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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、帰省する。
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4-9

その後、恥ずかしさで顔を赤くしたルナと、怒りで顔を赤くしたジェシカ、そしてジェシカを見て青ざめた桜を追い出し、着替えを済ませて朝食に出る。


今日の朝食は普通に和食らしく、朝らしいさっぱりとした食事だった。

だが、空気は朝の一件でドロドロとしており


「…」


「…」


あまりにも静かな為関係ない他の人間も黙り込んでいた。だが、そんな空気を無視するかの如く凛音が口を開く。


「貴様、それは私の漬物だ。」


「あら、残していたから食べないのかと思って。」


どうやらミリアムと凛音が漬物を取り合っているらしい。


「バカか貴様‼︎漬物はな、ご飯をお茶漬けを食べた後食器を拭くように回して食す事によって庶民が行っていた江戸からの節約兼万能食品だ‼︎最後に食わないでいつ食うのだ‼︎」


「そんな諸説ある様な内容信じるか否かは本人次第でしょう。ご飯のお供に食べるのが和の心って私は聞いて育ったのよ。」


歪み合う二人。すると二人は立ち上がり


「それなら」


「いつも通り」


「「死んだら負けよ‼︎」」


「俺の漬物やるから落ち着け。後食事中だ。いきなり立ち上がるな。」


沸点の低い馬鹿二人を諌め、ナツメが凛音に漬物を渡す。すると借りてきた猫の様に凛音が大人しくなり


「す、すまん…ありがとな…。」


「…チッ。」


今ミリアムが凄い剣幕で舌打ちをした様な気がするが気にしないでおこう。と、思ったが、凛音の方向に明らかな殺意を向けようとして太志に止められた馬鹿親や、食べかけの漬物を咥えたままこちらを見てると行儀悪いと楓に怒られた馬鹿末っ子、更にナツメが怒った手前喚けない寝相最悪娘等が怒りを必死に堪えていたらしく、面白い表情をしていたので必死に笑いを堪えていると


「先生、私の残りですが食べますか?」


「ん、済まんな夢見。」


心菜が漬物を分けてくれたのでそれを食べて朝食を終えた。


その後、昨日のルナとの約束を守る為に二人で出かけようとするとジェシカがクリミナに車を出す様に指示したので、家の中でも目立ちにくい車でと頼んだ。すると


「ステルス迷彩と光学迷彩を搭載した車で宜しいですか?」


「目立たないと言うか見えないよそれ!と言うか何の為に使うのですかそれ⁈」


用途不明の車を出されたのでとりあえず乗る事に。すると、見た目は普通の車だが、ハンドルの付近にあるボタンを押すと迷彩が起動するらしく、何か困る事が起きたら押してもらう事にした。


「いらっしゃいませ。おきゃくさ…ナツメ様⁈」


近くのホビーショップに到着するや否や、店員にすぐバレてしまう。しかしそんな事を気にしていても始まらないので


「ああ。今日はこの子にぬいぐるみを買いに来た。ルナ、どれがいい。」


「そうね…なるべくなら柔らかい物が良いけど…とりあえず店内を見て回りましょう。」


店員に軽く挨拶をして店内を歩き回る事に。すると店内はすぐに騒然となり


「あ、あれはナツメ様では…⁈」


「凄い、本物じゃないか…‼︎」


「と言うか隣のあれは彼女⁈」


「いやまさか…ってあれルナ・オークス嬢⁈」


「も、もしかしてあの二人…恋人なのか⁈」


「な、ナツメ先生…私恥ずかしいのですが…っ‼︎」


「ん、どうした。」


ぬいぐるみを抱えて真面目な表情を見せるナツメに訴えかけるも、そのナツメを見て思い切り吹き出す。


「な、何だ急に。」


「だ、だって…ふふっ…先生そのぬいぐるみもって…んふふっ…真面目な顔してるから…ぷっ…ギャップが…ふふふっ‼︎」


「失礼なっ、ルナが取れと言ったんだろう。」


「だけど…ふふっ…ごめんなさいツボにはいった…ふふふっ…‼︎」


お腹を抱えて笑い出すルナに不貞腐れたナツメは溜め息をつきながら先へ進む。


「凄い仲いいな…」


「お似合い過ぎて眩しい…」


「あんな彼氏ほしい…っ男だけど。」


最後変な言葉が聞こえたが無視をして会計を済ます。すると


「ナツメ様…失礼ですがそちらのお嬢様は彼女さんですか?」


ぬいぐるみをラッピングして貰っている間に勇気ある店員が問う。しかしそれを聞いて驚いたナツメは


「い、いえ。俺の生徒ですよ。恋人はまだ考えてませんので…。」


「そ、そうなのですね。お似合いでしたので…。」


「…先生のばーか。」


ナツメの言葉に少し拗ねたルナは、その場から一度離れもう一つぬいぐるみを取ってくる。


「ナツメ『君』‼︎これも欲しいな?」


「君⁈ちょ、ぬいぐるみは構わないけど急にどうした⁈」


「どうしたって…私とナツメ君の仲でしょ?普通じゃないの。」


「あ、やっぱり恋人だったのですね‼︎」


「ちょっちが…ルナ⁈」


「べーっだ。」


そっぽを向き勝ち誇った表情でルナはナツメの腕を取って組み始めた。その行動に大慌てのナツメはどうしていいかわからず


「お、おい。ルナ、お前大問題になるから止めてくれ…っ。」


「気の利かない男は知りませんっ。」


オロオロと出てくる汗を拭うばかりだった。結局、店を出るまで腕を組んでた二人は外に出た後クリミナの車に乗り込む。すると機嫌が戻ったのかルナは


「本当にごめんなさいなんか自分でも分からないくらいムッとしてやりました嬉しかったですじゃない申し訳ありませんでしたけど温もりというかナツメ先生の腕って凄く温かくて優しかったのでついつい店出るまで離せなかったというかともかく変な感情とかではなく一時の気の迷いなんです本当気にしないでくださいと言うか忘れて下さい忘れさせてくださいああもう私は何でこんな事したの馬鹿なの死ぬのああああっ‼︎」


頭を抱え込み、ここ最近で一番の赤面をしながら呪詛の如く謝っていた。

それを気にしていないとナツメは言いつつ、後でクリミナに忘却魔法をお願いしようと考えていると


『先程の店にいた者には全てかけたので安心を。』


流石レイニーデイ家の執事長だった。

仕事が出来る使用人ってかっこいいなと思いつつ、ルナを宥めながら帰路を進む。その後、落ち着いたルナは家に着くなり


「ぬいぐるみ…ありがとうございます。」


恥ずかしそうにぬいぐるみのはいった袋を顔の前に持ってきて感謝を述べる。ナツメからするとこれで朝大人しく迎えれる確率が増えた為そこまで気にしてはおらず


「気にするな。ただ寝相は何とかしないと将来困るぞ。」


と、言い残しルナの怒りが爆発する前に自室へとテレポートした。

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