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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
生徒、躍動する。
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11-7

 睨み合う双方。先に動いたのは生徒達だった。


「皆、時間を稼いで。私がこいつを弱らせるわ」


 リヴァイアサンを睨みつけるルナ。そして腕まくりをした彼女は自分の持つ活力薬を全て飲み干した。


「私が唯一無詠唱で扱えない魔法を放つわ。だからお願いね」


「なんだそれは……貴様にもそんな魔法あるのか?」


「あるわよ勿論。少ないけれどね」


 凛音の言葉に少し呆れたルナはそれでも余裕を崩さず凛音とミリアムにだけテレパシーを送る。


『……多分、それでも倒しきれないわ。だから貴女達がトドメを刺しなさい。私は確実に魔力切れを起こすから』


『……分かった。死ぬなよ』


『お互い様よ』


 無言で頷く3人。そしてリヴァイアサンを睨みー


「桜‼︎かますわよ‼︎」


「分かった‼︎」


 凛音とミリアム、桜が飛び出し、それぞれリヴァイアサンに魔法を放ち始めた。


『その様な攻撃……誠に脆弱‼︎』


「果たしてそうかな……?凛音‼︎」


「任せろ‼︎

踊る炎精、煌めく蒼炎。淡い揺らめきは燃え移り、揺蕩う炎は永劫燃える。移ろえ‼︎『蹂躙炎舞(フレイムダンス』‼︎桜‼︎」


「オッケー‼︎水生木‼︎『樹鱗漠成ジュリンバクセイ』‼︎……ミリアム‼︎」


「ええ。

吹き荒ぶ大風、舞い上がる強風。炎を煽る神風は、大地を燃やし焦土に変える。荒れろ‼︎『神風炎護フレイムバースト』‼︎」


 炎を纏った凛音が空を蹴り飛び上がる。それに合わせ桜が海から大木を生成。リヴァイアサンの動きを封じる形で巻きつけ、その木に降り立った凛音から燃え移る形で大木に火が灯る。そしてそれを援護する形でミリアムが放った混合魔法が延焼させ、リヴァイアサンの体を炎の檻で封じた。


『ほう……っ⁈その様な初歩的な魔法で我を封じるとは……‼︎』


「何も強い魔法だけが使える訳ではないわ。凛音バカとハサミは使い様って言うでしょ?」


「おいミリアム。そのバカとは誰だ。事次第ではお前も燃やすぞ」


「なんの事かしらね」


 リヴァイアサンの頭上とその上空で睨み合う2人。それに呆れた桜は楓、鈴蘭と目を合わせ頷きあう。その瞬間、リヴァイアサンから反撃の水弾が飛び出した。


『この檻に閉じられようと、我を止めれるわけではないわ‼︎』


「そんな気はしていた‼︎姉様方‼︎」


「ええ、いくわよ。」


「「「『暴虐無人』‼︎」」」


 先程龍膳を堕とした超高圧の水弾に対し、3人の合体魔法『暴虐無人』で受け止める。互いの威力を削り合いつつも見事消滅させる事に成功した3姉妹は、再び頷き動き出す。


「残念ながらこちらのターンはまだ終了してないわよ‼︎土剋水‼︎『裏土リド水喰黄龍スイガコウリュウ』‼︎」


「狂戦士のなんとかとか言わなくてよかった。水生木。『表木ヒョウモク森牙青龍シンガセイシュウ』」


 炎の檻を取り囲む形で2匹の龍が生み出される。2匹の龍はその周囲を飛び回るや否や、リヴァイアサンの放つ水弾を喰らい、お返しとばかりに隆起させた土の槍でその体を貫き、燃え盛る炎を支援する形で大木に新たな枝を作り上げる。だが、それも長くは続かないらしく数度水弾を喰らい反撃した後消えていってしまった。


「これ動かすのキツイのよねぇ……」


「わかります……もう布団で寝たいほど気だるいです」


 一気に疲れた表情を見せた2人はふらふらとしながらも活力薬を飲み込み、ルナの守備に回る。どうやらこれ以上攻勢に出るのは苦しいらしい。


『2人脱落か。残り4人……頭一つ失っても辛くはない』


「それはどうやら。甘く見過ぎよ‼︎」


 桜が氷の刃を飛ばす。だが、それを避けもせず受け切ったリヴァイアサンの体には傷一つ付いていなかった。いや、よく見ればそれだけではなく、今迄に付いていたはずの傷が消え去っていた。


「くそ、なんて回復力だ‼︎」


『気づいたか。我は貴様らとは圧倒的に回復力が違う。そもそものタフさが違う‼︎』


「……何だか阿呆らしいわね。通りで攻撃が弱い訳だわ。大きな噴水相手じゃ興が削がれるわ」


「それギャグか?……けどまぁ確かにな。貴様は単に回復出来るだけか。放っておいても影響なさそうだな」


 リヴァイアサンの言葉に呆れた2人はなんと、背中を向けルナの元へと戻り出した。だが、そんな挑発を受け黙っている訳がないリヴァイアサンは、己の身を封じる檻を壊し強烈な迄の水弾を連続で吐き出した。


「面倒くさい蛇だな‼︎桜、あれを頼む‼︎」


「オッケー‼︎ほいっと‼︎」


 その様子に魔力すら使わない2人は桜に任せリヴァイアサンの口を大木で塞ぐ。予想外の攻撃に一瞬止まったリヴァイアサン。だが、その隙は見せてはならないものだった。


「ありがとう、準備オッケーよ」


 ゆっくりと瞼を開くルナ。その身は後光を背負っているかの如く輝き、光を扱うにふさわしいほど神々しいものとなっていた。

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