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先生始めました。by勇者  作者: 雨音緋色
勇者、先生になる。
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勇者、先生になる。

ー世の中には普通に考えていると解明出来ない現象がある。それらをひとえに魔法とする。ー


世の中にある頂上現象が魔法と認められてから数百年。

魔法学が発展し、人類の90%以上が魔法使いとなった時代からこの物語は始まる。


魔法が普及してからの人類は恐ろしい程に成長していき、日常生活は勿論、犯罪や産業にまで発展していった。


また、一般的な魔法使いとは違い、新たな魔法の開発や現存する魔法の上位互換を発見する名目で建てられた『魔法開発所』が設立したり、将来ある学生に正しい使い方を学ばせようと発足した『魔法学園』が設立されるなど、魔法学に対する人類の探究心は尽きることなくぶつけられた。


そしてそれは新たな争いを生み、今までにない危険因子を生み出すことになる。


後に『魔王』と呼ばれる存在であり、革命児として名を挙げた男が発した一言がきっかけだった。


ー世の中には更に強大な魔法が実在する。私はその片鱗に手をかけた。ー


世界中に突如として放たれたテレパシー。

突然の出来事に世界中が騒然とする。

しかし、その声は微塵も気にせずこう続けた。


ーこの発見により私はこの世界の誰よりも強く、賢しく、強大となった。とは言え言葉だけでは伝わるまい。という事で国1つ滅ぼして見せるとしよう。ー


そう言った後にテレパシーに乗せられた映像は、今まさに『島ごと』沈んでいく、旧イギリス本土であった。


ーざっとこんなものだが如何かな?私が本気になればこの世界から大陸をなくす事など一月もかかるまい。しかし、それではあまりにもつまらない。そこであるゲームを用意した。内容は至極簡単。私が行う惑星改革を止めてみよ。期間は50年。私が寿命で死ぬ直前までに私を止めれれば阻止ができる。どうだ、楽だろう。では健闘を祈る。ー


テレパシーが途絶えた瞬間、当然ながら世界中はパニックとなった。

各国の首脳陣は緊急会談を実施。対策本部を設立すると共に世界中の名のある魔法使いを集めては討伐部隊を築き上げ、声の主を詮索するも見つからず状況は悪くなる一方で、遂には犯罪歴がある人間や地域の不良が勝手に集まり作られた『魔王軍』なる軍隊まで出始める始末に、誰もがまともな判断を下す事が出来ていなかった。


やがて、世界は魔王軍とその抵抗勢力に二分され始め、各地で紛争が勃発。

後に第一次魔法大戦と呼ばれる大規模紛争が行われた。


戦況は熾烈を極め、多数の犠牲を生みながら何年も続き、その情勢は徐々に魔王軍が優勢になり始めていった。

このままでは不味いと抵抗勢力の国々が頭を抱え、打開策を考えていた矢先、ある情報が彼らに伝わる。

それは、唯一魔王軍に対し多大な戦果を挙げていた魔法使いと、その懐刀として活躍していた剣豪の間に強大な力を秘めた赤子が誕生したと言う情報であった。


すぐさま抵抗勢力の国々は彼らを擁護し、最後の希望としてありとあらゆる叡智と加護を赤子に与え、厳しい修行の中で育て始める。


そして惑星改革宣言から約30年。後に勇者として崇められた男ー『ナツメ・レイニーデイ』ーが成人したその日に魔王軍討伐部隊が再結成された。


ナツメ率いる討伐部隊は5人と少ないものの、各々が4大属性を極めつくしたその道のエキスパートであった。


火のエキスパート『炎堂戒次エンドウカイジ


水のエキスパート『マリン・ティアーズ』


風のエキスパート『シルフィ・G・D・オリンピア』


地のエキスパート『曹姜ソウキョウ


そして全ての魔法制御力に置いて他の追随を許さない魔法制御のエキスパート『ナツメ・レイニーデイ』の5人は、瞬く間に戦況を変え、出立から3年でほぼ全ての魔王軍を壊滅し、魔王そのものを目前に控える程まで活躍した。


それから2年。遂に彼らの魔法は魔王を捉え最終局面を迎える。

奇しくも旧イギリス本土上空にて行われたその決闘は、ナツメを除く4人の犠牲と共に勝利する形となる。

惑星改革宣言から実に35年と2ヶ月。第一次魔法大戦は終わりを告げられた。


当然ながら魔王は首を刎ねられ、更には全魔力を封じ込める為に作られた棺に入れられ、炎堂戒次の一番弟子によってその遺体は焼却された。


これにより世は平穏を再び手に入れるも、同じ事が起きぬ様にと次の勇者を育成し始める魔法学園まで現れた。

そんな中、当然ながら世に持て囃され莫大な富と名誉を与えられた当の勇者ナツメはと言うと。


「どうしよう。メディアに追われてまともに生活できない。いや、金はあるから良いけど…何とも窮屈だ。」


現状に困っていた。

と言うものの、連日報道番組に呼ばれるわ家にファンレターが山の様に来るわで身動きが取れない状況に。


「俺としては修行や後任育成に励みたいんだけど…。」


幼い頃から修行に忙しかった手前、世間にあまり馴染むことができずにいる。

隣の奥さんから毎日の様に夕食を手渡されたり、目の前の家の主人からは採れたての魚を頂いたりと至れり尽くせりなのは嬉しいことだが、彼としては不自由のない暮らしこそ窮屈で仕方がなかった。

とはいえ、勝手にどこかの山奥に潜めば辺りは騒然とする事も理解している。どこか都合よく修行出来て持て囃されない位の場所が無いのか…と考えていた時、ふとある事が頭をよぎった。


「そうか、だったら先生になれば良いのか。後任育成も兼ねて。…よし、思い立ったが吉日だ。」


こうして、世界を救った勇者は先生になる道を目指した。

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