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【21】
――そして、時は流れる。流れ続ける。
毎日、欠かす事無く神への祈りを捧げる。
瞳を閉じて、心を無にして、神の声を聞く。
神の声はいつも優しい。
わたくしを労い、慈しみ、慰める。
今日で、わたくしも50歳。
大巫女には年齢なんて意味を成さない。ただ、50年生きてきたというだけ。
だから、祝ってくれる人なんて誰も居ない。
確かに、この歳にもなって祝って欲しいなんて思わないけど。
いつも傍に居てくれる一人の巫女が、書類を手にわたくしの元へ。
「大巫女様、来期分の見習い巫女の名簿です」
巫女となっても、大半は結婚し神殿を去って行く。
わたくしのように戻ってくる巫女は居ないに等しい。
だからかしら?
光の神は一人の巫女を選び、不老不死にして傍に置くのかもしれない。
書類に目を通しながら、そんな取り留めの無い事を考えていた。
ふと、ある名前に目が留まる。
“グリンダリア”
父“不明”、母“病死”
きっと、両親を亡くし、身よりも無く頼る者も無く、見習い巫女として来たのだろう。
そういう巫女も中には居る。
でも、父親が“不明”というのが気になった。
わたくしは、先ほどの巫女にこの“グリンダリア”を連れて来るようにと言い渡した。
「失礼します、大巫女様。グリンダリアです」
そう言って、部屋に入って来た少女は――わたくしの予想を上回る容姿の持ち主だった。




