【66】
最終話です
ここは、光の神殿の最上階。見張り塔。
温かく爽やかな風がゆっくりと流れている。
亜麻色の毛並みを持つ『霊獣』がくるりと丸くなっている。
いつも、ここで一人で居る。静かに時が流れていくのを待っているだけ。
「相変わらず、ここに居るのね」
階段を上りきったせいで、少し息を弾ませている。
白金の髪に菫色の瞳の少女、グリンダリア。
『霊獣』は顔を上げる訳でもなく、黄赤色の瞳を向けようともしない。
「コウに会えるまで、ずっとここに居るつもりなの?」
「………」
何も答えないシュカ。完全に無視してる。
「ふ~ん、そういう態度を取るのね」
菫色の瞳が鋭いものに変わる。
「私、あれから正式に大巫女になったのよね」
「………」
「封印の神殿に嫌味な『霊獣』を封印出来るようになった事だし、一度試しにやってみようかしら?」
「――勝手にしろ」
「う~ん、でも、そんな事したらコウに怒られる」
「――何が、言いたい?」
「私も一緒。時間の流れとは無縁になってしまったわ」
「………」
「私だって、会いたいわ。もう一度コウに!」
クスクスと悪戯っぽく微笑む大巫女になったばかりの少女。
そして、どこまでも澄んだ空に向けて誓う。
私が、召喚してしてあげるわ。
貴方の『女神』を――。
『女神降臨Ⅱ』END




