表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神降臨Ⅱ  作者: 塔子
41/69

【41】

少し走っただけなのに、発熱。


例によって、またまたベッドの中。


白金の髪の少女には、くどくどとお小言を言われる始末。


私に対して言いたい事は言い尽くしたのだろう。今度はシュカに矛先を変えた。



「一体、どういう事なの?貴方を探す為に神殿内をコウは走り回っていたという話しだけど!」

「――“シュカ”だ!小娘」

「?!」



何て事なの、私の上を飛び交う言葉。


ベッドを挟んで見習い巫女と『魔獣』は会話をしている。しかも、思い切り険悪に。



「グリンダリア、さっき私が名前をあげたの」



真ん中に居る私が、さりげなく二人の会話に入る。



「名前…、そういう事…“シュカ”ねぇ」



そう言って、菫色の瞳は睨みを利かせる。



「では、シュカ。私の事は“小娘”ではなく、グリンダリアと呼びなさい!!」

「………」



溜め息が…。


本質的に相性が合わないんだろう。


だけど、どうしてこの二人はこんなにも仲が悪いの?


だからと言って、いつまでもこのままという訳にはいかなくて。



「お願い、グリンダリアもシュカも、休ませて…」

「ご、ごめんなさい…。コウ」

「――すまない」



こういう所は、二人とも素直で可愛い。それなのに…。


グリンダリアはシュカの腕を取り、強引に部屋から連れ出す。


静かになった部屋に、私の溜め息だけが残る。


でも、あの『魔獣』と臆する事無く接しているグリンダリアって、実は彼女が最強って事?


そんな事を思いつつ、私は目を閉じ眠りに付く事にした。



      

      












コウの部屋を出たグリンダリアは隣室にシュカを押し込み、ドアを閉めたと同時にシュカの腕を放す。



「少しは考え欲しいものだわ!コウは病気なの!ここに来てから何度も倒れてるし、熱だってずっと微熱が続いてる!もしもの事でもあったら――」



グリンダリアは悲痛な面持ちで言い放つ。



「?――“もしもの事”?」

「そうよ!もしも体調が急変でもしたら…って、私の話聞いてるの?」



今ひとつ、思いが伝わらない。


そんなシュカに、グリンダリアは苛立ちを隠せない。



「大巫女様も居ない…。それなのにアマビト様も居なくなったら…」

「――“居なくなる”?」

「ほ、本当に、分からないの?」



グリンダリアは訝しむが、シュカは平然としている。



「我に生も死も無い。理解し難い事だ」

「それなら、こう言えば分かるかしら?」



コウはこの先二度と貴方の名を呼ぶ事は無い――と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ