表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、先生になる。
3/110

1-3

その後、生徒会活動の報告等が行われた後、全校集会は終了して解散となった。


「ではナツメ先生、まずは職員室に案内しますね。」


全校生徒を見送った後、藤堂に連れられて職員室へと案内される。

その道中で色々校則について教えてもらいながら、二人は昔話に花を咲かせていた。


「あの頃の坊ちゃんは色んな意味で将来が楽しみでしたよ。」


「いやいや、そんな昔の事ですから…。」


と、談笑していると頭上にある看板に書かれた『職員室』のプレートが見えてきて、


『こちらです。道は覚えて頂きましたかな?では後ほど会いましょう。』


と、テレポートでその場を去って行った。

昔話の名残を惜しみつつ、一度深呼吸した後扉を開けると、


ーナツメ先生いらっしゃい!ようこそおいでました!!ー


と書かれた垂れ幕に腰を抜かしてしまった。


「あ、あの、これは…。」


「ナツメ様が赴任されると聞いて即座に作りました。」


そう言ってニコニコと近づいてきた若い女性は


「万国語教師のレイナ・小鳥遊タカナシ・アイリーンです。以後よろしくお願いします。」


と、いきなり抱擁してきた。


「ちょ、あの⁈」


あまりの事態に慌てふためくナツメ。

その様子に周りの教師は『ああ、いつものあれだよ。』と呆れていた。


「いつも通りの痴女っぷりは良いとして、ナツメ先生が驚いてるので離れなさいよ。レイナ先生。」


次いで出てきた大人びている女性は見覚えがある。

と言うのも、先程紹介してくれた女性だった。


「改めてナツメさ…先生。私は御園英里華ミソノエリカと申します。担当は数学で、一応この学園の教頭です。よ、よよよろしくお願いします。」


目を合わすたびに言い淀む姿に苦笑いしつつも、こちらこそと頭を下げる。

レイナに抱き締められたままだが。


「俺はルイ・ペンドラゴン。旧イギリスから逃げ延びれた社会教師さ。ちなみにかの有名なアーサー王の子孫らしいけど何百年も昔だ。分かるはずない。」


更にその後ろから頭を下げてきたのは、いかにも英国紳士なルイだった。


その後も、各科の教師から挨拶をされ、その都度頭を下げたり、握手を交わしたりとしている内にチャイムが鳴った。


「そんな感じで挨拶も終えましたし、早速補助担任という形でクラスを持って欲しいのですが…運の悪い事にレイナ先生のクラスですので、よろしくお願いします。」


「ちょ、えりちゃん運が悪いってどういう「レイナ先生?学園内では公私混同しない様に?」「はい…。」


どうやらプライベートでは仲の良い二人のやり取りを遠巻きで見つつ、レイナと共に職員室を出る。


「いやー、見苦しい所をお見せしました。」


エヘヘと笑いながら自然と腕を組んでくるレイナを他所に、思いの外緊張しているナツメは上の空で返事を返す。


「運が悪いって言われましたけど、そんな事ないですからね?

うちのクラスは才能ある子ばかりなので、教え甲斐がありますよ。」


その言葉に少し表情を崩す。

思えば自分も学生になる歳の頃は思い切り魔法の鍛錬を重ねていたものだ。

まだ7年程前の事だが、昨日の事の様にその日々は記憶されている。

そんな将来有望な生徒達へ自分が教える立場になる…それだけで感慨深いものがあった。


自身の過去と照らし合わせ、ある種恩返しみたいな形となるその最初の一歩に期待しつつ、自分がこれから担当するクラスの扉を開けてみれば…


『燃え盛れ紅蓮の炎‼︎炎王蓮舞ヴォルケイノ・ダンス‼︎』


中級魔法が飛び交っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ