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――暗闇は落ち着くものだ――
“契鬼”は、これから起こることなど全く予想もしていないであろう、楽しそうにはしゃいでいる若者たちの姿を眺めまわして、含み笑いを浮かべた。
――プレゼントは気に入ってもらえたのだろうか? あれこそ下らん怪談話などよりもっと面白い前座なのだが――
“契鬼”はカラスを切り刻んだ感触を思い出した。生々しく指に纏わりついた、生と死を一度に味わえる、あの感触だ。
――待ちに待った時が遂に来た――
殺す。ただそれだけのことだが、今この“契鬼”にとっては、それこそが存在意義であった。
“契鬼”は、ほとばしる殺意が彼らにばれない様にと、息を潜める。
そしてまた、愉快そうに口元を歪めた。