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【33】
目を開けると、いつものように天井が見えて。
むくっと起き上がろうとしたら――。
「うっ!!」
右肩に一瞬、息が出来ないほどの痛みが走る。
そーっと、左手で傷を確認する。包帯が巻かれ、血が少し滲んでいる。
「目が覚めたか?――痛むか?」
声を掛けられ、その声のする方に顔を向ける。
窓辺に立つ、亜麻色の髪に黄赤色の瞳の男。
ゆっくりとベッドサイドまで近付いて来る。
え?え?え?……だ、誰?
「えーっと、誰?」
初対面の人にいきなり“誰?”なんて言うのも。
でも、私の部屋に知らない男の人が。
「――我は、おまえ達が言う『魔獣』だ」
「?!――って、人の姿にもなれるの?」
「当然だ」
「そ、そうなんだ…」
「――休んでいろ。あの小娘を呼んでくる」
そう言って、部屋を出て行く。
あ、あれが『魔獣』?
破壊の力を持ち、世界を破滅に導く――って…?
どう見ても、20代後半の好青年じゃない!
何なの、一体?
私にはどうなっているのか、さっぱり分からなかった。




