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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、帰省する。
31/110

4-2

ジェシカに手招きされながら見た目は周りの一軒家と変わらない家の敷地に入ると、保護結界が張られていたのか何かをすり抜ける感覚がした。その結界を抜けるとその家の本来の姿が現れ…


「あの、マジで城何ですけど⁈」


そこには時代錯誤や国境の度合いを超えた日本の城が建っていた。恐らくジェシカが日本に訪れた際に気に入って家のデザインにしたのだろう。それにしても色々な要素が混ざっており外門は西洋風の鉄格子でそこから左手には噴水、右手には日本庭園がある。しかし道路は完全に舗装されており、ジェシカ達の住む本丸までは道一つで進めた。中に入るとまず目に入ったのはシャンデリアで照らされた巨大なエントランス。そして外装は日本の城の癖に内装は西洋の城と言う謎の構成にレイニーデイ一家を除く全員が頭を抱えてしまう。


「…あのさ、貴様の母上はどこに向かっているのだ?」


堪らず純和風の家で育っている凛音が突っ込む。それを聞いて同じく純和風の御堂3姉妹、龍膳、純洋風の家に住んでいるルナ、ミリアムが頷く。するとナツメは苦笑いした表情で


「いや、母上は気に入った要素を全て取り入れないと気が済まない性格なんだ…本当に済まない。と言うかこの家前に来た時より進化している。俺が見た事無い物がどんどん増えてる。」


何に使うか分からないレバーやスイッチまで増えている。いよいよこの母はどこに向かってるのか息子でもわからないと呆れていた。


「おかえりなさいませ、ナツメ様。お付きの方々もご足労様です。荷物は我々が各部屋に運んでおきます。」


「久しぶりです。クリミナ執事長。わざわざ出迎えありがとうございます。」


ジェシカと太志を部屋まで護送した後、この家に仕える使用人の長であるクリミナがナツメ達を迎えに来た。それに続く様に男子には執事が、女子にはメイド…と言うより侍女が付く。もうこの辺の違和感にはいよいよ誰も突っ込まなくなった。


「それでは荷物はお送りしておきます。それと各自の部屋には我々がお送りしますので安心を。それでは奥様方が客間に連れて行く様に申されてましたので、お連れしますね。」


クリミナは使用人達に荷物を送る様指令を出した後、階段下にある謎のスイッチを押す。すると、急に人数分の椅子が現れ、全員が強制的に座らされる。


「あ、あの???クリミナさん⁈」


「慣れるまでは大変ですが、慣れると楽しいものですよ。あ、後女性の方はスカート抑えといた方が良いですよ。」


ポカンとするナツメ達を他所に全員の椅子から拘束具が飛び出し、体を椅子に固定する。そして次の瞬間


「ちょぉぉぉぉぉっ⁈⁈⁈」


全員の椅子がジェットコースターの如く高速で動き始める。そのあまりの早さにクリミナ以外は叫びながら客間へと運ばれる。

時間にして数分の事ではあったが何時間も耐久させられたかの様な体感があった。客間に到着するとゆっくりと停止にむかい減速する。そのまま、その椅子は客間の椅子となり拘束具のみ外れて体は自由となった。


「し…死ぬかと思った…。」


髪の毛がボサボサになったハルトはよろけながら立ち上がり、その場で倒れこむ。相当きたらしい。

対して凛音とミリアムは途中から楽しかったのか、目を輝かせながらクリミナに対し


「これもう一回エントランスに行ってやり直していいか⁈」


と、子供じみた目で彼を困らせていた。その横では鈴蘭が青い顔をしており、楓に背中をさすられている。更に横には涙目の桜が椅子から動けずに俯いていたのでどうしたのかと尋ねると


「…こわしゅぎてちびった…。」


しゃっくりを上げながらナツメに抱きついてきた。それを宥めているとよろよろになりながらルナが立ち上がり、目を回して倒れこむ。孫兄妹は立ち上がれず目を回しながら椅子にもたれかかっておりそれを時丸がフラフラになりながら起こしていた。そして龍膳は…


「…凄い。このまま失神している。」


元々細目の為分かりづらいが、座って腕を組んだままピクリとも動かず失神していた。龍膳は図体が大きい為それだけでもかなり威圧感がある。その様子を見たクリミナは


「このまま玄関に置いておけばいい防犯になりそうですね。」


「ちょ、クリミナさん⁈」


真顔で冗談を言い始めた為ナツメは驚きながら突っ込む。ちなみに心菜はあまりの怖さに自ら魔法をかけて眠っていた。そのままだと色々見えている為ナツメはそっと風魔法で直してあげる。そうしたまま暫く時間が過ぎると


「ヒャッホォォォォォオ‼︎」


超ノリノリで椅子に乗るジェシカと、その横を同じ速度で走る太志が現れた。


「皆さん楽しんでくれました?…おや、死んでますね。おお、生徒達よ。死んでしまうとは情けない。」


『どんな家ですかここ‼︎』


心配そうな顔で生徒を見つめるジェシカに普段は大人しい心菜や龍膳までも突っ込む。それを見て安心したジェシカがにっこりと笑い


「うん、元気で宜しいです。」


と言いながら椅子に座る様手を差し出した。言われるがままクリミナを除く全員が座る。すると、ジェシカが真面目な表情をして一言。


「これより先我々が話す事は世界に関わる事柄です。他の機関にばれない様総員常に警戒しなさい。」


全員を睨みながら言う。流石は世界最高峰の魔法使い。その眼光に撃ち抜かれた生徒達はゴクリと生唾を飲み、真剣な表情に変わって次の言葉を待つ。すると


「…1度言ってみたかったのよねこれ。うふふっやった‼︎太志さん言えたよ‼︎ふふっ‼︎」


先程の表情を一変させ子供が見せる様な笑顔で太志とじゃれ合う。その切り替わりに総員こけ、呆れた眼差しで何故かナツメを睨む。するとナツメは俺を見るなと視線を逸らしつつ


「母上、そろそろ本題を話さなければ俺への視線が痛いです…。」


と、耳打ちをする。するとジェシカは少し残念そうにしながら


「わかったわ。では改めて…。」


再び緊張が場を張り詰める。先程以上に真面目な表情を見せた。そして次の言葉を待っていると、意を決したかの様に顔を上げ


「この中で誰がうちのナツメと付き合ってるの⁈」


「母上⁈⁈バカなの⁈初めてこんな口聞きますけどバカなの⁈⁈」


ジェシカの発言に女性陣…と言ってもナツメに好意を抱いているルナ、心菜、桜、凛音、ミリアムは耳まで赤くし、他の生徒達はポカンと口を開けていた。

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