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「こほん…じゃあ真面目な話するわね。今回の騒動についてだけどー」
あの後我が子に散々バカ扱いされて半泣きのジェシカは、一度咳払いをして話をし始める。
話の論点は当然魔王復興軍についてだ。
「ナツメを通してある程度はルナちゃんの方で調べた内容は大体聞いたわ。その後『こちら』でも大まかな事を調べたけど…正直驚いたわ。こんなにも早く動いてたなんて。むしろ、『倒される事を考えていた上で』指示があったのでは無いかと思うの。」
ジェシカや太志はこれまでの功績から各国の政府達にも顔が効く。その為、情報を取り寄せるのにそこまで時間は必要としていなかった。しかし、それでも集まった情報を照らし合わせると、ここ数ヶ月で組まれた計画にしては緻密過ぎる内容だったらしい。
「藤堂学園に御園瑛里華が配属されたのは魔王が倒される5年前。その2年後に彼女は当時教頭として働いていた人間が謎の死を遂げて彼女が教頭に。その翌年気を図ったかの様に教師が一気に入れ替わったわ。つまり、最低でも5年以上前から組まれているのよ。この作戦は。」
ジェシカの言葉に思わず息を呑む一同。それを見てか見ないでかは分からないが彼女は御園、レイナ、ミシェル、ルイと他にも学園内で何度か顔を合わせた事のある教師の顔写真と詳細が書かれた紙を机の上に置く。
「彼女らは全員元魔王軍の幹部の血族よ。私と太志、ナツメが倒した幹部の名前と彼女らの本名が一致したの。」
彼女らの写真の横に魔王軍幹部の名前が書かれた紙を置く。
レイナ・T・アイリス(偽名レイナ・小鳥遊・アイリーン)
カミラ・T・アイリス
御祓瑛里華(偽名御園瑛里華)
御祓遊蘭
ルイ・モードレッド16世(偽名ルイ・ペンドラゴン)
アレクセイ・モードレッド15世
ミシェル・ハーメルン(偽名ミシェル・ハーミット)
マリガン・ハーメルン
ナツメは彼らの親の名前を見て戦慄する。この4人の幹部は全て自分が葬った輩だった。つまり、自分にいい顔で近づいてきていた教師は皆敵だったのだ。
あまりにも自然過ぎて気付けなかった自分が腹ただしく、やり場の無い怒りが込み上げる。それに気づいたルナはナツメに近寄り
「先生、落ち着いて下さい。彼女らと3年も共に学んだ私達ですら気がつかなかった事です。入ってすぐの先生が分からないのも無理はありません。」
ナツメの手を取り怒りを諌めるのであった。それを見たジェシカは小さく「やるねポイントゲッター。」と呟いたが、それを聞いて小さく頷いた太志以外には聞こえてなかった。
「詰まる所誰も気付けない位仕組まれていて、その決行が特別クラスを付きっ切りで2人が指導しているこの時期を狙い行ったという訳か。魔王復興軍という大それた名前の割に肝が小さい。」
話を聞いて苛立ったのか、凛音が毒を吐く。それを聞いてナツメはふと疑問に思う事があった。
「そう言えば…そもそも特別クラスを作らせている理由が不明ですね。幾ら藤堂先生が言い出した事とはいえ御園には止めれた筈です。」
ナツメが気づいた疑問点に一同が確かにと同意する。それに対しミリアムが疑問を解消する為の鍵となる事を言い出した。
「それは多分私達のせいですね。入学式の翌日起こした一件で御園とレイナは私と凛音をDクラスへと落としたのですから。」
何入学早々問題起こしてるんだこのお転婆共が。と内心突っ込みたいのを抑えてナツメは、ミリアムの話に耳を傾ける事にした。