▼生産メニュー


  ○鍛冶 S.Lv0.00

  ○製縫 S.Lv0.79

  ○魔工 S.Lv0.00


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 すると、掲示板の載っていた情報の通りS.Lvが一段階上の生産品では0.02の数値が上昇していた。


「0.02も上がるんだ。これはおいしいな」


 そうして気をよくしたエルツはそれから四回ほど、綿織物の生産に挑むのだった。結果は四回中、三回の生産に成功した。一回失敗した際にS.Lvに何の変化も無かった事から考えて、どうやら失敗時はS.Lvの上昇は見込めない仕様らしい。


「なるほど、上位の生産にはそれなりのリスクが生じてくるわけか。でもS.Lv上昇の期待値的には上位に挑んだ方が上昇率は高いよなこれ」


 そんな事を呟きながら、エルツは再び生産画面を開く。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 ▼生産メニュー


  ○鍛冶 S.Lv0.00

  ○製縫 S.Lv0.85

   ・裁縫

   ・製革

   →製糸 >>>>> 【生産素材選択】

  ○魔工 S.Lv0.00


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 生産区分:裁縫

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ▼生産素材1 ウーピィの綿織物×2

 ▼生産素材1 ウーピィの綿糸×1

 

 【生産素材の追加】


 ●生産する(生産確率:50% 生産時間:5分)

 ●キャンセル


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 S.Lv2の上位生産であるウーピィの綿帽子。

 この際、ついでだから試してみる事にする。生産確率は50%。充分に試してみる価値はある。

 生産を実行して、ドキドキしながら待つ五分間。そして……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 【生産に成功しました】


 ★生産アイテム:ウーピィの綿帽子


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 結果は喜ばしい方向へと転んだ。S.Lvを確認してみると、0.04の上昇が確認できた。

 一度上位生産を味わうと、そこには中毒性にも似た人を魅きつける要素が感じられる。それからエルツはその日持っていた七十七枚の綿糸を全て上位の生産へと注ぎ込むのだった。

 結果、この日エルツは製縫生産をS.Lv1.23まで上げる事になるのであった。

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