【02】
入院すれば治る?
でも、分かってる。入院しても間違いなく死へと近付くこの身体。
一日でも長く生きたいと思う?
それとも、一日でも早く終わらせたいと思う?
夕食後、母に再三入院するように言われたけど“もう少し待って”とだけ言って2階にある自室に向かう。
鞄の中から薬の入った袋を出して、すぐに階下へ水を取りに行く。
階段を降りている途中で袋の中をチラっと見る。
いつもと変らない多種な薬。
あっ!
貧血?眩暈?突然、目の前が暗闇に包まれる。
咄嗟に手摺を掴もうと手を伸ばすけど、遅かった。
私は階段から落ちるしかなかった――。
そう、確かに階段から私は落ちた。落ちたはずだった。
でも何処も痛くない。
ここは何処?
この広い空間を何て言ったらいいのかな?
まるで、教会。
天井にはステンドグラス、あまりにも綺麗過ぎる。
あ、もしかして――。
天国?
私、死んだの?
階段から落ちて。
でも、手には薬の入った袋を持ってるんだけど。
360度ぐるっと見渡し、大きな扉があるのが見えた。
誰も居ないのなら、外に出てみよう。
扉を開けようとした時、外側から誰かが開ける。至近距離で目が合う。
驚いたのは、私以上に――相手の方。
「あ、あの!こ、ここで待ってて下さいっ!!」
それだけ言い残して走って行く。白金の長い髪を揺らして。
今の女の子って、何?
髪は白金色、瞳は菫色。
天使?!
やっぱり、私って死んだ――?