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女神降臨Ⅱ  作者: 塔子
18/69

【18】

「どうした?ぼーっとして。ま、40も過ぎれば昔の面影無しって事か?それとも、俺の事忘れた?」

「――え?…そ、そんな事…」

「おまえは、ちっとも変わってないな。あの頃のままだ」

「そ、そう?そうかな?あ、ありがとう」



自分でも間の抜けた返事だと思う。


しかも、お礼まで言ったりして…。


大巫女は神殿内に居る限り不老不死だもの。


外見が変わる事は無いし、変わってたりしたら――その方が問題よ。



「それより、今日は何事なの?今まで音沙汰無しだったくせに。いきなり――」

「エレナに報告したい事があってな」



報告?



わたくしが“何かしら?”と思案していると、菫色の瞳を細くしてフっと笑う。


その笑顔も変わらない。昔からロイはそうやって笑う。



「俺、結婚して、子供が一人。女の子で名前はグリンダリア――」



結婚?子供?



ロイはまだ何か話し続けてるけど、もうわたくしの耳には届かない。


息が出来なくなるほど、喉の奥が干からびて……。



「――エレナ?」

「…え?…あ、おめでとう!ロイが結婚ね~。もう、お父さんなのね~」



わたくしは笑顔を見せた。きっと、あの頃と変わってない笑顔だと信じて…。


なのに、一瞬にしてロイの顔から表情が消える。



「相変わらず、エレナは嘘が下手だな」

「……え?」

「エレナは心にも無い事を言っている、と言ってるんだ」

「どういう意味?わたくしは素直に貴方の“報告”に対して祝福の言葉を――」



嘘?嘘ですって?


どうして、そんな事を言うの?


幼馴染みの幸せを喜んでいないとでも言うの?



わたくしは、貴方が幸せなら全てそれでいいと思ってる――そう、思いたいのに…。

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