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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
生徒、躍動する。
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生徒、躍動する。

空港にナツメが到着したとの報告を聞き生徒達と首脳陣、そしてジェシカ達は一同揃ってナツメを迎えに行く。

そのそうそうたるメンツに空港関係者は勿論、国内メディアや国民達まで空港に駆けつけ、交通規制が敷かれ激戦の後だと言うのに警官やイギリスの国家魔法使い達は右へ左へと忙しそうに動いていた。


「そろそろ時間だが…うむ。やはり今日だったな。」


空港内の時計を見つつ太志が呟くと、視線の遥か先にナツメと隣を歩くアメンの姿が小さく見える。その余りにも良すぎる視力に驚きを通り越して呆れつつも、我先にと駆け寄る生徒達は周りから見れば微笑ましいものだった。しかしー


「おかえりなさいナツメ先せー誰ですかその人⁈また先生は女を作って‼︎私がいながら‼︎」


「ただいーうぁっ⁈相変わらず騒がしいな桜は‼︎ええいやめろ、寄り付くな、離れないか‼︎」


「いーやーでーすー‼︎風祭首相は何とか許すとして第一の嫁は私でしょう‼︎もぉぉぉっ‼︎」


「桜、それはおかしいわ。このルナがー」


「な、何ですか貴女達は…⁈私のナツメにー」


『誰が貴女のナツメ先生だって⁈』


「は、ははは…空港内は静かに。な?」


数日とはいえ忘れていたこの騒がしさにどこかホッとしたナツメは同じく呆れかえっている龍膳、時丸に目を配る。


「随分いい顔になったな。龍膳。霧雨。」


「ははは…某の顔の傷でしたらお恥ずかしい限りで。霧雨殿が時間を止めなければ某は今頃病室でしたぞ。」


「い、いえ‼︎龍膳先輩があれだけ奮迅しなければ僕なんて…‼︎」


「いや、お前ら2人の頑張りだ。結果だけは母上より聞いてる。続きは官邸でな。」


2人の肩を叩きそのまま組んだナツメは、ここ数日で勇ましくなった2人の頭を撫でたり笑顔を見せ合ったりと、まるで少年の様に再開を喜んだ。すると、それを見た心菜は目を丸くして体を震えさせ、あわあわと言い出す。


「な、何という…何という美しき…男♂の友情…‼︎そのまま今夜はホテルでぶはぁぁぁっ…‼︎」


「ぎゃー‼︎何処に鼻血を出す要素があったのよこの子は⁈」


「ヤバい心菜がいつものアレよ‼︎皆処置〜っ‼︎」


やれやれとばかりに騒ぐ女子達に呆れながらナツメは首脳達の元へと向かう。

そして彼らとアイコンタクトをした後に手を差し出して握手を交わした。


「俺の生徒達を守ってくれてありがとう御座います。セルベリア様、リリーナさん。それにシュバルムさんや龍虎さんまで。」


「約束…したからね。」


「ええ、それに私達は大したことをしておりません。」


「…と言いますと?」


「一番の活躍はあの子達ですから。」


セルベリアが優しく微笑み、ちらりと空港入り口を見つめる。するとそこには、国民達により握手やサインをせがまれ、必死に対応しつつもこちらを目指して歩く凛音とミリアムの姿があった。


「あの子達が足止めし、ダメージを与え、止めを刺したのです。我々はそのサポートしかしてませんよ。」


「なんと…⁈しかし、奴らは…。」


「ええ、恐ろしく強大でした。ですが、それを支え指揮を執ったルナ・オークス。その下で的確に相手の魔法を無力化した御堂3姉妹。その身を使いあの強大な怪物と睨み合い続けた龍膳君。溢れる雑魚を無力化し続けた夢喰。そしてその希少な魔法を見事使いこなし味方を支え続けた霧雨時丸と、火力の全てを担ったミリィ、凛音が本当に力を合わせて頑張っていたのですよ。」


「うむ。あの姿はこのシュバルムをもってしても感動した‼︎感動した‼︎」


「ああ。我が子を連れてこれなかった事を後悔する程に彼らは凄かった。そんな彼らの教師をしている勇者に我が子が選ばれたのが本当に光栄だと思える程にだ。」


「…全部言われたけど同意。」


4人の口から次々に溢れ出る賛辞に、ナツメは自身の事よりも嬉しいのか自然と笑顔が綻び左右に居る龍膳と時丸の頭を改めて撫でた。

実は帰ってきてからの戦闘を考えていたナツメは、昨晩アメンの様子を見ながらヴェルダンディの書から攻撃に使えそうな魔法を選び頭に叩き込んでおいた程準備をしてあった。


「ありがとうございます。…ええ、皆本当に自慢の生徒ですよ。」


改めて自信を持った目で4人を見つめる。そうして見つめあった後何かを思い出したのか、リリーナが口を開く。


「…そういえばナツメ。『悪魔人形』だけどー」


「ナツメ先生〜‼︎」


「先生貴様遅いぞっ‼︎」


リリーナが言いかけている中でミリアムと凛音がナツメに飛びついてくる。そんな2人を受け入れ抱き締めたナツメは2人の頭を撫でながら笑顔で褒める。


「ただいま。お前ら、良くやったじゃないか。」


「うんっ…頑張ったよ…‼︎」


「貴様もお疲れ様だ…‼︎」


嬉しそうにしながらもやはり怖かったのだろうか。ナツメに頭を撫でられ涙声になった2人は、涙を一筋零しつつもとびきりの笑顔で迎え入れた。


「あっズルい二人共‼︎私達も‼︎」


「えっちょ…お、お前ら‼︎てかハルト‼︎龍膳、霧雨まで何してんだ‼︎」


そんな2人を見て他の生徒達はいっせいにナツメへと飛びつく。そのお陰でよろけたナツメは困惑した声を出しながら倒れつつも、生徒達と一緒になって笑い再開を喜んでいた。


そんなナツメを遠目に見ていたジェシカ達や首脳達は微笑みながらその様子を見つめる。


「ナツメはいい先生になれているようね。」


「ああ。時間はそれ程経ってない癖にここまで好かれるとはな。我が子ながら嬉しいものだ。」


「…一時期はどこかのお転婆娘の婚約前と同じ道を選びかけてましたがね。本当に良く戻ってきたわ。」


「せ、セルベリア様。何の事でしょうか…?」


セルベリアの呟きに慌てたジェシカを笑いつつ、パシフィスタは一度咳払いし一同を注目させる。


「あー、とりあえず再会と作戦成功の喜びは後にして、とりあえず我が官邸に戻らないかね?そろそろ周囲の目がな…。」


よく見ると若干顔を赤らめたパシフィスタに言われ周囲を見渡すと、どうやらここまでの流れを生放送されていたのか国内メディアが暖かい目を送りつつ報道していた。

それを見てハッとした一同は苦笑しつつカメラに手を振り、大人しく空港を出る事にした。


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