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【17】
あれから、15年もの時が流れて――。
周りの景色は日々姿を変えていく。
衰えていくもの、新しく生まれてくるもの。
でも、わたくしの時間は止まったまま。
ただ、巫女としての責を果たすだけ。
時折、巫女達が話してくれる外の様子に心が軋むだけ。
大巫女になった頃は、アルスもアトレイシアを連れて会いに来てくれたのに、現国王の養女としてシアが望まれているという噂を聞いた辺りから、会いに来てくれなくなった。
そして、ロイは一度もここには来る事は無かった。
そんなロイがわたくしに会いに来てくれたのである。
巫女が来客が有る事と、来客の名を告げた時、自分の耳を疑った。
何年振り?
ううん、15年振りよ!
ロイったら、今まで何をしてたのよ!
絶対、許さないんだから!!
逸る気持ち。
心臓が鳴る音が聞こえてきそう。
でも…、どうして今になって?
この再会は、良き前兆?それとも…。
巫女の案内で部屋に通された白金の髪の男は容貌も衰え始め、でも菫色の瞳の輝きはあの頃と変わらない。
その瞳にわたくしが映るのを待つ事にした。




