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その後暫くジェシカに可愛がられながら昔話に花を咲かせ、その度に頭を撫でられた。
「それにしても本当に成長したのね。母として嬉しいわ。」
「まぁかれこれ22年ですからね…。」
22年と言われ、歳をとった事実を突き付けられたジェシカは少し笑顔が張り付くが、何事も無かったかかの様に普段の笑顔に戻し
「永遠の17歳だもん‼︎」
「あの、それ俺の母になれないんですけど…。」
「じゅ、17歳…だもん…。」
「あーはいはいそうですねっ‼︎」
泣き落としに入り始めたジェシカを宥めつつ、時刻を見ると既に12時を回っており日付が変わっていた。
すると、ジェシカは慌てた様に影に入り
「やばい、太志さんに怒られるわ。そろそろ寝ないとナツメの部屋であんな事やこんな事してると思われてしまう‼︎」
「多分そう思うの母上位です‼︎」
ナツメの突っ込みを受けつつ、ジェシカは手を振り影へ消えていった。
それを見送りナツメは自身の部屋の前までテレポートをする事にした。
その後、部屋に入りベッドに転がろうとして違和感に気付く。
「…あの、ルナ?」
「いや、その…実は1人で寝るのが未だに慣れなくて…。」
「普段一人でしょ⁈」
寝間着姿をしたルナがベッドに横たわり、顔を赤くしながらナツメを待っていた。
「ふ、普段はぬいぐるみがあるから…‼︎忘れてきたんですよっ。私でもミスはあるんです‼︎」
頬を膨らまし逆ギレし始めたのでナツメは諦め、しょうがないのでルナに背を向けて転がる。
「明日こっちでぬいぐるみを買ってこい。今日だけだぞ。」
「うん…っ。…触らないでね?」
「触るかバカ。生徒に手を出すわけないだろう。」
そう言うとルナは少し寂しそうな顔をしつつナツメに抱きつく。
「おい…っ。」
「生徒じゃなかったら…先生は私を女としてみてくれたの?」
背中越しに伝わる温もりに少しどきりとしつつ、ナツメは少し考え
「分からん。俺は恋愛話には疎いからな。」
なるべくルナを傷付けない様に気を使って返事をした。その返事を聞いてルナは少し拗ねつつナツメを離し
「魔法バカ…おやすみなさいっ‼︎」
「あぁ、おやすみ。」
二人は背中合わせで眠りについた。
翌日。
妙な拘束感と重みを感じ、ナツメは目を覚ます。
「…あの、ルナさん?寝相悪過ぎじゃない?」
まず目に映ったのは首にかけられた腕。寝た時に背中合わせになっていた筈なのに、いつの間にかこちらを向いておりがっちりと首にかかっていた。そして足がナツメの足に絡まり、完全にナツメを抱き枕として扱っていた。その姿で麗しいお嬢様の様な寝顔を見せるものだから首から上と下のギャップが果てしなく激しかった。
とりあえずこの拘束から逃げる為に寝相が悪いお嬢様の腕を払おうとする。すると
「逃げるなぁ〜。」
寝言を言いつつナツメの真横に光魔法を放ち、床に焦げ跡を付けた。洒落にならない寝相の悪さに恐怖したナツメは
「ルナ‼︎起きろ‼︎敵襲だっ‼︎」
「ーッ⁈ど、どこ⁈」
「嘘だ。後手を離せ。そして足を解放してくれ。」
虚偽の伝達に目を覚まし、自分の今の格好に気づいたルナは耳まで赤くし自身の魔法よりも早いのではないかという速度で土下座を始める。
「本っ当ごめんなさいっ‼︎見苦しいものを見せましたっ‼︎」
「いやまぁ服を着てるだけマシだ…分かったから頭を上げてくれ。」
涙目になりながら謝るルナを落ち着かせ、許していると
「なっつめちゃ〜んっ‼︎麗しい母がモーニングコールに来ました…おいオークスの娘。何うちの息子に夜這いかけてるのです?私の闇魔法で引きずり込まれたいのです?」
「いや、あの、そう言うわけでは…」
ジェシカが影から現れた瞬間殺意をばら撒く。更に
「ナツメ先生〜っ愛しの桜が目覚めのディープなキスを…げっ。」
「F○ck'n baby.死に去らせ。『毒牙ー「全員帰れー‼︎‼︎」
朝から凄まじく疲れるナツメであった。