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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、帰省する。
33/110

4-4

「何かをやらかしたって訳でも無いのよ。ただ単にその時のクラスメイトが気に入らなかったの。」


ミリアムの話を要約すると、元々2人はSクラスで入学しており、ミリアムと凛音が自己紹介をした際『裏道でSクラスに入った』と言い出した人間が居たらしい。それにキレた2人が燃やすわ斬り刻むわで教室内が血塗れかつ肉の焦げた臭いで大変な事になったらしい。そしてそれを止めに来たのが御園とレイナだったのだが


「あの時は私も頭に血が上っててあの2人を半殺しにしたのよ。」


曰く、ミリアムの射程範囲に運悪く入ってしまった2人は思い切り切り刻まれ、即座に保健室の先生によって回復させられたらしい。ちなみに、この件の原因となった生徒は体こそ元に戻ったものの心の方は再起不能になり、それを学園側に訴えようとした親は両家の制裁を恐れて控えたらしい。何とも恐ろしい話である。


「あの時は私も死ぬかと思ったんですよね…2人共本当に怖かったですし。あれから畏怖の意味を込めて2人を『炎獅子』、『風巫女』って呼ばれてたんですよ。」


「いや、あの私昔から『風巫女』って呼ばれてたのよ⁈」


当時の惨劇を目の当たりにしていた心菜はガクガクと震えながら話す。それを聞いたミリアムは突っ込みつつ、話を戻す。


「まぁそれで私と凛音はDクラスへと落とされた訳だけれど。レイナは泣きながらこのクラスでは何もしないでねって念を推して来ていたわ。」


「その後は貴様が現れてって感じだ。だから私達が特別クラスに選抜されたと聞いた瞬間レイナは本気で喜んでいた。あの女燃やしてやるべきだったわ。」


ミリアムに続き凛音も話す。その経緯を聞いてナツメは一言。2人に言い放つ。


「お前ら後で正座な。」


「ちょ、それ嘘よね⁈」


ショックを隠せない2人はあんぐりと口を開けながらナツメを見つめる。しかし、それを無視してナツメは続けた。


「つまり、ジャイアン2人「ちょ⁈」のお陰で特別クラスを作る事に反対は出なかったと。だが確かに各学年のそれこそ教師すら倒せるレベルの実力者を一箇所に纏めておいた方が作戦としては遥かに楽ではあるな。」


ナツメの言葉に納得する一同。それこそ、凛音が言う通り肝が小さい。と言うよりは無駄なリスクを省いた計画だったと言える。


「まぁ人柱を集めるのに7神柱が直々に出てくる事も無いですし。かと言って魔法学園の、それこそ雷神の学園ならば幹部位で何とかするのが妥当ですね。」


ルナが付け足すと、いよいよ現実味を帯びてきた。その事に対しジェシカは少し考え


「と言うのが我々の考えです。どうですか、首相。」


と、いきなり声をあげた。すると何も無い空間が開き、30代位の男性が現れる。


「うむ。皆の意見はもっともだ。ジェシカ、太志、並びに勇者とその生徒。良くやった。」


「っ…‼︎ありがたきお言葉…‼︎」


その言葉に常識では考えられないほどの重圧を感じ、思わず跪く。この感覚は忘れたくても忘れない。現イギリス首相にして超越魔法の『次元魔法』の使い手。勇者を除く世界最強の1人でもある『次元王』パシフィスタ・イブリースそのものだった。


「その様にかしこまらなくても良い。勇者よ。お主とて我らと同じ高みであろう。」


「いえ、ついつい…。」


パシフィスタに諭され、姿勢を戻すナツメ。改めてその眼を見ると、威厳を保ちつつも優しい眼差しをしていた。


「他のものもこの場では気にせず姿勢を崩すが良い。余はお主らの素行を咎める程狭心では無い。」


その言葉に生徒達は肩の力を抜き、元の姿勢へと戻る。パシフィスタはそのままジェシカの方へと向き直り


「イギリスはレイニーデイ家を支援する者しか居ない。魔法先進国の中でも飛び出たイギリスが支持するのだ。他国も力添えしてくれるだろう。」


「ありがたい話です。良い弟子を持ったものです。」


「師弟問わずとも余がそうするであろう。然るべき力の使い方と言うものだ。」


パシフィスタがイギリス全てをかけてナツメ達を支援する事が驚きであったが、それ以上に彼がジェシカの弟子であった事に驚く。


「何を言う勇者よ。ジェシカが居なければイギリスは再び立ち上がる事など出来なかった。お主が戦い活躍しておる間に彼女は、太志と共にイギリスに魔法を教えイギリスを再度建国した。それ故彼女達はイギリスの英雄として讃えられている。」


ナツメは自身の母がその様な大業をなしていた事を知らず、素直に驚く。すると生徒達はそれが信じられないとばかりにナツメをみて


「世界史で普通に学ぶ事ですよ…。」


と、呟いていた。しかしナツメは魔法以外は凛音達以下である為、それらを知っていた生徒達にも驚く。


「はぁ…本当に魔法バカなのですね。」


その事を知ったルナは呆れつつも、今度教えますと言いながら話を戻し始める。


「多分アメリカも支持します。私が支持させて来ますわ。」


「ふむ、よく見るとオークスの娘か。成る程、それなら話は早い。」


それに続き


「日本は私に任せとけ。」


工作是ちゅうごくなら如果中国有あるていど一定的灵活性ゆうずうがきくよ。」


「ではオリンピアの名にかけてフランスも揺さぶります。」


それぞれ凛音、孫兄妹、ミリアムが同じく魔法先進国である日本、中国、フランスに対し話を持ちかけると言い出す。

これで8か国の内5か国は揺す振り、支持する形に近くなった。


「皆ありがとう。準備が出来次第首脳会議を開き、『正式に』俺達が魔王復興軍を追える手続きをする。これが当面の目標になる。それで良いか?」


ナツメの言葉に二つ返事で生徒達は返事し、何故かジェシカまでも


「ククク…私の内なる悪魔が早く解放せよと唸りおるわ…。」


と、厨二病全開で喜び始めた。

それをスルーしつつナツメは太志に確認を取る。


「下手に散開して1人でもかけると不味いです。しばらくここに居ても大丈夫ですか?」


「息子を家に入れない親など居ない。好きにするんだ。」


「ありがとうございます。それと、俺の部屋なのですが一番硬い部屋でお願いします。」


「…構わんがどうしてだ?」


「今回は母上だけでなく別の者まで俺の睡眠時間を狙って来そうなので…。」


主に暫く泊まり込みと聞いて目を光らせた桜とかとは口には出さなかったが、親子で通ずるものがあるのであろう。ナツメの肩を叩き悲しい表情を見せて


「去年ジェシカが壊した扉がこの家で一番硬い扉がついた部屋なんだ…済まない。」


この度の帰省は規制だらけにならない事を祈りたい。と内心で上手い事を言ったと思いつつ溜め息をつくのであった。

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