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そして、全てを話し終えたエレナは幸せに満ちた顔をしている。
愛してる人から愛されているという満足感。
深緋色の瞳は恋をしてる女の子のようにキラキラとしている。
「エレナ」
「な~に~?コウ」
「エレナは『魔獣』を封印したいの?」
「さぁ?」
「何の為に私を召喚したの?」
「分からないわ~」
「この世界を滅ぼしたいの?」
「どうかしら~?」
エレナが何を考えているのか分からない。
一つ分かる事は、エレナは大巫女として生きるより、愛してる人と生きて行きたいという事。
「コウ、わたくしは生きていたいの」
「例え、一瞬でも生きていたい」
「永遠より、アルスとロイと居たいの」
どうして?
死なないんだよ!生きていけるんだよ!
神が望む限り、長い時間と命が約束されているというのに…。
エレナはゆっくりと立ち上がり、窓の方へと進む。
柔らかい笑みを浮かべ、優しい風に身を任せている。
私は、大巫女の私室を後にする。
遣り切れない、納得の出来ない、言葉では上手く言い表せない気持ちが溢れてきて――。
この世界は滅びるの?
黙って見てるだけ?
でも、私に何が出来るというの?




