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悪夢 ~赤の街並み~

作者: 赤井みかん

「夢はいいものだ」と人は言う。しかし、私はそう思わない。なぜなら、皆が見る夢は楽しいものが多く非現実世界を満喫している。私は、皆と違って悪夢ばかり見る。



 今日のは私は、何かから逃げている。10才くらいのこどもだ。赤いレンガの街並みが続いて、小さな路地で息を整えている。まだ、自分が何から逃れているのか分からない。だが、何かを恐れている。恐くて仕方がない。助けを求めたい。息も少し整ってきた。路地からそっと顔を出して大通りを見た。空が赤い。そうか、今は夕方なのか。反対側を見た。大勢の人が坂道を登って何かから逃げていく。そうだ、私も逃げなくては急いでその人だかりに向かう。そこに向かって助かるかは分からないが動いていなければ恐怖に押し潰されそうでたまらない。私は、走った。その中は、大人こども関係なく必死に走っていた。皆、逃げることに集中していた。

 しばらくその集団に紛れて走った。山の中腹まで来たところでリーダーらしい男が

「ここまで来たら、大丈夫だろう。いったん、休憩しよう。」

とガサガサの声で言った。それを合図に地面に倒れ込む人が多く居た。ふと、後ろを振り返るとさっきまでいた街並みが見える。真っ赤に燃えていた。私が逃げていたのは、あの火から逃げていたのだと気づく。ここ世界は戦中なのだ。きっと夕暮だと思っていたのも隣の町が燃えていたのだろうと思うと悲しくなる。悲しみに浸っていると、周りから叫び声や泣き声が聞こえてきた。

「私の家がー!私の思い出がー!」

「どこにいるのー」

「なんでこうなるんだよ!」

自分だけが悲しいと思っていたが周りもそうだったと気づくと少し安心する。また、あのリーダーらしい男が話し始めた。

「ここも危険かもしれない。もっと逃げよう。」

そう言って男は逃げる準備を始めた。

逃げるために立ち上がる人、悲しさのあまり立ち上がれず座り込んで泣きじゃくったままの人、疲れてまだ動けなさそうな人色んな人がいるが、こういうとき人は薄情だ。手を差し伸べず、生きたいという欲求にまっしぐらだ。私もその一人だ。

 私たちは、再び走り始めた。人数は減ったが、それは淋しくない。きっと、個人戦をしているような感覚だろう。

 5分くらい走ったところで私は、つまずいて転んだ。もちろん、それに手を差し伸べる善人はいない。途中で置いてきた人たちのこんな気持ちだったのかと思うと辛い。倒れ込んだまま周りを見渡すと手を伸ばすと届く距離に小指の爪ぐらいの赤い実がなる小さな木が生えていた。それを見た瞬間に、実際の記憶にはない思い出がフラッシュバックした。

 金髪の女性がこっちを見て話しかけてくる。実際は知らない人だが、この世界の自分の母親だ。

「いい?この実は、絶対に食べちゃだめ。毒だから。三つ食べたら死んじゃうかもしれないんだからね!」

注意なのか怒られているのか分からない言い方だったが、その人が優しかったことは確かだ。しかし、その人はここに居ないきっとこの戦争で死んでしまったのだろう。ずっと遠くから逃げて気がする。長い間、食べ物にありつけてないようだ。再び起き上がり立ち上がる体力も無い。すっと手を伸ばし赤い実をむしり取る。葉っぱと一緒に実がちょうど三つ取れていた。戦争なんかに殺されるくらいなら、自分で死んだ方がまだましだ。きっとここからならふるさとも見えているのだろう。腹も減っていたし、味わって食べよう。味は、どちらかと言えば苦くてまずい。しかし、だんだん意識が朦朧としてきて心地よくなる。周りがだんだん暗くなる・・・。


 意識が戻ってくると目覚ましの音が鳴り響いている。夢の中で死ぬのはもう何回目だろうか。冒頭に私は、夢はいいものではないと言ったが嫌いではない。起きた瞬間に、生きている喜びを感じるかだ。さあ、今夜はどんな悪夢を見るのか・・・


夢の世界で起きたことなので、実在する人物はいないフィクションです。

初めて、小説を書いたのですが楽しんで頂けたでしょうか?

楽しんで頂けたのら光栄です。

続編も書く予定なのでよろしくお願いします。

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