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――万事うまく進んでいる――
“契鬼”は、今のところほぼ全てが自分の考えた通りに動いていることに、満足していた。だが、一つだけ気懸かりな点がある。
――もしも、誰かがあれに気付いたとしたら――
“契鬼”は頭を振った。
――気付いたところで、それが意味するものを理解できるはずはない。それにまだ、まだ全てが終わったわけではないのだ――
ここまで来たら、“契鬼”は先へ進むしかない。終わったことを気にしても仕方がないのだ。
そして“契鬼”は、次のターゲットに意識を集中させた。心中からほとばしり、燃え盛る殺意に身を固めながら。
――殺ろうと思えばいつでも殺れる。後は、いつやるかだ――
黒い軽自動車の傍に立った“契鬼”は、次の段階へ向けて行動を開始することにした。




