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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、教育する。
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8-8

ナツメの部屋に投げ飛ばされた心菜が着替え終わり、出発の準備ができた頃。ナツメは自身のクラスの生徒達にテレパシーを送り、学校の正門へと集合させる。


「おし。全員揃ったな?」


「はい。孫兄妹とハルト君を除き全員揃いました。」


「点呼ありがとうルナ。…所で眉間に皺を寄せている理由を聞きたいのだが。」


「何故でしょうね。夢見さんと先生の匂いが同じだからでしょうかね。」


「実は昨晩人には言えない…」


「普通に眠れないから魔法をかけに来て貰っただけだ‼︎」


心菜が言い切る前に言葉を切り、気を引き締める事を促す。一同が気をとりなおした所を見て、ナツメが口を開いた。


「今回はイギリス国王が厳戒態勢の為、通常通りテレポートでの訪英となる。全員ついて来い。」


『はいっ。』


全員の返事を聞き、テレポートを行い空港へ到着する。そして、いつも通り手続きを済ませてイギリス空都へと移動を行った。

イギリスに着いてからは、適当にマスコミから逃げ回りつつパシフィスタの居る政府官邸へと向かう。しかし、この尋常ではないマスコミの数と、普段ならば騒がしい街中が静まり返っている姿を見る限り、国内にも厳戒態勢である事を知らされている様子だった。


官邸に着くと、パシフィスタ自ら一同を出迎えてくれた。そして案内されるまま作戦会議室の扉を開けー


「ナッツメちゅぁぁぁあーぐぇっ⁈」


悪夢が見えたので即座に閉めた。

だが、それを良しとしない元凶は即座に影からその身を出そうと…


「ルナ。今すぐ俺の足の間に光源を作ってくれ。」


「え…あ、はい。」


「ふっふっふ…私から逃げようなんて…ってあれ、何で天井ーっ⁈ふにゃっ…」


上からジェシカが降ってきたのを華麗に避け、ナツメ達は作戦会議室の中へと入った。その後に続く様に顔を撫でながらパシフィスタに引き摺られるジェシカが続き、扉は閉められた。


「ここ最近イギリスと日本を往復させてしまい申し訳ない。だが、今回の戦闘を終えれば後は残り4人だ。気を引き締めてかかれ。」


パシフィスタは獅子の如く鋭い眼光で睨みつける。それに怯える事なく頷く一同に安心したのか、パシフィスタはその鋭さを解いてどの様に討伐するか相談を始める。


「一番は俺、国王、母上でエジプトの7神柱を叩き、その間にイギリスの魔法使いとうちの生徒、フランスからセルベリア様にお願いしてイギリス目下の7神柱を叩くのが理想かと。」


「確かに。その方が成功率が高い上被害は最小限になります。しかし、そうなるとロシアの動きと空の動きが気になるわね…。」


「うむ。イギリスやフランスが手薄になったタイミングで叩かれると厳しいものがある。せめてロシアだけでも牽制できれば良いが…。」


「…頭数なら揃えれる。」


突如、後ろに控えていた使用人から声が聞こえる。いや、正確にはこの使用人は魔法人形の為、プログラムされた内容以外は話さない筈だが…。

人形がその容姿を変えていき、イタリア女帝リリーナが現れた。


「ロシアの兵力の殆どは死霊兵団…。奴ら、傲慢のみが死霊兵団を使えるのかと思ったら違った…。多分全員使える。」


「何⁈つまりあれは独自魔法では無いのか⁈」


「いや…私と同じ独自魔法。でも、奴ら全員それを使える様に共有してた…。狡猾…。」


リリーナの言葉に戦慄する一同。だが、それだけ敵の統率感が強いとこちらに優位に動く事もある。


「イギリスとエジプト…2つを潰せば…ロシアとかは形振り構わず…潰しに来る…。だから、私の人形で止める…。」


「成る程。それは確かに妙案だ。」


「リリーナさん、そこに俺の悪魔人形を混ぜても大丈夫ですか?」


「…撹乱や戦力増強は歓迎。10体ほど貸して…。」


「有難うございます。」


ナツメはその場に『悪魔人形』を11体生成し、10体をリリーナに、1体を生徒につかせる。


「これなら生徒に何かあった時すぐに駆けつけれる。勿論、ロシアの方にもだ。」


「助かる…。まぁ人形操作なら…私は負けない。」


ぐっと拳を握り、やる気の無さそうな眼差しに力が入る。上手くいけばロシアも倒しかねない勢いで戦況を動かせる為、その為に必要な人材にも声をかける。


『焔、武帝、今大丈夫ですか?』


『ああ、2人とも一緒だが大丈夫だ。』


『これよりこちらはイギリスとエジプトの7神柱に対し討伐作戦を仕掛ける。その機に乗じてロシアへの牽制を強めてほしい。可能ならば…殺めてほしい。』


『何とまぁ簡単に言うものだ。増援はあるのか?』


『ああ、リリーナさんの人形達と俺の悪魔人形を使い死霊兵団を殲滅する。その間にロシアの女帝を…取るんだ。』


『成る程。確かに奴らの雑兵には困っていた。だが、大将戦ならばこちらに分がある。』


『ですね。武帝の強さならば、サシでの勝負は負けないでしょう。しかし、気をつけてください。奴らは1人1人が規格外です。気を引き締めてかかってください。』


『理解。ナツメ殿も気をつけて。武運を祈る。』


ナツメの作戦を快諾した孫龍虎、焔は即座に中国国内の魔法使いに声をかけ、その中で精鋭を集める。そしてイギリスではナツメが改めて戦力を二分させて攻める作戦で行く事を説明した。


「この作戦の一番の要は俺たちだ。3人で即座にエジプトの7神柱を潰し、直ぐにイギリス討伐に合流する。」


「…そんな元気を残せれば万歳だけどね。私の予想では貴女達が勝たなければ、イギリスは負けるわ。」


「…確かに。私達が頑張らなければ勝てないわ。前回の様子だと先生とセラフィム大統領2人でやっとだったもの。」


ジェシカとルナの言葉を聞き、生徒は黙り込む。だが、凛音とミリアムはその沈黙を打ち消すかの様に叫ぶ。


「魚釣り位私達で簡単に終わらせる‼︎任せてほしい。」


「引きこもりに制裁を加えれば良いのでしょう。楽勝だわ。」


「2人とも…。わかった。だが、何かあれば直ぐに俺の悪魔人形に魔力を注げ。即座にそちらへ向かう。」


「案外心配性だな。母親譲りか?」


凛音が軽快に笑う。それにつられ、一同が笑い出しナツメだけは赤面した。

その後、一同はイギリス国内から集めた薬を支給し来る決戦へむけて準備を始める。とは言え、前準備が完了しているわけでは無いので、出発は2日後にする事にした。

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