表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神降臨Ⅱ  作者: 塔子
6/69

【06】

これが夢なら覚めて欲しいと思うし、夢なら眠り続けてもいいと思う。


帰れないなら、無理に帰る必要無いのかも。


帰っても帰らなくても私の運命は変わらない。そんな気がする。


薬を持参で異世界に召喚か……。


おかしいやら、馬鹿げてるやら、なんだか情けないやら。


溜め息が漏れた。











私は今、朝日の光が窓からこぼれる部屋に独り。


そして、ベッドの中。いつの間にここに来たんだろう?


記憶が無い。


昨日は確か菫色の少女と話をしていて、薬を飲んで…、それから――。


まぁ、私にはよくある事。


目が覚めたら病室だったり、自分の部屋だったり、学校の保健室だったり、救急車の中だったり…。


だから“きっと、今回も”――そう思う事にした。


ゆっくり身を起こした所でノックの音。


ドアがそーっと開き、白金の髪がサラっと揺れるのが見えた。



「おはよう、グリンダリア」

「お、おはようございます…、コウ」



彼女の持つトレイの上には水差しとグラス。



「お加減は如何ですか?」

「えーっと、私…もしかして、倒れたのかな?」

「は、はい…」



そう言って、サイドテーブルにトレイを置き、白い小さな包み紙を見せてくれる。



「これ、薬師に用意させたものですが…」

「――ありがとう。でも、大丈夫だから」



きっと、豪快に倒れたに違いない。


菫色の瞳が赤く、少し涙目になっている。



「もしかして、寝てない?」

「あ、いえ…」

「ごめんね。びっくりさせたね」



私は、着替えるために起き上がる。



「あ、休んでいて下さい!」

「う~ん、まぁ、大丈夫だから」

「でも…」

「それで、私は何をすればいいのかな~?困ってるんでしょう?この国の人達は」

「え?」

「あんまり時間も無いし、出来ればささっと終わらせて帰りたいし」



グリンダリアが用意してくれた服に身を包む。



「お食事は?」

「少しなら、食べれそう」



ちょうどドレッサーがあったので鏡の前に座り、櫛で髪を梳く。


セミロングの黒い髪。


鏡に映る姿は自分のものなのに、見る度に別人だと錯覚を起こす。


ただ、認めたくないだけだ。


日に日に痩せていく自分自身を――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ