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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、会談する。
58/110

6-8

観世湯取り乱した焔を落ち着かせること数十分。ナツメの服の裾をきゅっと握りつつ、落ち着きを取り戻し始めた。だが、それでも涙目で謝る焔を宥めていると


「とはいえあれだぞ…っ私は始めてだったのだぞ…⁈お前は…っ」


「ああいや、実は初めてではない。と言うか初めてだったのか。」


ナツメの言葉に驚きつつ、恥ずかしそうに顔を埋める。そしてその恥ずかしさで遂に壊れたのか焔は


「…っそれならナツメからも私にキスしろ‼︎それならおあいこだ‼︎」


「…はい⁈」


謎の理論を展開された後に焔は目を閉じて顔を上げる。そのまま待機され、ナツメが困り果てていると


「朝から何してるんですかこの破廉恥国の女王は‼︎‼︎」


「ん…んんんッ⁈」


窓から覗きに来たルナがそのまま跳び蹴りで窓を割り、中に入ってきた。焔は呆気に取られつつルナにされるがまま引き離され、ルナはナツメに詰め寄り


「先生も先生で何こんなまな板首相「⁈」に誘惑されてるのですか⁈」


「ちょちょちょっ‼︎今更っとなんか言っただろ‼︎オークスの娘‼︎お前国際問題にするぞ‼︎」


互いに睨み合いながら取っ組み合いを始める。それを見るのも何かと呆れるので気にせず部屋を出ると


「てなわけで心菜ルートにしませんか⁈」


「そうだな、とりあえず説教だな。」


朝から能天気な心菜の頭を拳で抑え、グリグリとねじ込みつつ廊下を進む。すると時丸が出てきて


「…先生、朝から何のプレイですか?」


「お前も説教が必要か?」


「ナツ時のいけない説教…ブハッ‼︎」


逃げる時丸を心菜を抱えつつ追いかける。心菜は鼻から鮮血を撒き散らす。焔の部屋では喚き散らし合う2人。更に


「おい貴様‼︎面白そうだから私も抱き抱えろ‼︎」


凛音が背中にしがみついてくる。それを見た鈴蘭が楽しそうに笑いながら


「朝から元気ですねぇ先生。」


「そう思うならお前が変われ‼︎鈴蘭‼︎」


青筋を立てたナツメを見て怖い怖いと言いつつ時丸と共に逃げ出す。特別クラス+焔のドタバタ騒ぎが始まり、結果


『申し訳ありませんでした。』


セラフィムに全員が説教された。


「そもそも勇者ナツメ。貴方まで一緒になってどうする。鳳凰姫はしょうがないとして。」


「はい。すみません。」


「まて熾天使、どういう事だ‼︎…っはい。ゴメンナサイ。」


焔が立ち上がろうとするのを目だけで牽制し、再び座らせる。するとルナが口を開き


「そもそも朝からナツメ先生に口付けを貰おうとしていた風祭首相がいけないんです。」


「⁈」


「ほう…?」


ルナの言葉に耳まで赤くした焔と、興味津々な顔をしたセラフィムが見つめ合う形に。


「一国の主が?自らの部屋で勇者に甘えた挙句?戦地に向かう朝から?勇者とはいえ色男にキスを求めたのか?」


「あぅ、それは…その…っ…あのっ…。」


「まぁモーニングキスを寝惚けて行って来たから俺からもやればおあいこだと言い始めたのがきっかけだがな。」


「⁈⁈⁈」


「ばっ…ナツメ‼︎何でそれを…っ‼︎」


「風祭首相、ちょっとお話があるのですが…。」


「ちょ、オークスの娘⁈お前それ生徒が放つ殺気じゃないぞ⁈」


「へぇ…焔はナツメの事がねぇ…。」


「やめっセラフィム‼︎そんなニヤけた顔を向けるなっ…うぐぅ…っ‼︎」


「はぁ…朝から何やってるのですか。」


慌てふためく焔を見かねた風雅が助け舟をだす。それを見たセラフィムは微笑みながら冗談だと言い、ルナもかつて風神と讃えられた風雅の前では流石に萎縮した。そうこうしている内に時間は出発直前まで迫り、一同は急いで着替えては応接室に集まる。すると風祭夫婦が待機しており、一同は空港へとテレポートを行った。


空港に着くと、持ち物や装備の最終確認を行った上で誘導員の元テレポーターまで案内された。その道中一般観光客に手を振られたり、握手を求められたりとごった返す勢いで大騒ぎとなったが、警備員により事態は抑えられ無事北海道へと到着した。

その後、一同は青森県にテレポートし、そこからの移動手段を魔法探知に引っかからないようにする為数台に分けて車で移動を始めた。

車はそれぞれナツメ、セラフィム、焔の運転で動き出す。本来ならば国のトップが運転などはしないのだが、今回は戦力以外の人間を連れて行けるほどの余裕はない為、車の運転が出来る3人が車を動かす事になった。


「大体どれ位で着くのですか?」


焔の車に乗った鈴蘭が質問すると、焔は小難しい顔をしながら


「今は高速なんて無くなったからな。下道で大体2時間位だろう。」


「にっ…2時間…。」


その言葉に鈴蘭は顔を引きつらせる。と言うのも彼女は車に乗り慣れている訳ではない為、車独特の揺れと椅子の座り心地に車酔いを起こしていた。

それに気付いたのか焔は苦笑し


「昔は皆こうやって移動していたらしいぞ。先程までいた東京からここまではもっと時間がかかったとか。」


「り、理解不能です…。」


そのままぐったりとし始めたので焔は窓を開けてあげる。すると心地よい風が入ってきたので鈴蘭は少し気分が楽になったのか、すやすやと眠り始めた。


一方、セラフィムの車では


「はい、僕の一抜けですね。」


「うげっ…また霧雨君…。」


「貴様まさか時を止めたなっ‼︎」


時丸と凛音、心菜がトランプで大富豪を行っており、久々の運転で冷や汗をかいているセラフィムを気にせず楽しんでいた。


更にナツメの方は


「…であるからにして魔法というのは…。」


「成る程。4大元素だと…。」


ナツメ、ルナによる魔法についての談議が繰り返されていた。ちなみに今は魔法の成り立ちと各種系統魔法についての基礎知識を話していた。



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