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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、狩猟する。
20/110

3-2

一方、危機を脱したルナ、時丸、春詠とサポートした鈴蘭を始め楓、桜は同じ地点に集まり、自身達の無事を確認していた。

とはいえ、特に外傷はなく被弾した訳でも無い。体自体は何の問題も無い状況ではあるものの、実際に対峙せざるを得なかった3人は冷や汗をかき息を切らしたまま無言になっていた。


「ルナ、とりあえず落ち着き。今お茶を入れたから。」


「…落ち着いてるわよ。落ち着いてるけど、魔法を交えて気づいたわ。自分の愚かさに。正面から行って勝てる訳が無いわよあんなの…‼︎」


今までに無いほど取り乱した様子で言葉を荒げるルナに、助け出した鈴蘭も無言になってしまう。しかし、それは仕方ない事で、詠唱を中断させられた挙句無詠唱で自分ができる限りなく全力の魔法をぶつけても眉一つ動かさなかった。更に、遠くから自分が発した極少量の魔力を即座に逆探知され、その上迷彩をかけている自分達に的確に魔法を放ってきた。その類稀なる魔法のセンスに終始圧倒されてばかりだった。


当它是有道理的かんちできたなかだと老师总是神奇的检测在せんせいははんけい2公里位置的半径キロくらいでつねにまほうたんちしてたよ...。」


愕然とした表情で春詠は首を振り、お手上げだと言わんばかりに体を投げ出した。その言葉に愕然とする一同。と言うのも、現在春詠の妹である妃がこの訓練所の最大距離を調べているのだがおおよそ4㎞四方で囲まれている。つまり、彼らが全く感知されずに身を潜めれる範囲は面積にして最小約4㎢の円と被さらない地域しかない。しかし、ナツメ達は常に移動を行っている為その範囲が分からずまた、その気になれば12㎢分の範囲を形を変えて詮索可能である以上常にこちらも最長距離を保たなければならない。


「…それだけならまだ良いんですが、最も警戒すべきは探知魔法を飲食の補給地点に留まらせられる事です。」


気まずそうな表情で桜が口を開く。

実は、探知魔法には範囲捜索を行う方法と地点を指定してその場に留まらせられる、設置探索を行う方法がある。

この二つの大きな違いは範囲捜索は近辺に目的がいる場合で使用されるのだが、設置探索は目的がその場に来るだろうと想定し、予め幾つかの地点に配備しておく用途で使われる。

つまり、今回の様な持久戦を最初から目的とした状況では既に抑えられてる可能性の方が高い。


「しかしそうなると不可解な点があります。もし、設置探索と範囲捜索を同時進行しているのなら、範囲捜索に留めた方が探索範囲も広がり効率が良いのでは?」


ここで、楓が思わず口を開く。確かに、設置探索は常に留まらせる為に範囲捜索以上の魔力を使う上、他の魔法の能力自体が低下する。もし、ナツメが範囲捜索のみに絞るとするならこの訓練所自体覆われても仕方が無いレベルになるだろう。


「…つまり、そこが攻略のポイントになりそうですね。楓ちゃんチョベリグ‼︎」


「ふっる‼︎」


鈴蘭の死語に呆れつつ楓は幾つかの可能性を考える。

一つは別々に行っている可能性。

一つは授業という事で手を抜かれている可能性。

一つは片方が本当に負担している可能性。

別々ならば片方を潰せば行動範囲はぐっと上がるものの、それが行えそうな状況ではない。

手を抜いているのは一番最悪のパターン。切り替えられたら元も子もない。

1人で負担している場合は好都合で、負担している側の集中を途切らせるだけで、その間一気に行動範囲が広がる。


とはいえ、どれも対峙する形になるので正直勝ち目はない。しかし、全員ならば状況を打破できるのではないかと考え始めた。


その頃、ナツメと藤堂は今後の対応について話しながら歩き回っていた。


「恐らく一番厄介になるのは御堂3姉妹でしょうね。」


先の対応力を目の当たりにしたナツメの言葉に藤堂は頷く。


「鈴蘭の相生の使い方は天下一品です。その妹の楓は逆に相剋が上手い。更に桜に限っては俺以上の系統適正力です。」


「なかなか辛いですね。彼女達に対しては坊ちゃんの方がまだ相性が良さそうです。」


「ええ、桜は兎に角上2人に対しては混合魔法だけでは対処しづらいですからね…。次に面倒なのは夢見、霧雨の規格外達です。」


「確かに。あの2人が同時に来ると中々対処が難しいですね。」


「ええ、しかもそこにルナが入ります。防御魔法の手を緩めれば一気に持っていかれるでしょう。」


「成る程。後は…個人的にハルト君も怖いですね。彼の攻撃は物理になりますから。」


「ええ、その場合は『剣聖憑依』を使う事も覚悟しています。」


ナツメの言葉に驚く藤堂。それ程までに学生の内から力を秘めている生徒に対し、驚きと喜び、そして恐怖すら覚えた。


「全く…彼らの才能が羨ましいですよ。」


藤堂の言葉に嬉しそうに笑顔を送るナツメ。

彼としても予想以上の人材の豊富さに喜んでいた。

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