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女神降臨Ⅱ  作者: 塔子
9/69

【09】

私は、エレナに詰め寄る。


のほほんとしたエレナの答えは完全にズレている。天然もここまで来ると記念物モノだ!


「本当にシアちゃんは私の娘なのよ~」とか「姉妹に見えるって?嬉しいわ~」とか。


あのね、そうじゃなくて!


埒が明かないってこういう事?このままじゃ、日が暮れるよ。


それなのに、怒る気が削がれる。


ニコニコ~っとした微笑みには、全くと言っていいほど邪気が無い。


こうなる事が分かっていたのか、アトレイシアが口を開く。



「大巫女は光の神に選ばれし者。この神殿内に居る限り不老不死なのです。よって、容姿も変わらないのです」



――え?今…、なんて?不老…不…死…?



「不死…?」



身体が硬直する。喉がゴクっと鳴る。


だって、この世界に、この異世界に“不死”が存在するなんて。



――信じられない!!



「私は26歳です。母上は私を26の時に産んでいるので――」

「いやン!シアちゃん!わたくしの歳をバラしちゃダメ~~!!」



う、うそ?これで、50は過ぎてるの?


外見はともかく、中身はそれなりにそれらしくしなさいよ!って、それ以前にこれで大巫女だなんていいの?


眩暈がする。座っていても宙に浮かんでいる感じ。



「――コウ!コウ!!大丈夫?しっかりして!!」



誰かが私を呼んでいる。この声はグリンダリア。



「女王陛下!コウは昨夜、倒れているのです!どうか、今日はここまでに!お願いします!!」

「だ、大丈夫だから…」



と、白金の髪の少女に答える。



「で、でもっ!」



すっと、静かに席を立ったのはエレナ。



「ここまでにしましょう、アトレイシア。貴女には悪いけど」

「いいえ…」



同じく、静かに席を立って答えたのはアトレイシア。



結局、本題には触れる事も無く終わってしまった。


きっと、女王は無駄な時間を過ごしてしまったと思ってるに違いない。


でも、私の頭の中には、あの言葉が――。



“不老不死”



私には、、奇跡のような言葉だ。


死ぬ事なんて無いんだよ。何も恐れるものも無く、生き続ける事が出来る。



羨ましい――妬ましい――。



そんな風に考えてしまう私は、浅ましいのだろうか。

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