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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、指導する。
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2-6

結局、二人の機嫌が治らないまま授業が終わりそれぞれ解散し始めた。

すると、桜がナツメの元へとやってきて明日の朝からトレーニングをつけて欲しいと頼んできた。しかし、ナツメの方も朝は魔法体術の稽古がある為時間は無いと断ると


「それならウチも体術する。魔法制御を鍛えるには良さそうやし。」


と、同行する気でいた。

それを聞いた凛音とミリアムはそれに同乗し二人も始めると言い出す。すると、桜と凛音、ミリアムは目から激しく火花を散らし合う始末だったので竜三に助けを求めると


「まぁナツメさんと特訓なんてこんな機会でないと出来ませんし。良い経験かと思いますよ。」


と、やんわりと逃げられた。

そして困った事にそれを何処から聞いたのか心菜や時丸まで放課後に頼み込んで来るものだからナツメは溜め息がてら諦め、ナツメを含む計6人で明日の朝からお邪魔する形をとった。


「流石ナツメさ…先生ですね。二日目なのにもう生徒に懐かれてます。」


職員室でその事を溜め息がてら瑛里華に話すと、それが嬉しいのかニコニコしながら返してきた。


「あれはもう懐くというよりは女の目をしてましたが。あ、霧雨君は除きますよ?」


少し離れた所で聞き耳を立てていたレイナが、不機嫌そうに言う。

今日1日ナツメに殆どくっつけなかったのが相当きてるらしい。


「まぁ年齢的にもいいお兄さんですからね。我々みたいな中年よりも話しやすいですよ。」


「「「私達まだ20代なんですけど⁈」」」


ルイの発言に声を揃えて目を釣り上げる瑛里華、レイナ、ミシェル。

と言うかミシェル20代だったんだとナツメは驚くが、口に出すと爆裂草を飲まされた上で魔力を当てられそうなので口には出さない。


「いえ、きっとネームバリューですよ。勇者という世間の肩書きに師事するって言うのは逆の立場でも分かりますし。特に伸び盛りの時期ですから…。」


「彼女達はネームバリュー気にする子では無いと思うの。霧雨君はわからないけど。先生見てくれ良いんだし、面倒見良さそうだから女性からのポイント高いわよ。霧雨君は別だけど。」


ナツメの苦手分野を淡々と語るミシェル。と言うか時丸をハブるのはそろそろ可哀想だからやめてあげて欲しい。

そもそもミシェルには語る程恋をしてるイメージがない。恋愛より実験を選びそうな明らかなマッドサイエンティスト気質だし。


「ミシェル先生やっぱわかってます‼︎私もナツメ先生みたいなの大好きですし。今すぐ持ち帰りたい。」


そんなミシェルに同意し最早歯止めの効かない位危険な発言を始めたレイナに、瑛里華は一度後頭部を叩く。その後涙目のレイナと瑛里華が騒ぎ始めた所で、藤堂からテレパシーを受け取った。


『ナツメ君。話したい事があるからこちらに来て欲しい。』


真剣な面持ちで話す藤堂に対し、二つ返事で了承して学園長室へと向かう。

とはいえ、呼び出されるとするなら概ね今日の診断結果であろう。


「ナツメ入ります。」


扉をノックした後、中に入り一礼する。

すると、困った表情で藤堂は悩んでいた。


「あぁ、ナツメ君。良いところにきた。実はだな。」


と、藤堂が話し始めた内容は概ね予想通りで、心菜、時丸、桜の度を超えた診断結果を報告した際、国から3名に対し特別カリキュラムを組む様命じられたらしい。


「そして、そのクラスにはナツメ君が特別に免許は無いものの担任としてついて欲しいのと、ナツメ君から推薦された生徒数名をそのクラスに昇格させたい。どうかね?」


思わぬ速さでの担任持ちに驚きつつ、藤堂の目を見るに拒否権は無い形であったので、それを了承した。

と言っても、拒否する理由も無いわけで、ナツメとしてはむしろ好都合だった上、特別カリキュラム専属という形になり、他の生徒への指導は別の人間が取り仕切る形になるとの事なので、尚の事自身を高めるにはもってこいの環境になる事が分かった。


そしてそれらに着手する為、ナツメは早速『1年から3年』の診断データを手にして選抜を始めた。


…まず外せないのは凛音、ミリアムのペア。その他にも何人か磨くべき原石はいたが、これ以上の者はいない。

更に推敲するなら他学年。直接見てはいないものの、すれ違った時等普段の生活で会った時に違和感を感じる生徒がいた。

それらを全てリストアップし、藤堂へ提出する。

すると、藤堂も納得する人選だったのか


「彼らなら大丈夫だ。任せたぞ、ナツメ君。」


と、今日初めての笑顔で応えてくれた。

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