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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、狩猟する。
26/110

3-8

暫く移動をしているとナツメは探知から距離を取っていた鈴蘭、楓の2人組を見つける。どうやら先程まで戦闘を行っていたルナ、桜と合流する形らしい。ナツメが移動してきた方向に隠れながら移動していた。

今彼女らに戦闘を吹きかければ合流を避けれるものの、鈴蘭はおっとりしている様に見えて案外頭の回転が早い。もしかすると戦闘をしながらルナ達を呼び込む可能性がある為一度見逃す形にした。しかし、何もないところで鈴蘭が転け、立ち上がろうとした時運悪く目が合う。


「「あっ…。」」


「な、ナツメ先生…‼︎」


2人は立ち上がり、すぐさま戦闘態勢にはいった。運が良いのか悪いのか呆れたナツメは溜め息をつきながら2人に対峙する。そのまま3名は膠着状態が続くも、暫くすると鈴蘭が堪らず口を開く。


「…ナツメ先生。もしかしてぱんつ見えた?」


「…はい?」


見れば恥ずかしそうに顔を赤らめながらもじもじしている鈴蘭が。予想の斜め上をいく開口一番に呆気にとられつつも否定し再び沈黙が流れる。しかし


「…絶対見えましたよね。」


「…鈴蘭といい桜といいどうしてこうも空気が読めないんだ‼︎」


「本当すみません、うちのバカ姉妹が本当すみません‼︎後で叱りつけますから‼︎」


ジト目で見つめる鈴蘭に頭を抱えるナツメ。そしてそのナツメにぺこぺこと謝り続ける楓という謎のシチュエーションが続く。すると、鈴蘭の要請を聞いたのかルナ達がこちらへ追いついた。


「っ…?こ、これは一体…。」


「実はな、私が転んだ時にナツメ先生が…。」


「鈴姉さんは本当阿呆なんです。ナツメ先生許してあげてください‼︎」


「いや、まぁ良いけど…。」


「ちょっ鈴姉様いつの間にナツメ先生の子供を⁈姉様でも許さないですよ⁈」


「桜はもうそのナツメ先生脳を一旦無くしなさい‼︎」


その場で騒ぎ始める3人に頭を抱えるナツメと楓。終始楓がナツメに謝っていた。

余りにも戦闘状態になり辛い環境に焦りながらもとりあえず一旦お互いに解散しようかと提案するナツメ。しかし、鈴蘭はそれを断り、冤罪ではあるものの下着を見られたからにはと涙目で戦闘態勢に入った。それを見て何故か桜は鈴蘭に対し戦闘態勢に。その2人を仲裁しようと楓も入る。今度はルナとナツメが取り残された。


「なあルナ。御堂3姉妹って仲悪いのか?」


「い、いえ。超が付くほど仲良しの筈ですが。ただ、暴走する2人を毎度楓が懲らしめてると聞いた事はありますよ。」


「はぁ。なぁ、これ俺何処か別の所行っていいか?」


「私もちょっと疲れたのでお供してもいいですか?」


ルナの要請に二つ返事で返す。2人は御堂3姉妹を放っておいて休息がてら散策に出かけた。

道中、一応警戒をしながらナツメはルナと会話をする。


「しかしナツメ先生ならてっきり断るかと。」


「別にそこまで付き合いは悪くない。敵同士だとしてもだ。それにその気になれば12人位どうにでもなる。」


「…禁忌魔法を生徒に使う先生なんて過去にも未来にもナツメ先生位になると思いますよ。」


ナツメが言った言葉の意図を掴んだルナはドン引きした表情でナツメを見つめる。しかし、ナツメは大真面目に言っている様でその肝の据わり方に溜め息を吐くばかりだった。


「桜がナツメ先生を短期間で好きになった理由がわかりましたわ…。」


「そう言うのは疎いらしい。俺には未だにわからん。」


「簡単な話ですよ。これだけ真摯に向き合って見てくれも良く強くて収入もある。何処に欠点があるのですか。世の中の殿方に少し分けてください。」


「たまにルナは無茶を言うよな。」


呆れたナツメの表情を見てルナはクスクスと笑う。その笑顔が彼女には珍しく年相応の笑顔にみえた。


「ルナは普段から難しい顔をしているから今の笑顔の方が良いぞ。」


何の気もなくルナを褒めると、これまた珍しく顔を赤面させて慌て


「そういう所は嫌いです…っ。」


と、恥ずかしそうに呟くのであった。

その後、会話は途切れ無言で散策を続けていると、先程御堂3姉妹と別れた地点に戻る。すると


「I'm winner‼︎」


鈴蘭と桜を下敷きにして2人の上に立つ楓の姿があった。それを見て更に2人は溜め息を吐いた。


「…あれ、先生、ルナさんお帰りなさい。デートは楽しかったですか?」


「でででデートじゃありません‼︎」


楓の冗談を間に受けたルナは慌てふためきながら否定する。それを聞いた桜はいきなり息を吹き返し


「シャーッ‼︎」


ルナを威嚇しながらナツメの腕にまとわりついた。そしてナツメを見つめながら『ウチとはデートしないの?』と言わんばかりに寄り添い始める。だんだんレイナ化してきた気がする。


「デートでも何でもない。ただ単に気分転換に散策をしてきただけだ。」


「二人きりで散歩してたらデートです‼︎」


桜が睨みつけてくるものだから思わず頷く。そして、この授業が終わったらデートする様にと釘を刺され、頷かざるを得なかった。


結局、戦闘態勢に入る事もなく桜による威嚇によって一同は解散する形を取った。

今日に入って戦闘よりも人柄に注視する事が増えたナツメは、一度気分転換を行う為藤堂と合流する。すると、藤堂の方も何かあったらしい。疲れた表情でナツメの方へとやってきた。


「な、何かあったのですか?」


「龍膳君の罠地獄にあったのですよ…。」


藤堂の一言で納得するナツメ。彼の罠魔法は彼の発動宣言が要らない為交戦中だと気付けない。その結果、如何に熟練された魔法使いでも彼の罠には引っかかる形となる。


「ちなみに坊ちゃんはどうされましたか?」


「修羅場に遭遇した。」


藤堂もナツメの一言で理解をする。特に、あちらの方はナツメの取り合いが激しいと理解していたからであった。

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