【42】
あれから、どのぐらい眠ってたのだろう?
額にひんやりと、冷たいものを感じてゆっくりと目を開く。
私の目に飛び込んできたものは、黄赤色の瞳。
「ん?…シュカ」
私の額にはシュカの手。冷たい手がとても気持ち良い。
「まだ、夜明け前だ」
「シュカは寝てないの?」
「………」
「良かったら、どうぞ」
と言って、ベッドの半分のスペースを空ける。
二人で寝ても十分余裕はある。この部屋にはこのベッドしか無い。
それに、他の部屋に行くようにとも言い難い。
「あ、別に嫌ならいいからね」
「………」
私は、もう一度眠る事にする。
きっと、私の方がおかしいんだ。
いくら『魔獣』とは言え、男の人に一緒に寝ようと誘うなんて…。
でも、シュカを見ていると男の人というより小さな男の子という感じがする。
さっき見た表情が、まるで親と逸れた迷子のように見えて。
「――コウ」
「なに?」
「………」
「!」
もそもそとベッドの中に入ってくるシュカ。
私の胸に顔を埋めてくる。
シュ、シュカ~?!…あれ?もう寝てる。
ふふっと笑みが漏れる。やっぱり子供みたい。
私は赤ちゃんをあやすように、シュカの背をポンポンっと軽く叩き、私も眠りに付いた。




