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Sクラスの生徒を見送った後、竜三とナツメは互いに頭を抱える。
Dクラス以外にも化け物学生がいた。
しかも、比べ物にならないレベルで強いのが。
当初、竜三はDクラスには既に上級魔法を習得している生徒がいるとだけ聞かされていたし、ナツメ自身心菜が優秀なのは昨日の時点で分かっていたが、まさか超越魔法に適正を持っているとは思わなかった。
「まだ彼女が『事象』をあやつる超越適正でホッとしてます。しかも、事象の中でも比較的まだ対応が効く形で。」
時間や次元をあやつる超越適正者がでた時には、それはもう大パニックになりかねない。
そんな事は起こり得ないと信じたい二人は、一息つく為に一度来賓室へ戻る。
「あの子がまだ良心的であるから助かりました。旧魔王軍の様な生徒だったらと考えるだけで悍ましいですよ。」
紅茶を飲みながら、ナツメはしみじみ語る。
実際、魔法を受けた時本気で相手を陥れる様な悪意は無く、純粋でひたむきな熱意を感じた。
それだけにナツメは悪用する事は無いだろうと踏んでいる。
それには竜三自身も同意し、この先何かが起きた際に力添えしてくれるだろうと期待している。
ある程度一息ついた後次のBクラスの授業の為、二人は再度訓練所に戻る。
流石にBクラスの生徒が待機している事は無く、ナツメは暫く自身のウォーミングアップを兼ねて自身の最高構築数である四重詠唱を展開していると、5分前位に生徒がやってきた。
「おはようございますせんせ…四重詠唱⁈初めて見た…。」
「おはよう、皆。荒木さんの前に並んでいてね。
詠唱解放‼︎
『炎竜風痕・土砂雪崩・灼熱水流・天変地異』‼︎」
生徒のいない方向に魔法を放つ。
とてつもない爆音が訓練所に響き渡り、鉄壁の硬さを誇る訓練所の壁に巨大な穴を開ける。
その穴が自動修復されるのを尻目に、何気ない顔で生徒の前に戻るナツメだが、生徒達は
「こ、混合魔法の四重詠唱かよ…。」
「普通混合魔法打つだけでバカにならない魔力と集中力必要なのに…。」
更に、竜三までも
「貴方も相変わらず規格外ですね…。」
と、引いていた。
かといって、いつまでもドン引きムードでは先に進まない。なので
「で、ではこれより診断を始めますね。
順番に来てください。」
場を改める気持ちも込めて仕切り始めた。
Bクラスの生徒はSクラス…と言うより心菜の様にイレギュラーが起きる事なく進む。
同様にCクラスも進み、そのままAクラスもと意気込んでいた矢先。
「…嘘でしょ。」
本日二人目の超越適正者がでた。