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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、教育する。
76/110

8-6

授業が再び再開され、ナツメが地図を消そうとした矢先。

時丸が突然声をあげ削除を止めた。


「どうした時丸。」


「この紛争の場所‼︎何か…気づきませんか⁈」


時丸の言葉に一同は地図を見つめ、そして気付く。


「これは…っ‼︎7神柱が今居る地点と同じじゃないか⁈」


そう。紛争が行われた地域6箇所は全て現在7神柱がいる位置と同じで、更に魔王が実際に飛行していた経路が現在7神柱の1人が飛び回っている空路であった。

そしてその経路は全ての点を結ぶ様に飛んでおり…。


「…っ‼︎これは奴が何年もかけて考えた魔力の循環道では⁈」


「まさか…しかしこの様に複雑な動きをする道など…。」


「あり得ません。ですが、この点をこの様に繋ぐと…⁈」


「これは…っ⁈」


それは正しく、2匹の龍が尾を噛み合い、交差する姿ーウロボロスの輪を表しており、その形に沿う様に空の点が動いている。この点は魔王が動き回った経路でありそして…


「空の7神柱が動く道と同じだ‼︎」


「まさか…魔王は既に蘇生魔法を⁈」


その真意よりも先にナツメはテレパシーを飛ばす。その先は無論先進国の首脳陣であり、その内容は勿論今の会話だった。


『聞いてくれ‼︎魔王は既に蘇生魔法を完成させている‼︎』


『何⁈』


『奴は俺に倒されるよりも遥か前…各地で起こした紛争の時から既に蘇生魔法に手掛けていた‼︎これを見てくれ‼︎』


ナツメはテレパシーに地図の画像を載せ、その地図上に描かれる∞の形を見せつけた。すると、彼らも驚きその声色を変える。


『奴らは残り蘇生に必要な対価を集めるだけだ‼︎今すぐ奴らの動きに対し警戒を強めるんだ‼︎』


『分かった‼︎こちらも気をつけるぞ‼︎』


『いや、焔は今すぐ中国へ‼︎ロシアの奴らを武帝と共に倒してくれ‼︎』


『分かった、日本は父上達に任せる‼︎』


『俺たちは明日イギリスへ向かう。海底の奴とエジプトの奴を引きずり出すぞ‼︎』


『了解した。待っておるぞ‼︎』


冷や汗をかきつつ今後の行動が決まったナツメは、生徒達にも伝える。


「そんなわけで俺らは明日から公休だ。イギリスへ行きエジプトとイギリスの7神柱を叩く‼︎」


「ま、また公休…‼︎」


ナツメの言葉に嬉しそうにするミリアム。だが、事態はそれ程楽観的なものでは無かった。


「遊びじゃないんだ。ミリアム、気を引き締めていけ。」


「あぅ…了解。」


バツの悪そうに落ち込むミリアムを他所に、ナツメは冷や汗をかく。その頭には最悪の想定があるものの、今は振り払い、授業を中断してどの様に分けるかを考えていた。

だが、結局その答えは出ないまま終業のチャイムが鳴り響き、今日の授業は終了となった。


生徒達を返した後ナツメが職員室へと向かうと、他の教師もいる中で藤堂、風雅、刀奈、宗方が待っていた。


「ナツメ、妾達に何用じゃ。」


「刀奈ちゃん、皆さんも有難うございます。」


ナツメは4人に対し、明日からまたイギリスへと全員で向かい、2人の7神柱を討伐する旨を伝える。


「つまり、坊ちゃん達が居ない間の日本の警護を任せたいと。」


「ええ。焔首相も中国へ援軍に行きますし。日本が軽微になると再度侵攻の恐れもあります。」


すると、その言葉に手を差し出して止めた風雅は、周りの教師達を見渡した。


「だそうだ。その際は君達もやれるな?」


「任せて下さい。この国を代表して守ります。」


「うむ。それに御堂葵ミドウアオイ炎堂紅エンドウクレナイにも要請は出してある。総力を尽くして日本は守る。」


風雅の言葉に安心したナツメは、 一息を吐きつつ椅子に座る。その様子に藤堂は笑いつつ、ある言葉を告げた。


「そういえばナツメ先生。中期考査の内容は決まってますか?」


「⁈…そ、そうですね…俺のクラスはあれなので、7神柱討伐で査定しようと…。」


ナツメの言葉に今度は風雅が笑う。

だが、それは嘲笑ではなくその心意気からであり


「特別クラスらしい命がけのテストですな。」


「赤点は死。生き残り逃げ延びれて50点。倒せば100点って所ですね。」


笑顔で言うナツメに一同が笑う。その様子を知らぬ者が見たら正に気が狂ったのかと思う程ではあるが、逆に返せばそれだけ生徒を信用している証拠だった。だが、その分昨日の刀奈の言葉が頭を過る。


「信頼…か。」


「まだお主はそれを悩んでいるのか。阿呆じゃのう。」


頭を叩かれながらナツメは悩む。仲間の強さを信じ頼る事が果たして自分には出来るのか。今回の戦闘はそれが試される一戦でもあると彼自身理解しており、頭の中で想定する戦い方では確実に信頼しなければならない。


「此度の戦闘。お主が信じれなければ、本当に赤点が出るからのぅ。信じてやるのじゃ。」


「…分かった。なるべくそうするよ。」


だが、ナツメの中では決まり切らずに有耶無耶なままであった。


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