表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神降臨Ⅱ  作者: 塔子
62/69

【62】

「――どうだ?具合は?」

「…たぶん、もう良くならないと思う」



シュカは「そうか」と答え、ゆっくりと言葉を選ぶような感じで話し始まる。


あの後の事を――。











あれほど長く降っていた雨も上がり、私達は歓声の中、神殿に戻って来た。


でも、私の身体は冷たい雨に晒された為、その夜高熱で意識混濁状態が数日続いたという。



「ねぇ、シュカ。心配した?」

「………」



自分でも意地悪な質問だと思う。



「ねぇ、シュカ。私が居なくなったらどうするの?」

「………」



いずれ来る、そんな日が。その時、シュカは?



「ねぇ、シュカ。私が居なくなっても大丈夫よね?」

「………」



肯定して欲しい。そして否定もして欲しい。


そんな相反する気持ちが私の中で渦巻いている。



コウが居なくなるなんて、耐えられないと――。


コウが居なくなっても、何も変わらないと――。



でも、シュカは何も答えてくれない。



私は話し続ける。



「でも、私は心配だよ」

「………」

「何処にも行かないで欲しい」

「………」

「シュカが居ないと、私は――」

「もう、何も言うな」



私にこれ以上何も喋らせないかのように塞がれる唇。


この想いだけはシュカには告げないと決めていたのに。


常に強くありたいと思っていた。身体が弱い分、心だけでもと。


なのに、この溢れてくる想いは自分でもどうする事も出来なくて。


だからこそ、この限りある時間の中で私に出来る事は。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ