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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、会談する。
54/110

6-4

次元の裂け目を抜けると目前に広がったのは重厚な扉で、その威圧感に一同はたじろいだ。

だが、何度も経験した重みに気にすることもなくパシフィスタ、セルベリア、セラフィム、ジェシカ、ナツメは堂々とした面持ちで扉を開く。すると、そこには同じく堂々とした様子で白いドレスを着て眠そうに壁を見つめるイタリア人の女性と、和服に身を包み凜として座る日本人の中性的な顔立ちの人物が座っていた。


「これはこれは、『姫将軍ジェネラルクイーン』と『人形奏者ドールマスター』。お揃いでしたか。」


パシフィスタは2人に頭を下げると、日本人の方は怒り出し


「姫将軍は呼ぶなと言っておろう‼︎次元王よ。今の私は『鳳凰姫クイーンオブフェニックス』だ。」


「ふむ。しかしお主の采配といい一騎当千ぶりといいのう…。」


「次元王。風祭焔カザマツリホムラが困ってます。彼女に燃やされると永劫苦しみますよ?」


風祭焔と呼ばれた女性はふんっと鼻を鳴らしながらふんぞり返り、イタリア女性に一応礼を言う。それをみたセルベリアが


「焔、この若年寄は物覚えが悪いのです。余り怒らないであげて下さい。」


「『戦乙女ワルキューレ』がそう言うならば態度を戻そう。貴女に諌められては何も言えまい。」


「リリーナも宜しいですか?」


「ええ、焔が良いならそれで。」


焔とイタリア女性…リリーナは快く諾き、3人が席に座るのを見送った。すると、勢いよく扉が開き、爽快な笑い声と共に軍服の男が入ってくる。


「ハハハッ‼︎angenehmゆかい‼︎諸君ッ‼︎ドイツのお通りだ、久しいな‼︎」


大股で笑いながら入ってきたのはドイツ大統領にして『幻惑師イリュージョニスト』の異名を持つシュバルム・リュンゼンバッハだった。その声を不快そうな顔つきで見た焔は


「リュン。煩い。私の周囲を通る時には声のトーンを落とせ。」


「焔か。いつもいつもすまないな。だがこれは我が宿命‼︎自らかけた枷により声が小さくならぬのだ‼︎ハッハッハッ‼︎」


迷惑がる焔を面白がってその隣の席へと座る。すると焔は猫の威嚇のような声を出しながらシュバルムを睨み、それを宥めるリリーナの姿という謎の関係が生まれる。

それを止めること無く見つめていると、ゆっくりと扉が開き屈強な男が入ってきた。


「『武帝』孫龍虎ソンロンフー。久しいな。」


「久しく。次元王。此度は招集ありがたく存じ上げる。そして勇者ナツメ。我が子が世話になっている。」


一同に礼をしつつ、ナツメの手を取り握手を交わした龍虎の手は、魔法使いとは思えないほど無骨で大きかった。それに驚いたナツメは龍虎の目を見ると、優しく笑顔を見せるもその目は闘志に燃えており、彼を武帝と呼ぶに相応しい覇気があった。


龍虎が席に座り、残るはロシアを待つのみとなった辺りで一同は最悪の事態を想定して臨戦態勢を取っていた。

現時点までで唯一連絡の取れないロシア政府は既に陥落したのではないかと誰もが思っていた。しかし、その予想とは裏腹に時刻ぴったりにロシアの女帝は現れた。


「お待たせしました。ロシア女帝ティアナ・ソチロネンコ到着です。」


髪の毛をボサボサにして今起きたばかりと言わんばかりの表情でティアナは登場した。


「『惰眠姫スリーピィドール』が遅刻していないだけ驚きです。それでは始めましょう。」


一同が着席した頃合いを見計らい、セルベリアは声をあげた。

その声を聞いた一同は先程までの態勢を崩し、会議用の真摯な表情に戻した。

すると、その空気をいきなり壊すかの様にティアナは立ち上がり


「すみません、とりあえず一言言わなければならない事がありますね。」


と、申し訳無さそうに頭を下げた。

それを見た一同は連絡不能だった状況についての釈明かと思い、ティアナを見つめる。だが、ティアナは顔を上げた瞬間かつてない程邪悪な笑みを浮かべ


「ロシアは『魔王復興軍』7神柱・怠惰のティアナ・ソチロネンコによって既に占領させて頂いてるのですよね…‼︎ここ最近では無く私が女帝になったその時から…‼︎ヒヒッ‼︎」


耳元までつり上がった笑顔に一同は戦慄し、ティアナから一斉に距離を取る。だが、それを最もせずティアナは笑い続け


「8年も気がつかれず潜伏出来た事がどれだけ大きいか…ヒヒヒッ‼︎何もしなくても情報を得れる私がどれだけ…ヒヒヒヒッ‼︎笑うのを堪えたか…ッ‼︎堕落を意味する私が…堪えた分の報復ッ‼︎存分に味わうといいっ‼︎」


その瞬間、ティアナから溢れ出た謎の煙により、会議室内は真っ白になった…。

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